聖女は断罪する

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20. 隠し教室と親石子石(15の続きから始まります)

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 「貴女の弟子ですか」

「そう。そしてドゥエスタンの正嫡」

「理解した」

レイラ自身は今一つわからない会話が師匠と少年の間で交わされていた。

「必要な時にその子の味方になれ、が今回の報酬って事かな?」

「正解」

ヴィヴィアンヌはどきりとするくらい艶やかに華やかに笑った。

「この件、内緒にしてくれるなら」

「……お母様には伝えませんが、宰相と執事には伝えます。宝物庫の入口のセキュリティが甘くなってると」

少年は小さな溜息をつき言った。

「落としどころはそんなとこかな」

「殿下がセキュリティを破った上でそれをもって相談に来た、って事にしておきますから」

「ヴィヴィアンヌ、イイ女だな」

「今更」

ヴィヴィアンヌは少年の額をつつく。少年はにやり、と笑う。

「ちなみに、一昨日まではここ普通に空き教室だったからね?」

ヴィヴィアンヌの片眉が上がる。

「宝物庫のセキュリティが甘いのは本当だけど……それ持ち出したのは俺じゃない。俺はそういうものあげる相手はいないからね」

「……アルマン殿下ですか」

「好きな子の気を引くのに使うつもりだったみたいだね。正妃様の娘時代のチョーカー」

「……これに使ってる石は国宝なんですよ、陛下、やりやがった」

ヴィヴィアンヌが頭を抱える。

「これの親石は陛下の宝剣についてるやつです」

「あ、正装の時、腰に掃いてるやつ」

少年の言葉にヴィヴィアンヌは力なく頷く。

「……陛下には私から申し上げます。が、これを与えてたら正妃にするしかないわ、そりゃ。フィールズ老は大喜びだっただろうよ」

ヴィヴィアンヌはちっと舌打ちをしている。レイラは置いてけぼりだな、と考えていた。
 少年はレイラに不意打ちで沈黙の契約の魔法をかけたが、ノーモーションで防がれた。

「殿下、おいたがすぎます」

ヴィヴィアンヌは少年のおでこを弾く。少年はヴィヴィアンヌがかけたのかと思ったがレイラ自身が防御したのを悟って驚いていた。少年の魔法をノーモーションで防いだのは二人目で、最初の一人がルシアだった。ルシアの防御は防御というよりも魔法自身を全て吸い込んで無効化する形だった。レイラは完全な光の障壁が魔法をレイラに届かせない、そんな形だった。

「クリストフ殿下、レイラの事は心配無用。そろそろ姿を隠さないと、ここに人が近づいてます。私がここにいますから貴方はここから離れてください」

「分かった」

少年はそういい、ふいっとレイラが来たのとは反対方向に歩いて行った。レイラがヴィヴィアンヌに視線を向けるとヴィヴィアンヌは頷いた。

「向こうの端に王族用の秘密の通路がある」

ヴィヴィアンヌの答えにレイラは満足した。


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