公爵令嬢姉妹の対照的な日々 【完結】

あくの

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内緒話

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 トリアが小屋に入ったらアルベールも起きてきた。アルベールもアルチュールと同じ様に珈琲を手に入れ座る。
 アルベールは何かの魔道具を出す。

「これば雑音を出してこの辺りの音を拾いにくくする魔道具だ。これから内緒話をしたくてね」

「分かってます」

サヴェージはなんの話が見当がついている様だ。

「貴方がうちの母親の草だとは」

アルチュールに言われてサヴェージはふっと笑う。

「そもそも貴方がたの母親は」

「影の一族だからね」

双子は揃って座ると微妙に似てないのがわかるが、二人をよく知らない人間には見分けがつかない。

「それと私は草というほど忍んでませんよ。私に目を集めて、本物を隠す係とでも言いますか」

「まぁ、あのクランに目をつけてる人は多い」

「貴族の子弟しか居ませんからね」

サヴェージは真顔になりアルチュール、アルベールにはっきりと言い渡す。

「私のしてることをトリアにさせるのは無理ですよ。あの子は正直で裏がなさすぎる」

アルチュールが頷く。

「分かってます。私たちがこの話をしてるのは……、二人のうちどちらかが彼女に求婚するので許可をいただきたくて」

「な?」

サヴェージの予想外の事を双子は言い出した。

「どちらかが貴方の今やってる事を引き継ぐつもりです」

アルベールはそう言う。

「それに、トリアは王子妃教育終わらせてるでしょう?」

「そうだが」

サヴェージはピンときてない。

「陛下も正妃様も宰相もトリアを外に出しませんよ。……今のままなら修道院行きになるかも」

アルチュールの言葉でサヴェージも悟った様だ。ヴィクトリアは王子妃教育を終わらせているので外国に出せない程度に国内の秘密事項を知っているのだ。そしてトリアの頭が有ればデータを見てかなり正確な予測値を出せる。

「そんな人間を外国に出すのはもちろん」

アルベールが爆弾を落とす。

「王太子の側女にするなんて勿体無くて」

「側女?」

サヴェージの片眉が上がる。

「ええ。王太子うちのボンクラがトリアを所望だそうです。……王太子妃も王太子と似たり寄ったりの人ですしね」

今の王太子妃は王弟殿下のところの長女で、頭の出来はいまひとつ、容姿は残念ながら陛下そっくりで宝石に執着する残念な方だった。

「王太子も王太子妃も、仕事の出来がちょっと、ね」

「ポールが帰宅できないのもそのせいか」

「ライザ姉様が、ポール売りましたからね。シーズン毎のドレスと引き換えに。公爵家の事業、どれもこれもプロスペール兄上がかんでるからライザ姉様の思う通りに出来なくてそれで王太子派に金で寝返った感じ。そもそもは中立だったんだけど」

アルチュールが説明する。

「ポールが取り込まれてるって事は?」

サヴェージが冷徹な表情だ。

「そんなことになったらプロスペール兄上がサヴェージ殿なりサイラス殿なりを動かしてますよ」

サヴェージかふっと笑う。

「信用されてるんだな、俺も親父殿も」

「貴方やサイラス殿が王太子派になったら我が国は終わりますね」

サヴェージは少しあきれ顔だ。

「そこまでぶっちゃけていいんですか?」

「腹を割るためには必要でしょう?」

サヴェージはそんなことを言うアルチュールを細い目で見る。

「で、どちらがトリアと結婚したいと思ってるんだ?というか……トリア、結婚したいんだろうか?」

サヴェージの呟きに二人は顔を見合わせた。

「私が言うのもなんだが、ポールと相談してくれ。あいつが一番ちゃんとトリアの事を考えられると思う」
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