助けたご令嬢に惚れられた〜非モテ親父の何処がいいんだ?〜

水河忍

文字の大きさ
56 / 61

おっさん、綾華と寝る

しおりを挟む
 仲居さんに料理を下げてもらい、TVを見ていると歯を磨き終わった綾華が隣に座ってくる。
 しばらく、無言でTVを見ていると綾華がそっと肩に頭を置いてきた。
 目がうつらうつらしていた。

「疲れたよな、もう寝るか?」
「英二様がお眠りになるなら」
「う、うん、分かった。寝ようか」

 俺が腰を上げると甘える様に手を握られた。
その柔らかい手の感触に嫌が応にも、一緒に寝るんだという事を意識させてくる。

 部屋の電気を消し、隣の部屋に移動すると動悸が激しくなってきた。
 普段は気にしない布団を踏む音でさえ、俺の鼓動を速くする。

 相手は未成年、手を出したら淫行確定。ビールで弱った理性を総動員し荒くなりそうな鼻息をセーブする。

 とりあえず、布団に入ろう。別々の布団だし手を離せば少しは落ち着ける。
 と、思い手を離そうとしたが綾華は離してくれなかった。
 怪訝に思い綾華の様子をうかがったが、部屋が暗くて表情は読み取れない。

「ど、どうした綾華?」
「あの、出来れば手を繋いだまま寝てもよろしいでしょうか。もし、お嫌でなければですが……」
「お、お嫌じゃないです」

 暗闇の中で綾華がホッとした雰囲気は分かった。
 綾華と手を繋いだまま布団に入ったが、手を繋いでいるため異様に綾華の距離が近い。

 綾華の良い香りと吐息がすぐ間近で感じられる。

 ……これはホントにヤバイ。必死に理性を総動員していると綾華の布団がすれる音がした。
 俺の手の平に綾華のもう片方の手が添えられる。

「英二様」
「う、うん?」
「わたくし、英二様のご家族に失礼な事はなかったでしょうか?」
「無い無い。ウチの家族は礼儀とかにうるさくないし。仮にうるさいとしても、綾華の立ち振る舞いに問題なんかないよ」
「良かった。英二様、わたくしがご実家へ来るのお嫌ではありませんでした?」
「別に嫌じゃないよ。むしろ、綾華をこんな古臭い温泉旅館に連れてくる方が申し訳ないというか」
「そんな、わたくしは英二様の旅館の雰囲気好きですわ。建物の造りも落ち着きますし、温泉も気持ちいいですし、お料理もおいしいですし。何より英二様のご家族の方々は温かみがございますわ」

 温かみも何も親父と姉貴の凶暴な一面しか見えてなかったと思うんだが。
 綾華は俺の握った手を更に綾華の胸元に引き寄せる。
 心なしか俺の指先に微かな柔らかみが感じられた。

「わたくし……英二様の……ご家族の方々ともっと……仲良く……」

 綾華の声が途切れたかと思ったら、代わりに規則正しい寝息が聞こえてくる。

 おおい、この態勢で眠りにつくとか勘弁してください綾華さん。
 せめて指先に触れる柔らかい感触だけでもどうにかしてよ。
 綾華の胸元から手を引き戻そうと動かすが、寝ているはずなのに両手でがっちりホールドされて動かせなかった。

 ……こんな状態で何もせずに寝ろとか拷問かよ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

処理中です...