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ああ神様、これは何かの罰なのでしょうか
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我が校の文化祭は春にある。
体育祭は秋。
お金持ち私立校だからか、音楽祭という名の芸術祭も冬にある。
文化祭と芸術祭一緒じゃないの?と庶民なわたしは入学当初不思議に思ってた。まぁそんなものは慣れだよね。
もう今となってはどうでもいいことだよね。
来年には卒業だし。あと1年でこの苦行も終わるわけだし。
うん、どうでもいい。
「でさ、犯人が言うわけ。『お前には解けないだろう。なぜなら、何も見えてないから』って。その去り際がまた見事で!なんだろう、あれが本当のカリスマなのかって、思わず見惚れたよね・・・聞いてる?広瀬さん」
「ごめんなさい圭さま。わたしそのドラマ見てなくて、よく分からないので」
嘘である。
録画して毎週欠かさず見ているドラマ『探偵ディーン』の事なら、役者のセリフをそらんじれるほどだ。
真面目に話を聞いてたら思わず「分かる分かる!あのシーンには痺れた!」と相槌を打ってしまいかねないから、気を逸らすためにどうでもいいことを一生懸命に考えているのに。
「そうなの?面白いからぜひ見てみてよ!僕、シリーズ1からコンプリートBOX持ってるから、今度貸してあげるね?」
なんなんだ。いつも以上にしつこいな。
だいたいわたしが全話録画してること知ってるくせに。でもコンプリートBOXの特典映像は気になるから今度借りよう。
「お、お気持ちだけ有難く頂戴します。今度テレビで見てみますね。それでは、教室の移動があるので・・・」
3時限目の終わり、次の授業の準備でざわざわとしている教室に、特進クラスの圭が突然現れた。
ちなみにわたしは普通クラス。特進クラスとは学業優秀か超お金持ちが在籍する、学園の特権階級である。
特進クラスの生徒が、普通クラスにやってくることは基本的にない。だって校舎が違うから。
そんな圭が「広瀬さん、昨日の『探偵ディーン』見た?」なんて笑顔で教室に入ってきたときには、もう大騒動。
クラス中の生徒が「広瀬!?誰の事?!」「広瀬って確かAにいたよな」「Cにも広瀬って女子がいたわ」と必死になって犯人(?)探しを始めたわけですよ。窓際席のわたしも必死になって教室脱出を試みましたとも。
コソ泥のように気配を消して移動するわたしの前に、キラッキラの笑顔で奴が立ち塞がるまでは。
「そっか。僕もそろそろ戻らないといけないから、途中まで一緒にいいかな?」
なんなの!?もしかして日曜日に圭の分のお菓子まで食べたことを根に持ってんの?!
学校では極力関わんないって約束だったのに、この裏切り者め!
これらの会話の最中、クラス中の生徒と噂を聞いて駆けつけてきた普通クラスの圭さまファンクラブの数多の目と耳が、わたしたち二人に集中していた。皆が息を詰めてわたしたちの会話にじっと聞き耳を立てている。大勢が無言の中、わたしと圭の声だけが響く怖さ。今すぐ失神出来たらどれだけ幸せか!
この2年間、クラスメイトに名前を忘れられるほどに存在感を消して生きてきたわたしの努力を、努力を!
たった一瞬で全てぶち壊されたこの恨み、おのれ許さんぞ圭!
「大変嬉しいのですが、あの、お手洗いに寄ろうと思ってまして・・・」
怒りで引きつる顔を残念そうに見えるよう顔の筋肉を総動員し、思わず罵声を浴びせそうになる声を落ち着かせ小さな声で喋る。
落ち着け自分!今ここは敵陣地!感情的になって隙を見せてはいけないのよ!
「ああ、しつこく引き留めてごめんね。お詫びと言ったらなんだけど、お昼一緒にどうかな?学食でも御馳走させて?」
きゃーーー圭さまーーー!!と叫ぶ悲鳴が聞こえる。
くっ・・・敵はこれまでにないほど手ごわい。手のひらに嫌な汗が滲む。
なんて答えれば正解なんだ?!断ってもリンチ死、受けてもリンチ死!死しかないじゃないか!
「それじゃあ、お昼に迎えにくるね」
わたしが返答にまごついている間に、敵は極上の笑みを残して去っていった。
騒音レベルの悲鳴が廊下に響き渡るなか、わたしはやっと失神という褒美を得た。
遅いよ自分・・・どうせ気を失うならもっと早く倒れればよかったのに!
女子の黄色い悲鳴があちこちで上がる教室は、ゴンっという人が倒れる鈍い音で再び静まり返った。
体育祭は秋。
お金持ち私立校だからか、音楽祭という名の芸術祭も冬にある。
文化祭と芸術祭一緒じゃないの?と庶民なわたしは入学当初不思議に思ってた。まぁそんなものは慣れだよね。
もう今となってはどうでもいいことだよね。
来年には卒業だし。あと1年でこの苦行も終わるわけだし。
うん、どうでもいい。
「でさ、犯人が言うわけ。『お前には解けないだろう。なぜなら、何も見えてないから』って。その去り際がまた見事で!なんだろう、あれが本当のカリスマなのかって、思わず見惚れたよね・・・聞いてる?広瀬さん」
「ごめんなさい圭さま。わたしそのドラマ見てなくて、よく分からないので」
嘘である。
録画して毎週欠かさず見ているドラマ『探偵ディーン』の事なら、役者のセリフをそらんじれるほどだ。
真面目に話を聞いてたら思わず「分かる分かる!あのシーンには痺れた!」と相槌を打ってしまいかねないから、気を逸らすためにどうでもいいことを一生懸命に考えているのに。
「そうなの?面白いからぜひ見てみてよ!僕、シリーズ1からコンプリートBOX持ってるから、今度貸してあげるね?」
なんなんだ。いつも以上にしつこいな。
だいたいわたしが全話録画してること知ってるくせに。でもコンプリートBOXの特典映像は気になるから今度借りよう。
「お、お気持ちだけ有難く頂戴します。今度テレビで見てみますね。それでは、教室の移動があるので・・・」
3時限目の終わり、次の授業の準備でざわざわとしている教室に、特進クラスの圭が突然現れた。
ちなみにわたしは普通クラス。特進クラスとは学業優秀か超お金持ちが在籍する、学園の特権階級である。
特進クラスの生徒が、普通クラスにやってくることは基本的にない。だって校舎が違うから。
そんな圭が「広瀬さん、昨日の『探偵ディーン』見た?」なんて笑顔で教室に入ってきたときには、もう大騒動。
クラス中の生徒が「広瀬!?誰の事?!」「広瀬って確かAにいたよな」「Cにも広瀬って女子がいたわ」と必死になって犯人(?)探しを始めたわけですよ。窓際席のわたしも必死になって教室脱出を試みましたとも。
コソ泥のように気配を消して移動するわたしの前に、キラッキラの笑顔で奴が立ち塞がるまでは。
「そっか。僕もそろそろ戻らないといけないから、途中まで一緒にいいかな?」
なんなの!?もしかして日曜日に圭の分のお菓子まで食べたことを根に持ってんの?!
学校では極力関わんないって約束だったのに、この裏切り者め!
これらの会話の最中、クラス中の生徒と噂を聞いて駆けつけてきた普通クラスの圭さまファンクラブの数多の目と耳が、わたしたち二人に集中していた。皆が息を詰めてわたしたちの会話にじっと聞き耳を立てている。大勢が無言の中、わたしと圭の声だけが響く怖さ。今すぐ失神出来たらどれだけ幸せか!
この2年間、クラスメイトに名前を忘れられるほどに存在感を消して生きてきたわたしの努力を、努力を!
たった一瞬で全てぶち壊されたこの恨み、おのれ許さんぞ圭!
「大変嬉しいのですが、あの、お手洗いに寄ろうと思ってまして・・・」
怒りで引きつる顔を残念そうに見えるよう顔の筋肉を総動員し、思わず罵声を浴びせそうになる声を落ち着かせ小さな声で喋る。
落ち着け自分!今ここは敵陣地!感情的になって隙を見せてはいけないのよ!
「ああ、しつこく引き留めてごめんね。お詫びと言ったらなんだけど、お昼一緒にどうかな?学食でも御馳走させて?」
きゃーーー圭さまーーー!!と叫ぶ悲鳴が聞こえる。
くっ・・・敵はこれまでにないほど手ごわい。手のひらに嫌な汗が滲む。
なんて答えれば正解なんだ?!断ってもリンチ死、受けてもリンチ死!死しかないじゃないか!
「それじゃあ、お昼に迎えにくるね」
わたしが返答にまごついている間に、敵は極上の笑みを残して去っていった。
騒音レベルの悲鳴が廊下に響き渡るなか、わたしはやっと失神という褒美を得た。
遅いよ自分・・・どうせ気を失うならもっと早く倒れればよかったのに!
女子の黄色い悲鳴があちこちで上がる教室は、ゴンっという人が倒れる鈍い音で再び静まり返った。
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