探偵残念 ―安楽樹は渋々推理する―

鬼霧宗作

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5.安楽樹は渋々推理する

5.安楽樹は渋々推理する 1

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【1】

 港のそばにあるレストランということで、メニューには海産物が多かった。どんなものが出てくるのかメニューだけでは想像できないため、菱田が管理人さんと話し合ってみんなのメニューを決めてくれた。大きな円卓のようなところに通され、しばらくすると料理が運ばれてきた。

 料理は当たり障りのないものばかりで、大皿から取り分けるスタイルのようだった。ここで率先して女性陣が取り分けたのを見て、管理人は少し驚いていたようだ。合コンなどでよく見る光景であり、これはある種の女子アピールのようなのものなのであるが。

「さて、食事も終わったところで、みんなに聞い欲しい。安楽君からみんなに話があるらしい」

 食後に頼んだコーヒーを飲み、一息をついたところで榎本が切り出した。あの孤島から解放され、すっかり気の緩みが出てきていた蘭は、思わず口を開く。

「――事件の話はやめてよ。あの事件は、榎本さんが解決に導いてくれたじゃない」

 実のところ、あの後の安楽と榎本のやり取りがずっと気になっていた。含みのあるやり取りというか、なにか企んでいたかのようだった。

「そうだよ。犯人は麗里で決まり。本人はどこかに姿を消したんでしょ? これから警察が島に向かうみたいだし、見つかるのも時間の問題だと思うよ」

 この事件の一連の犯人は神楽坂麗里である。それは、榎本がみんなの前で結論付けたものだった。すると、榎本が小さく頭を下げる。

「みんな、すまない。あれは、僕と安楽君で事前に打ち合わせた、偽物の解決劇だったんだ。だから、多少の嘘もつかせてもらった」

 頭を下げる榎本とは違い、立ち上がって一同を見回す安楽。

「実際、彼女――神楽坂さんの生首はね、例の部屋で確認されているよ。でも、どうしても犯人を作り出さねばならない状況だったからね。彼女には申し訳ないけど、犯人の役をやってもらったのさ」

 死人に口なしとはいうが、どうしてそこまでやる必要があったのか。麗里に罪をなすりつけるような真似をする必要はなかっただろうに。

「どうして犯人をでっちあげる必要があったのか。その理由はいたってシンプル。俺達がこうして無事に、あの孤島から戻ってくるためさ。どんな形であれ、事件は解決しなければならなかったんだ。それが嘘偽りであってもね」

 言っている意味がいまいち分からない。そこをさらに追求する前に、菱田が口を挟んだ。

「だったら、最初の事件。神楽坂さんの自作自演じゃなかったとしたら、誰がどうやって殺したんだ? やっぱり、ピアノ線を使った仕掛けが施してあったとか?」
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