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前を向いていこう
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サヴェージがすっきりした顔で王都へ戻る。ヴィクトリア達はまだ領地にいる。ヴィクトリアは祖母にこっそりと相談している。
「私、卒業したら冒険者もいいかと思って」
ユリアはにこにこと笑いながらヴィクトリアに告げる。
「それはポールに相談なさい。あの子がいい方法を知っているわ」
ヴィクトリアは不思議そうな顔になる。
「お兄様?」
「そう。あの子は同じ道を通ってるからね。貴女の考えの一助となると思うわ」
昨夜、すっきりとした顔のサヴェージに改めて謝られたヴィクトリア。今までのとりあえず謝っておけばいい、という態度ではなかった。
「子供の時から、すまなかった。色々親として導かねばなどと気負い過ぎていた。一番最初のトリアは私と違う人間、違う個人である、という前提を忘れていた」
ヴィクトリアもこの謝罪を受け入れた。親子は庭をゆっくりと歩く。
「私は近いうちにポールに爵位を譲る」
「譲ってからどうされるのですか?」
「元の暮らしに戻るさ。エリスは……家内の補佐としてセバスの補佐に着ける。その下にメイド長のアリサが着く形になる」
アリサとエリスは仲が良いし、アリサの夫であるセバスは信用できる人物である。
「ポールの補佐は彼らに頼むから……トリアは自由に生きてくれ」
「ええ、お父様。私は私が良いように動きます」
ヴィクトリアは静かに答える。
「怪我などをしないで欲しいのは親心だな」
サヴェージが深い溜息をついた。
「私が引退するのはこの年末だな。ポールと話を詰めながら、な」
そんな話を前日にしたのでヴィクトリアの中で一度は冒険者として暮らしたい、という気持ちが大きくなったのだ。子供の頃から令嬢としての生活が好きではなく領地に帰った時のサイラスとの森の生活が楽しかった、というのが大きい。
領地にいる間はメイドの手を借りず生活できるのも好きだった。そんな自由な生活も終わり領地からの帰りの馬車内でポールとサヴェージが引退する事を話している。
「お父様、何があったんでしょうね?」
「お祖父様と話してからだものね。……公爵を継ぐ事でライザ王女との婚約も表に出せるのは良かった」
ライザ姫はポールの内々の婚約者で幼い頃からの口約束があったのだが、そこにヴィクトリアとシャルル元殿下の婚約が先に入り込み宙に浮いていたのだ。一つの公爵家が王子王女と結びつくのはいかがなものか、と言われていたのでライザ王女とポールは先に進めずにいた。
私とシャル殿下が離れたのはいい事でもありった、とヴィクトリアは改めて思った。ライザ王女とポールの間には愛情がちゃんと育まれている、私とシャル殿下の間には友情に近いものだったな、とも。
帰宅すると、学園からの合格通知がヴィクトリアを待っていた。
「おめでとう、トリア」
「良かった」
サヴェージとポールが口々に祝いを述べる。
「領地の父上にも知らせねばな」
サヴェージは早々に執務室に向かった。
「……なんか、父上照れてるな、あれ」
とポールがにやりと笑いながらヴィクトリアに語りかけた。
「私、卒業したら冒険者もいいかと思って」
ユリアはにこにこと笑いながらヴィクトリアに告げる。
「それはポールに相談なさい。あの子がいい方法を知っているわ」
ヴィクトリアは不思議そうな顔になる。
「お兄様?」
「そう。あの子は同じ道を通ってるからね。貴女の考えの一助となると思うわ」
昨夜、すっきりとした顔のサヴェージに改めて謝られたヴィクトリア。今までのとりあえず謝っておけばいい、という態度ではなかった。
「子供の時から、すまなかった。色々親として導かねばなどと気負い過ぎていた。一番最初のトリアは私と違う人間、違う個人である、という前提を忘れていた」
ヴィクトリアもこの謝罪を受け入れた。親子は庭をゆっくりと歩く。
「私は近いうちにポールに爵位を譲る」
「譲ってからどうされるのですか?」
「元の暮らしに戻るさ。エリスは……家内の補佐としてセバスの補佐に着ける。その下にメイド長のアリサが着く形になる」
アリサとエリスは仲が良いし、アリサの夫であるセバスは信用できる人物である。
「ポールの補佐は彼らに頼むから……トリアは自由に生きてくれ」
「ええ、お父様。私は私が良いように動きます」
ヴィクトリアは静かに答える。
「怪我などをしないで欲しいのは親心だな」
サヴェージが深い溜息をついた。
「私が引退するのはこの年末だな。ポールと話を詰めながら、な」
そんな話を前日にしたのでヴィクトリアの中で一度は冒険者として暮らしたい、という気持ちが大きくなったのだ。子供の頃から令嬢としての生活が好きではなく領地に帰った時のサイラスとの森の生活が楽しかった、というのが大きい。
領地にいる間はメイドの手を借りず生活できるのも好きだった。そんな自由な生活も終わり領地からの帰りの馬車内でポールとサヴェージが引退する事を話している。
「お父様、何があったんでしょうね?」
「お祖父様と話してからだものね。……公爵を継ぐ事でライザ王女との婚約も表に出せるのは良かった」
ライザ姫はポールの内々の婚約者で幼い頃からの口約束があったのだが、そこにヴィクトリアとシャルル元殿下の婚約が先に入り込み宙に浮いていたのだ。一つの公爵家が王子王女と結びつくのはいかがなものか、と言われていたのでライザ王女とポールは先に進めずにいた。
私とシャル殿下が離れたのはいい事でもありった、とヴィクトリアは改めて思った。ライザ王女とポールの間には愛情がちゃんと育まれている、私とシャル殿下の間には友情に近いものだったな、とも。
帰宅すると、学園からの合格通知がヴィクトリアを待っていた。
「おめでとう、トリア」
「良かった」
サヴェージとポールが口々に祝いを述べる。
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