巣喰RAP【スクラップ】 ―日々の坂署捜査第六課―

鬼霧宗作

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明け方のラブホテルにて

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 愛すべき旦那、もしくは彼氏が目の前で焼き殺され、それを横目に乱暴される女性の心情は、きっと言葉では表せないほどの絶望に満ちているに違いない。それはもう、深く黒い絶望――。

「ねぇねぇ、どうして第四の事件と第五の事件は現場が同じなの? 第四の事件が発生してから数日と経っていないから、対策本部だって現場付近を警戒していたはず。それなのにも関わらず警察の目を掻い潜って犯行に及ぶって、かなり大胆だよね?」

 わざわざ手を挙げて発言した雅に、缶ビールを片手の桂が答える。ここにはコンプライアンスという概念がないらしい。もっとも、第六課自体がコンプライアンスから外れた存在ではあるが。

「それに関しては捜査本部でも議題になったらしい。当時、第四の事件が発生した直後ということもあって、現場は警察の警戒体制の下にあった。刑事が慌ただしく出入りするようなことはなかったみたいだけど、定期的に警察官が巡回するようになっていたし、いくら封鎖が解かれていたとしても、いつ警察に見付かってしまうか分からない場所で犯行に及ぶなんて、普通は考えられない。まぁ、実際に第五の事件は起きてしまったんだけどねぇ」

 おもむろに煙草を取り出した田之上が、誰に断りを入れるでもなく喫煙タイムを始める。喫煙者の肩身が狭くなっているらしいが、この六課ではそんなことさえもお構いなしだ。堀口の心の声など知らずに口を開く田之上。

「まぁ、殺人事件が起きた直後の現場でセックスしようとする馬鹿もどうかと思うけどな。同じ現場で事件は二度起きないと考えたんだろうが、自業自得だろ?」

 田之上は被害者に対しても容赦ない。正義の味方に憧れて警察官を目指す人間がいるなかで、正義感のかけらもなければ、被害者に対する同情心もない。どうして田之上のような男が刑事になったのだろうか。

「それはさておき、そろそろ本題に入ろう。ここまでは前置き――というのは不謹慎か。とにもかくにも事件が起きても、捜査に全くの進展がない状態が続いたけど、先日起きたばかりの第六の事件では、これまでと違う点が散見されているみたいだ。ざっと資料を読んだ限りでは、この事件が解決への鍵になりそうな気がするんだ。事件は峠の中腹にあるラブホテルで起きた」

 咳払いで周囲の注目を集めた桂が、これ見よがしに資料をめくった。つられて堀口も資料をめくると、そこには数日前に起きたばかりの事件のことが記載されていた。
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