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ドラゴンの雌の谷〜魔王城
カグラ5
しおりを挟むんっ?何かさっきより視線が強くなってない?何その「あ~あ、やっぱり何の反省もしてないな」みたいな目は?!
母さんだけは更に面白そうな目をしてあたしに言う。
「そうよね?せっかくだから、イアンにも契約精霊を持たせましょうよ?」
「「「「「「「はぁっ?!」」」」」」」
その場にいる母さん以外の全員の声が揃った。
「だって、黄龍、黒龍、白龍がいるなら赤龍、青龍もいるはずよ?他にもまだまだドラゴンの精霊がいるかもしれないし。
エリンさんは今のイアンより一歳上の時に黄龍と契約したんでしょ?イアンにも可能性があるって事じゃない?」
「そ、それはそうだけど、聞くところによるとエリン様の天真爛漫さと強さは異常らしいし・・・」
「それでも可能性はゼロじゃないでしょ?
一度エリンさんに会いに行って、どうにかして他のドラゴンの精霊に会わせてもらいなさい。それで契約を申し出て拒否されたら理由を聞いてくるのよ?そしたらあたしがその理由がなくなるようにイアンを鍛えてあげるから。ねぇココ?」
「そうね。鍛えがいがあって楽しそう!ドラゴンの精霊ってどのくらい強いのかしらね?」
正直あたしもビックリしすぎて引いた。その発想はなかったなぁ!
「すごいわ!流石母さん!!それ良い!
イアン?そうしましょうよ?!」
「えぇっ?!カグラ様、カグヤ様、流石に無理ですよ?!おふくろは特別なんですって!無邪気で無垢な魂が好きな精霊がオレなんか相手にするはずないですよ?!」
「そんなの聞いてみなきゃ分からないじゃない?強くて純粋な魂なら大丈夫だと思うんだけど?
まぁ、とにかくエリンさんとリンゼ?に会って来なさいよ。」
「そうだ!イアン、ミランも連れて行きましょう!赤龍と青龍がいるならミランも契約出来るかもしれないし?!」
「えぇっっ?!いや、ちょっと、オレはそんな大それた事をするつもりはなくて・・魔族の方々も、遠くの最南の島に契約精霊を持つドラゴンがいる分には良くても、近くの谷にそんなドラゴンがいたら迷惑ですよね?って、オレもミランも契約なんて出来るわけないんですけどっ!!
あぁ、もう何言ってんだオレ??」
「落ち着けイアン。カグヤもカグラもこういうヤツだ。そして、こいつらが言い出したりやり出した事は、どれだけ突拍子のない事でも現実になって結果オーライになるんだ。諦めろ。」
魔王様がイアンを宥めている。何か仲良くなれて良かったじゃない?
「あっはっはっは!!最高だなっ!そうだぜイアン?あっ、おれは前魔王のジュンだ。そこの現魔王とカグヤの父親でカグラの祖父でもある。よろしくな。
イアン、お前カグラに絶対服従してんだろ?なら従え。なぁに、悪いようにはならねぇよ。
だってよ、おれらが面白がってやり始めた事が失敗するはずねぇし。万が一失敗してもそれが吉となるからよ。」
おぉっ!流石ジュン様!元祖無敵の破天荒魔族!!
そうよね。あたしたちがやった事で悪い方向に向かった案件なんかないもの。しかも今回は母さんの発案であたしが動くのよ?ジュン様の後押しまであるし、失敗する未来なんてありえないでしょ?!
「ルイ・・オレ何か色々辛いから慰めてくれ・・・」
はいはい。ショウは勝手にルイとイチャイチャしてなさい。
黙って聞いてるシグ様が怖いわね・・何考えてるのかしら?
「・・カグラ様、私、先程から色々と考えておりますが、反対する理由が思い浮かびません。イアン様に契約精霊が出来たとしても、カグラ様に絶対服従しているうちはむしろ魔族側の戦力です。
そしてミランさまが契約精霊を持ったとしても、カグラ様がいる限り友好条約は守られそうですし、危険分子の雄のドラゴンを抑えてくれるのならありがたいくらいです。
強いて言えば、今後契約精霊を求めるドラゴンが出て来るくらいですが・・それはイアン様、ミラン様が契約出来てから考えると致します。それがどの程度の難易度か今は分かりませんし。まぁ、ドラゴン側もババ様が対策を練るでしょうからね。」
あら、シグ様に同意されるなんて!
「改めまして、正確な情報をありがとうございました。ドラゴンの契約精霊がいるなどという情報が変に歪曲して伝わったなら、大変な事になったかと思います。私も間違った選択をしないですみました。重ねてお礼を申し上げます。」
ぎゃーっ!!
シグ様にお礼を言われるとかっ?!逆に何か怖いんですけどっ?!
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