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5.安楽樹は渋々推理する
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「この辺りの事情も、前に披露してもらった推理通りさ。ただ、犯人は密室を作りたくて部屋に潜伏していたわけじゃない。拠点が欲しいから――雨風をしのぎながら、犯行に及ぶ環境が欲しいがゆえに、たまたま加能さんの部屋に潜伏したんだ」
これまでは神経を張り巡らせていたが、それが本土に戻ってきた途端ゆるんでしまったのであろう。英梨が瞳に大粒の涙を浮かべる。
「そんな――じゃあ、やっぱり亜純は」
その先までは彼女に言わせまい。食い気味に口を開いた安楽からは、そんな想いが伝わってきた。人のことに気を回せるくらいにはなったらしい。
「残念ながら、彼女に関しては運が悪かったとしか考えられない。たまたま犯人が潜伏していた部屋を、自分の部屋として割り当てられたから、殺害された可能性が高い」
安楽の言葉に菱田が小さく「くそっ!」と呟いて舌打ち。英梨の涙につられたのか、自分の瞳にも涙が浮かんでいたことに気づいた蘭。安楽がさらに続ける。
「現実なんてこんなもんだよ。行く先々で事件に巻き込まれる名探偵は、それぞれの事情にまで首を突っ込んだりはしない。友人を――大切な人を失ってしまった人達のその後は描かれないんだ。でも、俺はこう思う。あれは描かれていないだけで、きっとそれぞれのその後があるんだ。だから、俺もそれに準じて、あえて深くは触れないよ。そこからどんな【その後】を作るかは、その人次第だから」
「イッ君……」
あれ、やだ。なんかちょっと格好いいじゃない。もとからこんな気の利いたことを言えたタイプじゃなかったはずだし――なんてことを考えながらも、蘭には分かっていた。立ち直るには時間がきっと必要だと。
「だから、少し冷たいように聞こえるかもしれないけど、俺はあくまでも事件を事件として話すようにしたい。いいや、第二の事件に関しては、まともな神経じゃ話せそうにないんだよ。まぁ、言いたかったことは、ほとんど榎本さんが言ってくれたけど」
安楽が榎本のほうに視線をやると「僕はそこまで大したことはしていないさ」と一言。最初の印象では、やや気味の悪い眼鏡だったが、今ではインテリのイケメンに見えるから不思議だ。
「さて、さっきの続きだ。たまたま加能さんの部屋に割り当てられることになる部屋に潜伏した犯人は、おそらくベットの下かそこらに潜伏していたんだろうね。有名な都市伝説に、ベットの下の男という話があるけど、それを地で行った感じだね」
これまでは神経を張り巡らせていたが、それが本土に戻ってきた途端ゆるんでしまったのであろう。英梨が瞳に大粒の涙を浮かべる。
「そんな――じゃあ、やっぱり亜純は」
その先までは彼女に言わせまい。食い気味に口を開いた安楽からは、そんな想いが伝わってきた。人のことに気を回せるくらいにはなったらしい。
「残念ながら、彼女に関しては運が悪かったとしか考えられない。たまたま犯人が潜伏していた部屋を、自分の部屋として割り当てられたから、殺害された可能性が高い」
安楽の言葉に菱田が小さく「くそっ!」と呟いて舌打ち。英梨の涙につられたのか、自分の瞳にも涙が浮かんでいたことに気づいた蘭。安楽がさらに続ける。
「現実なんてこんなもんだよ。行く先々で事件に巻き込まれる名探偵は、それぞれの事情にまで首を突っ込んだりはしない。友人を――大切な人を失ってしまった人達のその後は描かれないんだ。でも、俺はこう思う。あれは描かれていないだけで、きっとそれぞれのその後があるんだ。だから、俺もそれに準じて、あえて深くは触れないよ。そこからどんな【その後】を作るかは、その人次第だから」
「イッ君……」
あれ、やだ。なんかちょっと格好いいじゃない。もとからこんな気の利いたことを言えたタイプじゃなかったはずだし――なんてことを考えながらも、蘭には分かっていた。立ち直るには時間がきっと必要だと。
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「さて、さっきの続きだ。たまたま加能さんの部屋に割り当てられることになる部屋に潜伏した犯人は、おそらくベットの下かそこらに潜伏していたんだろうね。有名な都市伝説に、ベットの下の男という話があるけど、それを地で行った感じだね」
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