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九章 アーク
一
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巫女、という職業がある。神より言葉を賜り、それを人々へと伝える職業だ。基本的に女性しかなれず、また神の言葉を賜るに相応しくあることが必須であることから、希少な職業だと認識されている。
「ふはーははは!! 我こそは魔王様の元右腕、ヴォジャノーイである!!」
「嘘だろ!! あっ間違えたどうぞそのまま続けて!!」
自称、魔王様の元右腕、ヴォジャノーイ。彼女はいかにも悪役だと言わんばかりの黒いドレスローブを纏い、いかにも悪い魔法を使いますよと言わんばかりの禍々しい杖を掲げていた。が、その顔はまだあどけなく、体型も女性というよりは子どもめいている。
そんな彼女にツッコミを入れてしまったのは、他称、魔王の右腕、ヴォジャノーイことノーイ。いつもの冴えない中年男性冒険者姿で、安作りの槍を片手に肩を落とした。
何故こんなことになっているかというと。
事の起こりはその数日前、誰憚ることなく聳え立つエロトラップダンジョンの最上階にて。大神官のシェムハザは、ダンジョンの雑用係にして彼の師匠(非公認)にして彼の最愛(完全拒否)であるノーイにその話題を振った。
「魔王様の元右腕、ヴォジャノーイが猛威を振るっているとか」
「え……何それ知らん怖……」
シェムハザとノーイの間では秘密でも何でもないことだが、ノーイは先代魔王の右腕として暗躍していたモンスターであった。今は人間に化けて人間のふりをして暮らしているのだが、その理由は迫害されることなく楽して生き延びたい、その一点に尽きる。
だから、魔王様の元右腕だなんて名乗るはずがないし、何より魔王の右腕と不本意ながら呼ばれていた自分は今ここにいる。ということは、そのヴォジャノーイとやらは偽物だということだ。
とはいえ、偽物がいてそれが暴れているのはとても困る。ヴォジャノーイは先代魔王の死と共に死んだのだ。そういうことになっていないと、討伐隊が組まれたり暗殺者を差し向けられたりしてしまうのだ……と、ノーイはそこで閃いた。
「もしかしてソイツの首を取ったらヴォジャノーイは死んだって証になる?」
「そうなるでしょうね」
「よし今すぐ討伐に……ソイツって強い? いやまぁ強いよな、何せ魔王の右腕なんて名乗っちゃってるんだもんな……」
「魔法に長けているものの、姿形としてはまだ幼い少女だとか」
「うーんぎりぎり殺せるか……? いくら利点があっても危ない目に遭うのはな……」
本物の魔王の右腕が何か言っているなぁ、とはシェムハザの内心であったのだが、ともあれ、このような経緯でノーイはヴォジャノーイ討伐へと向かった次第であった。
「ふはーははは!! 我こそは魔王様の元右腕、ヴォジャノーイである!!」
「嘘だろ!! あっ間違えたどうぞそのまま続けて!!」
自称、魔王様の元右腕、ヴォジャノーイ。彼女はいかにも悪役だと言わんばかりの黒いドレスローブを纏い、いかにも悪い魔法を使いますよと言わんばかりの禍々しい杖を掲げていた。が、その顔はまだあどけなく、体型も女性というよりは子どもめいている。
そんな彼女にツッコミを入れてしまったのは、他称、魔王の右腕、ヴォジャノーイことノーイ。いつもの冴えない中年男性冒険者姿で、安作りの槍を片手に肩を落とした。
何故こんなことになっているかというと。
事の起こりはその数日前、誰憚ることなく聳え立つエロトラップダンジョンの最上階にて。大神官のシェムハザは、ダンジョンの雑用係にして彼の師匠(非公認)にして彼の最愛(完全拒否)であるノーイにその話題を振った。
「魔王様の元右腕、ヴォジャノーイが猛威を振るっているとか」
「え……何それ知らん怖……」
シェムハザとノーイの間では秘密でも何でもないことだが、ノーイは先代魔王の右腕として暗躍していたモンスターであった。今は人間に化けて人間のふりをして暮らしているのだが、その理由は迫害されることなく楽して生き延びたい、その一点に尽きる。
だから、魔王様の元右腕だなんて名乗るはずがないし、何より魔王の右腕と不本意ながら呼ばれていた自分は今ここにいる。ということは、そのヴォジャノーイとやらは偽物だということだ。
とはいえ、偽物がいてそれが暴れているのはとても困る。ヴォジャノーイは先代魔王の死と共に死んだのだ。そういうことになっていないと、討伐隊が組まれたり暗殺者を差し向けられたりしてしまうのだ……と、ノーイはそこで閃いた。
「もしかしてソイツの首を取ったらヴォジャノーイは死んだって証になる?」
「そうなるでしょうね」
「よし今すぐ討伐に……ソイツって強い? いやまぁ強いよな、何せ魔王の右腕なんて名乗っちゃってるんだもんな……」
「魔法に長けているものの、姿形としてはまだ幼い少女だとか」
「うーんぎりぎり殺せるか……? いくら利点があっても危ない目に遭うのはな……」
本物の魔王の右腕が何か言っているなぁ、とはシェムハザの内心であったのだが、ともあれ、このような経緯でノーイはヴォジャノーイ討伐へと向かった次第であった。
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