助けたご令嬢に惚れられた〜非モテ親父の何処がいいんだ?〜

水河忍

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おっさん、四条奥様と語らう

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 クリスマス礼拝当日、白菊女学園に向かうために四条家の廊下を歩いていると四条総裁の奥さんから声をかけられた。
 食事の時は何回か話すことはあるが、こうやって普通の時に話しかけてくることは珍しい。
 家の事は桜庭さんを筆頭にメイドたちが行うため、普段は朝から色々な社交場に顔を出しているからだ。
 だからと言ってお高く留まっているわけではなく、平々凡々なサラリーマン家庭出身で気さくな良い人。
 子供の事から炊事洗濯掃除など家事全般を手伝っており、母親が趣味でやっていた囲碁をキッカケに四条総裁と知り合ったそうだ。

「若宮さん、今からクリスマス礼拝にお出かけかしら?」
「えぇ、流石に緊張しますよ。明らかに場違いな場ですから」
「ごめんなさいね、綾華のわがままに付き合ってもらって。あの子、いつも若宮さんの話ばかりしているのよ。今日の若宮さんはこうだったとか、若宮さんのここが素敵だとか」

 うーん、好かれていることは明白だけどここまで重症だとは。
 ホント、こんなハゲ散らかしたおっさんのどこがいいのだろうか。
 経済力があるわけでもなくルックスがいい訳でもないのに。

「釈然としない顔ね。なんで自分なんかが好かれているか分からないって思ってないかしら?」
「……分かりますか」
「社交場で色々な人間を見ていますからね。あそこは腹の探り合いの場所でもあるのよ。それに比べれば、貴方は顔に出て分かり易いわ」
「凄いっすね、確かに思っていますよ。綾華ほどの子なら、俺なんかよりふさわしい相手が沢山いると思うんですけどね。年齢も一回り以上違うのに」

 奥さんは物悲し気に微笑みながら手を握ってくる。
 突然のことに驚いたけど、不思議と緊張しない温かみのある手だった。

「貴方は自分に自信がないのね。大丈夫よ、貴方は十分素敵よ。胸を張って生きてくださいね」
「そりゃ、自信も無くしますよ。今まで彼女の一人も出来たことが無いし」
「それは貴方が選んだ女性たちに見る目がなかったのよ。貴方の本質を知ろうとしない人ばかりだったのね。そんな女性ばかりを選んだのが失敗。そういう意味じゃ貴方も女性を見る目がなかったという事ね。綾華は人を外見で判断せずに中身を見る子よ。親の私が保証するわ」

 ……俺に女性が見る目がないか、考えたこともなかったな。

 確かに付き合う事ばかり考えて見た目の良い女にしか声を掛けてなかったし、良太と違って自分の事ばかりしか考えてなかった気がする。

 奥さんは温かい目で微笑みながら俺の肩を叩き、俺の全身をくまなく眺めて桜庭さんを呼び出した。

「桜庭さん、若宮さんを全身コーディネートして差し上げて。自分に自信がない人は、お洒落に気を使わない人が多いわ。出発を一時間遅らせてもいいから、若宮さんが自分に自信が持てる様な髪型とファッションを選んで差し上げてね」
「かしこまりました、奥様。幸い、若宮さんが一ヶ月ダイエットを頑張られたおかげで、着られる洋服の種類も一気に増えましたからな。すぐに取り掛かります」
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