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2章 華栄の君に告ぐ
その2
しおりを挟む学園生活、同世代の友人と長い時間同じ空間で生活するというのは新鮮だった。これまで王妃となるべく生活してきたため生活の中に娯楽と呼ばれるものは殆どなかった。
教育と教養、そして社交。それだけでプラナの人生は構成されてきた。同世代の女の子はみんなライバルであったため王子の婚約者として決定されるまでは腹の探り合い、蹴落とし合いで友情なんて育める環境ではなかった。
「ねぇ、今度一緒に演劇でも見に行きませんこと!?」
「行きましょうよ!ねぇ、プラナ様も楽しそうだと思いますわよね?」
「もちろん!」
(女の子どうしてキャッキャするの楽しい~~~!!)
学園生活を初めて一月、初めての友人とも言える令嬢と遊びにいく計画を立てていた。
このあたりは現代とあまり変わらないのだろう。グループが出来上がり、休み時間になると集まってお喋りするのだ。
プラナの属するグループは4人で構成されておりいずれも公爵家の令嬢であった。
巻き髪が可愛いリリアンと、まつ毛が長いガーネット、それに制服にフリルやパールをちりばめてドレスのように仕立てたジーナ。
それが「イツメン」というやつだった。
もちろん婚約者として王子といることもあるのだが、王子とは恋愛関係ではなかった。王子の方も穏やかな関係であれば良いと思っているのか、それとも単に王妃に恋愛など求めていないのかはわからなかったが2人は非常に穏やかな、言ってしまえばビジネスパートナーのような関係を築いていた。
アリアは友人は多いもののどこかのグループに属しているわけではないようだった。
(愛し子ゆえの博愛主義なのかしらね?)
アリアの入学理由は「愛し子であるから」らしかった。魔法のないこの世界で唯一魔法が使えるのが愛し子らしい。
アリアは10歳の時に力に目覚め、疫病とその薬について予言し、去年予言が現実となったことで愛し子として認められたらしかった。
(やっぱり貴族の中に混じるのは大変よね…)
わかるわかる!と心の中でうなずきつつ、会話の途中にアリアの方を見る。
今日は疲れているのかアリアは机に突っ伏していた。
休み時間が終わりに近づき、授業の準備をするために自分の机へと戻る。
チャイムと共に先生が教師に入ってきた。
「…ぉ、おとめげーむっっ!!!」
(おとめげーむ?…乙女ゲーム!?)
前世でしか聞いたことのない単語に驚き振り返る。突っ伏していたアリアがガタッと音を立てて立ち上がったところだった。
アリアはキョロキョロと辺りを見回して、照れたような笑いを浮かべる。
「えへへ…すみません寝ぼけたみたいです…
恥ずかしい…」
そう言って頬を赤らめるアリアを見て他の貴族たちはクスクスと笑っていたが私は笑えなかった。
すると、アリアと目が合う。
ハッとして椅子に座り直し平静を装うが、
おかしな顔をしていたのは明らかだろう。
授業の内容なんて少しも頭に入ってこなかった。
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