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海が綺麗ですね。

59 蛇島 神楽 Side

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 なぜ俺は今、自分よりも背の高い男に抱きつかれているのだろうか……

 「可愛い!可愛いぞ蛇島~!」

 そしてなぜ可愛いと連呼されているのか……

 「おい……やめろ、どけ。」
 「え、ああ、すまない。つい……」
 (何がついだよ…)
 「……………………おい、俺はどけと言ったんだが?」
 「どいているぞ。」
 
 そう言いながら、俺の上から離れる気配がない。

 「俺の上からどけって言ってんだよ!」
 「ああ、分かってる。」
 「っっ!」
 (………性格悪い……。)
 「いい加減にしろ、それと、俺は可愛くない。」
 「ははっ、そこを気にするんだな。」
 「?、笑ってないで、どけって言ってんだろ。」
 「ああ、だが、俺には少し話さなければならない事がある。もちろんこの体勢で。」
 「チッ…さっさと言え。」
 「では、

 愛してる。」
 「!!、な、何…いきなり……。」
 (こいつ…いきなり何言って……。)
 「そのままの意味だ。
 どうやら、お前は俺に愛されている自覚が薄そうだからな、再確認させるためだ。」
 「っ…いらねぇよ、そんなの……。」

 俺は顔を見てる事ができなくなって、顔をそらした。

 「そらすな。」 
 「っ!」

 俺の顎を掴んで顔を先程よりも近づけて来た。

 「何度でも言うが、俺はお前を愛している。お前の事を俺は心底可愛いと思うし、愛おしい。それだけは、忘れるな。」

 それだけ言うと、俺の上からどき、俺を立たせて体のゴミを払うと、またな、とだけ言って校舎に戻って行った。

 「………何なんだよ……。」

 俺は壁に寄りかかると、ズルズルと腰を降ろした。

 (本当に……何なんだよ…………アイツ…。)

 アイツ………俺に会ったばかりなのに告白してきたり、絶対に可愛くないのに可愛いと言ったり、訳がわからないあの、那之原一正とかいう奴。
 
 「……無理だ………」

 俺は那之原が嫌いな訳ではない。むしろ人間としては好ましく思う。

 だが………

 「駄目なんだよ………」

 俺はいずれ、帰らなければならないのだから

 あの家へ

 あの、複雑な無数の蜘蛛の巣が張られている、蟲の家へ














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