ポケットのなかの空

三尾

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DAY4

33

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 家にはまだ家族の気配が残っている。二階の奥の部屋は両親と妹が旅行に出かけた朝から時間を止めて、じっと三人の帰りを待っているようだった。
 それとも、家族を待っているのは、もしかしたら自分なのだろうか?
 この家を離れたくないと響野が訴えたとき、水元は比較的あっさりとこちらの希望を承諾したようだった。できる限りサポートすると付き合ってくれたのは、水元自身が同じ孤独を経験したからではないのか。
 次第に浅くなっていく呼吸をコントロールしようと胸を押さえたとき「響野」と呼ばれた。肩先に水元の指がふれる。声も近かった。こちらの異変に気付いてソファを立ってきたようだ。
 響野は自分が両腕を抱いて縮こまっていることに気が付いた。
「大丈夫か?」
 肩に置いた手に力を込めて水元がたずねる。
「俺の声、聞こえてる? 落ち着いて。そのまま息して」
 心配そうだが、語りかけてくる声はしっかりしていた。
 大丈夫だから、と何度か言われ、温かい手に背中をさすられる。相手の冷静さに導かれるように、少しずつ呼吸が深くなった。
 しばらく深呼吸をくり返したあとで響野は目を開ける。全身が氷水を浴びたように冷たいのに、首筋やわきの下はじっとりと汗ばんで濡れていた。


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