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5.安楽樹は渋々推理する
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安楽の口調があまりにも淡々としているせいか、逆にその情景がありありと描写される。一歩間違えば、亜純のようになっていたかもしれないと思うと、ぞっとする。管理人はとりあえず話が終わるまで待つことにしたのか、腕を組んで話に耳を傾けていた。
「そして、被害者が寝静まった頃を見計らって殺害した。この時点でも、自分の目的のために赤の他人を殺しているんだから、身勝手な犯行だと思う。でも、犯人はこれ以上のことをしたんだ」
犯人がやったそれ以上のこと。それは、亜純の体をバラバラに解体したということ。
「一見して猟奇的な犯行に見えたバラバラ殺人だけど、これには犯人なりの狙いがあった。それは、現場を凄惨に見せることで、拠点となる部屋に人を近づけさせないためだ。しかし、いざ被害者を解体してみてから気づいた。小柄な彼女をバラバラにしたところでインパクトが足りない。つまり、誰も近づこうとしない環境を作るには、彼女の遺体をバラバラにしたくらいじゃ足りなかったんだ」
安楽が管理人のほうに視線をやるが、特にリアクションらしいリアクションも見せない。助け舟とばかりに榎本が続いた。
「だから犯人はリネン室から神楽坂の遺体を運び込み、遺体をバラバラにしたのか。その結果、凄惨なバラバラ殺人現場を作り出すことに成功した。加能さんと神楽坂の生首をベットの上に置くことで、親しい人間の無残な姿は見たくない――という、僕達の心理を上手く利用したと思う。まぁ、普通の人なら、赤の他人でも、人のあんな無残な姿は直視できないだろうけど」
菱田は窓側から入ろうとしたが断念。榎本が部屋の中に足を踏み入れたが、親しかった人間の無残な姿なんて見たくなかっただろう。その後、部屋の扉の隙間から中を見てしまった細川が嘔吐までしている。そんな部屋、できることならば近づきたくないと思うのが普通なのではないか。
「こうして、誰も近づけない環境を拠点にした犯人は、結果的に密室殺人もやってのけたわけだ。まぁ、最初からずっと部屋の中にいて、俺達が駆けつけた時もベットの下あたりに隠れていただけなら、そりゃ表向きは密室殺人になるわけだ。しかも、やっぱり肝となってくるのが、犯人は内部の人間ではなく、外部の人間だったということ。この単純な事実が見えなかったがゆえに、不可解な密室が作り上げられてしまったんだ」
「そして、被害者が寝静まった頃を見計らって殺害した。この時点でも、自分の目的のために赤の他人を殺しているんだから、身勝手な犯行だと思う。でも、犯人はこれ以上のことをしたんだ」
犯人がやったそれ以上のこと。それは、亜純の体をバラバラに解体したということ。
「一見して猟奇的な犯行に見えたバラバラ殺人だけど、これには犯人なりの狙いがあった。それは、現場を凄惨に見せることで、拠点となる部屋に人を近づけさせないためだ。しかし、いざ被害者を解体してみてから気づいた。小柄な彼女をバラバラにしたところでインパクトが足りない。つまり、誰も近づこうとしない環境を作るには、彼女の遺体をバラバラにしたくらいじゃ足りなかったんだ」
安楽が管理人のほうに視線をやるが、特にリアクションらしいリアクションも見せない。助け舟とばかりに榎本が続いた。
「だから犯人はリネン室から神楽坂の遺体を運び込み、遺体をバラバラにしたのか。その結果、凄惨なバラバラ殺人現場を作り出すことに成功した。加能さんと神楽坂の生首をベットの上に置くことで、親しい人間の無残な姿は見たくない――という、僕達の心理を上手く利用したと思う。まぁ、普通の人なら、赤の他人でも、人のあんな無残な姿は直視できないだろうけど」
菱田は窓側から入ろうとしたが断念。榎本が部屋の中に足を踏み入れたが、親しかった人間の無残な姿なんて見たくなかっただろう。その後、部屋の扉の隙間から中を見てしまった細川が嘔吐までしている。そんな部屋、できることならば近づきたくないと思うのが普通なのではないか。
「こうして、誰も近づけない環境を拠点にした犯人は、結果的に密室殺人もやってのけたわけだ。まぁ、最初からずっと部屋の中にいて、俺達が駆けつけた時もベットの下あたりに隠れていただけなら、そりゃ表向きは密室殺人になるわけだ。しかも、やっぱり肝となってくるのが、犯人は内部の人間ではなく、外部の人間だったということ。この単純な事実が見えなかったがゆえに、不可解な密室が作り上げられてしまったんだ」
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