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おっさん、雪菜を痴漢から救う
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痴漢は顔を思いっきりしかめて俺を睨みつけ怒鳴りかけたが、俺がひと睨みすると顔をしかめたまま黙り込む。自分のやった事がバレてると確信したんだろう。
さて、捕まえたが良いがどうしようか。当然、警察に突き出すのが最善だが、そうするとこの女の子が好奇の目に晒されるし、駅員や警察に根掘り葉掘り痴漢されてた時の状況を聴かれるだろう。
この子がそんな状況に耐えられるとは思えない。
お嬢様校である白菊女学園もこんなスキャンダル的なことを快く思わないだろう。
そっと女の子に耳打ちして聞いてみる。
「どうする? こいつを警察に突き出すこと出来るけど、そうなると君も色々聴かれると思うけど」
案の定、女の子は真っ赤になりながら涙目で首をフルフルと横に振った。
はぁ、悔しいけど無罪放免にするしかないのかな。
腹が立つことに今の会話が聞こえたのか痴漢野郎がニヤニヤしていた。
周りのサラリーマンたちの中には騒ぐ俺を迷惑がる様な視線を向けてくるものもいた。
やむえず、痴漢の手を放そうとした時、別の細腕が痴漢の手を掴み直した。細腕の先を追うと黒スーツに身を包んだ女性がいた。黒髪は肩で切り揃えられており、目は怒りに満ちていた。
「お嬢様、申し訳ありません。私がついていながらこの様な。罰は後で何でもお受けいたします」
察するのこの女の子のボディガードか。女性が周りを押しのけてきた形跡を見るに、最初は一緒いたけど缶詰め状態の車内のせいで不可抗力で引き離されて身動きできなかったってところか。
「お嬢様を助けていただいて感謝いたします。この痴漢は私の方で責任もって処理いたしますので、申し訳ありませんがお嬢様を白菊女学園の最寄り駅までお願いできないでしょうか?」
女性は申し訳なさそうに頭を下げてきた。どうする?っと綾華を見ると微笑んできた。これは俺の好きなようにしていいって事だろう多分。
「別にいいですよ。俺もツレをその駅に送っていく途中ですし」
そう言って、綾華を見せると女性の表情が変わった。慌てた様子で綾華にお辞儀をしようとしたのだろうが、満員電車のため中途半端に終わった。いい加減周りのサラリーマンどももイライラし始めたようだ。痴漢が捕まったことに気づいた人もいるみたいだが、他人の事より自分の出勤が遅れることを気にして無視を決め込んでいる。
女性も周りを気にしたのか、挨拶をし直すことはしなかった。その代わり、俺に近づきそっと囁いてきた。
「綾華様のご関係者でしたか。改めて雪奈お嬢様を助けていただいてありがとうございます。後ほど、九条家より正式にお礼申し上げます」
その時、ちょうど駅に止まったため女性は痴漢を掴んだまま降りて行った。九条家って言ってたな。確か、戦前の警察組織を牛耳っていた財閥で、今でも警察組織の要職の多くは九条家に縁ある人が多いっていうよな。そこのご令嬢に手を出したんだ、あの痴漢、一生刑務所の中だな。
さて、九条家のご令嬢ならハイヤーで通学するのが普通だろうに。なんで、満員電車なんかに乗ってるかね。
九条という子は未だに真っ赤になって俯き綾華になだめられているし、乗っていた理由も聞くのもデリカシーがないか。
綾華に任せたよと目配せをして俺は白菊女学園の最寄り駅に電車が付くのを待つ。
先ほどの駅で結構な人が降りて行ったため、車内の空気は空調が通りムシムシした感じは緩和されていたが気分は涼しくならなかった。
さて、捕まえたが良いがどうしようか。当然、警察に突き出すのが最善だが、そうするとこの女の子が好奇の目に晒されるし、駅員や警察に根掘り葉掘り痴漢されてた時の状況を聴かれるだろう。
この子がそんな状況に耐えられるとは思えない。
お嬢様校である白菊女学園もこんなスキャンダル的なことを快く思わないだろう。
そっと女の子に耳打ちして聞いてみる。
「どうする? こいつを警察に突き出すこと出来るけど、そうなると君も色々聴かれると思うけど」
案の定、女の子は真っ赤になりながら涙目で首をフルフルと横に振った。
はぁ、悔しいけど無罪放免にするしかないのかな。
腹が立つことに今の会話が聞こえたのか痴漢野郎がニヤニヤしていた。
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やむえず、痴漢の手を放そうとした時、別の細腕が痴漢の手を掴み直した。細腕の先を追うと黒スーツに身を包んだ女性がいた。黒髪は肩で切り揃えられており、目は怒りに満ちていた。
「お嬢様、申し訳ありません。私がついていながらこの様な。罰は後で何でもお受けいたします」
察するのこの女の子のボディガードか。女性が周りを押しのけてきた形跡を見るに、最初は一緒いたけど缶詰め状態の車内のせいで不可抗力で引き離されて身動きできなかったってところか。
「お嬢様を助けていただいて感謝いたします。この痴漢は私の方で責任もって処理いたしますので、申し訳ありませんがお嬢様を白菊女学園の最寄り駅までお願いできないでしょうか?」
女性は申し訳なさそうに頭を下げてきた。どうする?っと綾華を見ると微笑んできた。これは俺の好きなようにしていいって事だろう多分。
「別にいいですよ。俺もツレをその駅に送っていく途中ですし」
そう言って、綾華を見せると女性の表情が変わった。慌てた様子で綾華にお辞儀をしようとしたのだろうが、満員電車のため中途半端に終わった。いい加減周りのサラリーマンどももイライラし始めたようだ。痴漢が捕まったことに気づいた人もいるみたいだが、他人の事より自分の出勤が遅れることを気にして無視を決め込んでいる。
女性も周りを気にしたのか、挨拶をし直すことはしなかった。その代わり、俺に近づきそっと囁いてきた。
「綾華様のご関係者でしたか。改めて雪奈お嬢様を助けていただいてありがとうございます。後ほど、九条家より正式にお礼申し上げます」
その時、ちょうど駅に止まったため女性は痴漢を掴んだまま降りて行った。九条家って言ってたな。確か、戦前の警察組織を牛耳っていた財閥で、今でも警察組織の要職の多くは九条家に縁ある人が多いっていうよな。そこのご令嬢に手を出したんだ、あの痴漢、一生刑務所の中だな。
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