助けたご令嬢に惚れられた〜非モテ親父の何処がいいんだ?〜

水河忍

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おっさん、麗奈と語らう

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 麗華とはあの一件以来だ。

「あ、ごめ、いや、申し訳ない、考え事をしていまして、西園寺さん」
「ご無理なさらず、若宮様の普段通りの口調で良いですのよ」
「ありがとう、敬語とか苦手で。綾華と話している時も敬語なんて使わないし」

 そんな俺を軽やかに微笑みながら麗奈は居ずまいを正してきた。
 そして、腰を九十度に曲げて俺に頭を下げてきた。
 一瞬、何をしているのか分からなかったが謝られていると分かったのは、麗奈の言葉を聞いてからだ。

「まずは先日のご無礼、誠に申し訳ございません。あの後、小林はきつく叱り執事見習いへ降格させました」
「あ、あの事ね。いいよ、もう気にしていないから頭を上げてくれ」
「いえ、あの場で当家に恥をかかせないために泥まで被っていただき、父からも会えば必ず謝罪とお礼をと申し使っておりますの」
「わ、分かったから、とりあえず頭上げて? ね? ね?」

 ちなみに、西園寺家のためではなく四条家のためなんだけどね。
 綾華といい雪菜といい麗奈といい、お嬢様方は勘違いが激しいな。

 そんなことよりも、まずいのはこの状況。
 天下の西園寺家のご令嬢が学校の敷地内で見知らぬおっさんに頭を下げている。
 しかも、人ごみの多い中庭の噴水。これはもう大事件である。
 恐る恐る周りを見ると、案の定、注目を集めていた。

「まあ、ご覧あそばせ、西園寺様が」
「西園寺様が頭を下げるなど、何処の名家の御曹司なのかしら」
「どなたかあの方のお名前をご存知あって?」

 御曹司じゃありません。しがない社畜だった薄ハゲ中年です!
 しかも、一ヶ月前までは三段腹の親父でした!
 周りの声に心の中で反論しつつ、なんとか麗奈に頭を上げてもらった。

「今後、何か困ったことがあれば、おっしゃってくださいね。最大限、ご協力差し上げますわ。ところで、若宮様はこちらからどちらへ?」
「綾華に講堂に来る様に言われているんだけど、広すぎて何処にあるか見当がつかなくてね」
「当校を初めの方が迷わず講堂へ行くのは難しいですわ。ご案内して差し上げますわ」
「あ、ありがとう。このままだと一時間かけても辿り着ける自信ないから頼むわ」

 麗奈と一緒に校内を歩き始めて、自分の失敗に気づいた。
 麗奈の注目度が半端ないのである。西園寺家という肩書きもあるだろうけど、それを抜きにしても絶世の美少女。
 そんな麗奈と男が歩いていれば、否応なしに勘繰られる。ましてや、さっきの出来事を見ていた連中からすればなおさらだろう。
 俺を四条家の関係者だと知っているのは極少数だし、痩せてから学校に来たのは初めてだし。

 ん? そういえば、なんで麗奈は俺が分かったんだろう。
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