公爵令嬢姉妹の対照的な日々 【完結】

あくの

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入学しました。

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 「ようこそ、素材探索研究会へ」

学園とヴィクトリアの行っていた花嫁学校は制服が同じでタイのデザインが違うのでタイを帰るだけで良かった。元のえんじ色のリボンをストライプのものに付け替えてヴィクトリアは新学期に臨んだ。
 花嫁学校からの移籍組は50人中40人が女性で学園からの移籍組と比率が逆であった。通称花嫁学校は女性が多くいるが男性も入学できる学校で数少ない男性は肩身が狭いらしい。学園の入学金が高く出花嫁学校の方へ通っていた生徒もいたらしい。今回の改定で学園と花嫁学校の学費、入学金も同じなった。

 ヴィクトリアはポールに卒業後冒険者に……と相談すると、

『学園の部活、素材探索研究会ってのがあるからそこに所属するといい。部活の一環で冒険者登録必須でね。プロスペール殿下が設立した部活なんだけど、今、卒業生に現役の冒険者がいるから話しも聞けるかもだしね』

ポールはそう言いヴィクトリアも納得した。

 部室に入った途端、歓迎の挨拶を飛ばされてヴィクトリアは面食らう。そしてそこにいるメンバーを見てもっと面食らった。双子の第四、第五王子、顔見知りの公爵令嬢、令息、侯爵令嬢、名だたる高位貴族の令嬢令息がいるのだ。

「……あの、ご用件は」

ヴィクトリアは声を出しそびれていたので改めて挨拶をする。

「バイユ公爵家が娘、ヴィクトリアと申します。入部を希望してこちらにまいりました」

「え?トリアちゃん?」

奥から最年長の侯爵令嬢が表れた。従姉のミネルヴァだった、ミネルヴァ・エステー侯爵令嬢は母方の従姉、母の兄の一人娘だった。

「なんで……、ああ、花嫁学校からの転入?」

「ええ、試験に受かりましたの」

ミネルヴァが訊ねる。

「貴女は何故この研究会へ?」

「私のやりたい事の助けになると兄に言われました」

幼いころは仲の良い従姉だったが、母の亡くなった翌年から交流が無くなった。共同事業の事で伯父とサヴェージが揉めたと聞いている。

「そうなの。……この研究会の説明は聞いた?」

「いえ、まだです。今、入室したところなので」

アルベール殿下が声をかけてくる。

「トリア、こっちにおいで。入部届書いてもらうから」

ミネルヴァはアルベールにべぇと舌を出した。

「トリア、お話したい事があるからこれ終わったらカフェテリアに行きましょう」

ミネルヴァが誘いヴィクトリアも了承した。

「じゃ、書きながら聞いてね」

ヴィクトリアは入部届にちゃんと眼を通して座りなおす。

「いえ、お話伺います」

そんな様子をみてアルチュールはくすっと笑っている。

「ここはプロスペール兄上が設立した部活だ。俺達王族の男子は自動的にこの部活に所属する。理由は、ほぼ冒険者と同じ生活を夏と冬、春の長期休みに1週間から10日、実行するから。女子は……都合次第だな。春と夏は女子も参加する事多いね。大体5~6人ずつのパーティを組んでギルドの依頼をこなしていく感じだ。採取と調達がメイン。研究会の名を借りた現場体験、ってところだ」

「って建前ね」

アルベールはまぜっかえす。

「この部活は紹介が無いと入れないんだ。理由は高位貴族の為の部活であるからね」

あとは兄上の手先が活動するためだからね、と心の中でアルチュールは付け加える。プロスペールの手先が冒険者ごっこという建前で色々な事をこなすため、というのはポールは知っているだろうにともアルチュールとアルベールは思う。

「僕ら王族や高位貴族でこういう冒険者生活に興味はあれどトリアやポールのように実体験させてもらえることはまずないから僕らは身分をぼかして冒険者登録をし、実際に経験する。……もちろん優秀な治療師を連れて行くし、王宮の影が着いたりするのはしかたないけどもね」

アルベールはふーと息を吐く。

「これは愚痴だけどね」

アルベールはにっと笑う。

「ま、次の金曜日の放課後は新入生の冒険者登録と小物を揃えに行くよ」

ヴィクトリアは自然な笑顔で笑い頷いた。
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