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黒の■■ 一
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二人始末できたが二人逃げた。まぁいい、どうせ宿直室が始末する、一彦はそう結論づけて刃を収めた。生意気で不気味な女が持っていた鍵を拾い上げ、教室を施錠する。
この教室は、墓場だ。助けられなかった、憎たらしい、名前を思い出せない、あの少女の。何も知らないバカどもに荒らされていい場所ではない。
「……で、お前はどちら様でェ?」
だから一彦は、斜め上を見た。そこに浮かんでいるのは、さっき殺したはずの女と瓜二つ、なのに全く違う存在だとはっきり解る女幽霊。それは、夕焼けの色をした目を細めてくすくすと笑った。
「私はタソガレアリス、怪談の国の女王よ」
「へェ、女王陛下の御来校たァとんでもねぇイベントだな。バカの国のジョオウサマってかァ?」
雑に挑発して様子を見てみるも、女王を名乗るだけはある。髪の毛一筋の動揺もない。この廃校を司る一彦の威圧を受けても、涼し気な顔を崩しもしないのだ。一彦はあからさまに舌打ちして、女幽霊を睨み上げた。
「……ふぅん、オマエはワタシのことを知らないのね」
「お前の国も知らねェからな。その……バカの国って国連に加盟してる? それくらいデカけりゃわかるンだけどなァ」
対して、女幽霊は氷のような視線で一彦を見下ろす、見下す。女王の自称に違わぬ傲慢、それに一彦が更に口を開きかけた時だった。
「それならば わたしをみている おまえはだぁれ?」
ちばしった めが おまえを みている。
この教室は、墓場だ。助けられなかった、憎たらしい、名前を思い出せない、あの少女の。何も知らないバカどもに荒らされていい場所ではない。
「……で、お前はどちら様でェ?」
だから一彦は、斜め上を見た。そこに浮かんでいるのは、さっき殺したはずの女と瓜二つ、なのに全く違う存在だとはっきり解る女幽霊。それは、夕焼けの色をした目を細めてくすくすと笑った。
「私はタソガレアリス、怪談の国の女王よ」
「へェ、女王陛下の御来校たァとんでもねぇイベントだな。バカの国のジョオウサマってかァ?」
雑に挑発して様子を見てみるも、女王を名乗るだけはある。髪の毛一筋の動揺もない。この廃校を司る一彦の威圧を受けても、涼し気な顔を崩しもしないのだ。一彦はあからさまに舌打ちして、女幽霊を睨み上げた。
「……ふぅん、オマエはワタシのことを知らないのね」
「お前の国も知らねェからな。その……バカの国って国連に加盟してる? それくらいデカけりゃわかるンだけどなァ」
対して、女幽霊は氷のような視線で一彦を見下ろす、見下す。女王の自称に違わぬ傲慢、それに一彦が更に口を開きかけた時だった。
「それならば わたしをみている おまえはだぁれ?」
ちばしった めが おまえを みている。
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