5 / 15
2章 華栄の君に告ぐ
学園生活 その1
しおりを挟む入学式は恙無く終わり、教室へ移動することとなった。
この学園では家格、成績、功績などを総合的に評価し上下2クラスに分けられる。
(あ…あの人たちも一緒なんだ)
先程アリアが見比べていた7人はどうやら同じクラスらしかった。王子を含むこのクラスが上位クラスなのだろう。
教室に行くため長い廊下を歩きながら前世のことを思い出す。
(うわぁ~…懐かしい!!この、学校特有の雰囲気!同世代の人が集まってる活気!)
前世から数えて、学校に通うのはおおよそ20年ぶりだった。今は14歳の少女とはいえ生きた年数としては親の世代だ。身体は若くとも意識はアラフォー。今から通う学校にノスタルジーを感じるのは年のせいだろうか。
そんなことを思いながら廊下を歩く。
(さすが貴族の学校!大学並みね!)
講堂から教室まで15分もかかる中学校などないだろう。思えば校門から学舎までも馬車で10分ほどかかったのだ。学園の敷地は相当に広大なのだろう。
ぞろぞろと教師に連れられて歩いていた集団が止まる。どうやら教室に着いたらしい。
綺麗な彫刻の施された扉をあけて教室に入るとそこには飴色の木で作られた椅子と机が並んでいた。
「ファンタジーじゃん…」
思わずそう呟く。
教室は高低差のある作りで教壇が1番低く、それに向かい合うように作りつけの長机が並んでいる。
前世でも同じような教室の作りは見た。大学で。しかし素材が違うのだ。前世のように軽くて使い勝手の良い素材ではなく、重い木が使われており重厚な雰囲気を放っている。貴族の子女が通うため椅子の背もたれと座面は厚いクッションがついている。
(うーん!凄く体にフィットしなさそう!骨格とか全然考えずに見た目だけで作ってある!)
教室に夢と不安を抱きつつ席につく。
座席は決まっていないらしかったので、最前列に座る。この世界についてせっかく説明してくれるのだから聞き逃すわけにはいかない。
チラリと後ろを見やって席順を確認する。
(斜め後ろにセリム、教室のど真ん中にロベルト、ユリウス、レオン、ジニア…この4人は仲がいいものね。えぇと、その後ろにピンクの髪の子、後ろから2番目の列に緑髪の子…)
(あれアリアは最後列なんだ。意外)
家格ではなく、成績と功績でこの学園にいるらしいアリアを物凄く真面目なガリ勉タイプだと思っていたために、最後列というのに少し驚く。
(これからの学園生活、楽しむぞ~!!)
これから、学園生活が始まる。
0
あなたにおすすめの小説
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる