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カフェテリアにて

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 「では行きましょう」

初日のオリエンテーションが終わるとミネルヴァが迎えに来た。最上級生のお迎えにクラスメイトはちらちらとヴィクトリアを見る。
 ヴィクトリアの所属したクラスはAで上位30人が問答無用で所属になるクラスであった。B組が公侯伯爵当たりが所属する。ただしクラスは一応成績順でBは高位貴族多め、Cは伯爵以下の成績優秀者、D、Eと成績は落ちていく。またDはお金を持っている平民も多い。
 Aにいるのは王宮勤めの文官を目指している人間が殆どで、学年1~3位は入学金、学費、食堂、カフェテリアでの食事がただなのでこれを狙っている人間も多い。クラスの中の試験の順位は上位10名が発表される。ヴィクトリアは10位だったのだが、他の生徒からどよめきが生まれた。去年まで花嫁学校の生徒だった女子に負けたというくやしさが声から漏れている。
 そんな声をヴィクトリアは歯牙にもかけない。

 カフェテリアの奥まった席は半個室、かつかなり広くとられており隣から話を聞こうとしても間の壁が厚く、かつしっかり防音の処置をされているの話を盗み聞きするのは殆ど不可能だった。

「久しぶりにトリアちゃんに会えてうれしいわ」

ミネルヴァは喜んでいる。

「兄とは会ってなかったんですか?」

「会ってましたよ。私は王女と仲良くしてましたから毎日のように手紙を届けてたし。おかげで私とポールの噂が大きくなったからお父様の機嫌悪い事」

ミネルヴァはくすくす笑っている。

「で、本題」

ヴィクトリアは大人しくミネルヴァの言葉を待つ・

「貴女のお父様と私のお父様、仲直りさせたいなって。前みたいに行き来したいな、とか思って」

「難しいでしょう」

ヴィクトリアははっきりと言う。ここで切ってしまうと会話じゃなくなる、と祖母の教えを思い出す。

「なのでまずは私たちが仲良くすることから始めませんか?」

ミネルヴァは素直に本音を口にした。

「サヴェージ叔父様、冒険者だったって聞いたから話たかったんだけど」

ヴィクトリアは暫く考えている。

「……お姉様は会員制の本屋、知ってます?」

「アルベール殿下とアルチュール殿下のお供で入るだけだわ」

「会員ではないのですね?」

「いえ、会員ではあるんですけど一般会員なので利用できるエリアが決まってるの。中庭に面したカフェとかは殿下達のお供でしかはいれないわ」

そのままヴィクトリアは知らなかった事を聞いた。ヴィクトリアが使うカフェや会議室を使うにはかなりの会費か必要な事。それに加えてプロスペール殿下が許可を下ろさなければその会員にも成れない事などを教えられる。
 ヴィクトリアはプロスペールから直接会員証を貰ったのでよく知らなかった。

「トリアちゃんは奥に入れるの?」

「ええ。お兄様がプロスペール殿下とお友達だからでしょうか」

ミネルヴァが少しだけ意地悪く笑う。

「あの第六王子の元婚約者でしたものね。養い子に盗られちゃったけど」

ヴィクトリアはふっと笑う。この話もしたかったんだろうなと思い、笑っているミネルヴァ
の顔を見る。

「その件の話はしません。……お姉様が本気で父の話を聞きたければ兄を通して約束を取るといいですわ。私はその件にもノータッチとさせていただきます」

にっこりと華やかに笑いビクトリアはその半個室から立ち去った。
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