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36. ルシアとレイラの昼食デート
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レイラは食堂でルシアと落ち合う。
「ルシア、寮にはなれたかい?」
ヴィヴィアンヌとレイラは一緒で、食堂の2階にある個室でルシアを待っていた。この部屋はライン公爵家専用で用意されている部屋だった。小さなキッチンもついている。
今日は簡単なものをレイラとヴィヴィアンヌで作ってルシアをねぎらおうという趣旨であった。
沢山焼かれた小麦の丸い皮や薄焼きの卵で千切りの野菜や肉を巻き、何種類かのソース
(これはルシアの好きなものを公爵家からとどけてもらった)を用意し、自分で好きに具
材を巻いて食べるものを用意してあった。
お昼にルシアの話を聞きながらヴィヴィアンヌは寮生活に話を向ける。
「アナはちゃんとやってるかい?」
「アナが失敗する事なんかないもん」
ルシアは楽し気に笑う。
「同じ階のお姉さん、ナオミ皇女様とも少し話したの」
レイラに向かってルシアは言う。
「皇女様、どんな人?」
「あのね、この国のお茶が好きでお茶を知るために来たんだって」
ヴィヴィアンヌは黙ってルシアが話すのを聞いている。
「でもね、なんだか皇女様が思ってるほど詳しい人いなくて困ってて。伯母様だれか知らない?」
最初はアナが何が良いか聞いて野菜や肉を巻いていたがレイラが自分でやるのを見て自分もやりたいとルシアが言いはじめる。レイラは横に並んで仲良く中身を決めてクレープ巻きを作っていく。
「他フロアの子が来たりするって?」
「皇女様が呼んでる子たちの事かな?談話室でお茶会してるんだって」
リリスはそれに混ざって入り込んでるのかな、とヴィヴィアンヌは推察した。
レイラが教室に帰り席に座り午後の授業の用意を始める。
「ドゥエスタン嬢はライン公爵家と親しいの?」
聖女候補リリスが目の前に立ちはだかった。
「……親しくさせてもらってます」
「伯爵家なのに?」
「魔術の師匠がライン公爵家の方なので必然的に」
「あら、貴方の家、お金がない田舎の貧乏伯爵家なんでしょう?どうしてそんな人が学外でお勉強できるの?貴方のおうちの方ってパーティで色々問題起こしてるし」
誰が聞いてもわかる程度に冷え切った声でレイラは返す。
「あの人たちの行状は知ってますがどうこうする気はありません」
小さな声で付け加えられる。
「時が至るまでは」
鞄の中から筆記具を出すとレイラはリリスに言う。
「今の所未成年なので私がどうこうは出来ませんが、他家から要求された損害に対しては支払いはさせていただいてます。それ以上の要求には応じられません。教会の偉い方の宝杖用の費用とか」
レイラはじっとリリスを見る。リリスはこの一つ下の子供は少し揶揄えばわめくだろうと思い揶揄うつもりだったようだ。が、その子供は意思の強い目で見返す、気の強い子供であった。
「一応、自分の家に請求があったものには目を通しておりますの」
レイラはそう言い、何か言いかけたリリスはペールに引っ張られて別の席へと移った。授業中に隣席のリチャード・オーエンから手紙が回ってきた。
「ペールから」
ごく小声でリチャードが言う。緊急に返事が必要かと思い、レイラはさっと目を通す。そこにはリリスの行動に対する謝罪が書いてあった。レイラはほんのり顔を綻ばせた。
「ルシア、寮にはなれたかい?」
ヴィヴィアンヌとレイラは一緒で、食堂の2階にある個室でルシアを待っていた。この部屋はライン公爵家専用で用意されている部屋だった。小さなキッチンもついている。
今日は簡単なものをレイラとヴィヴィアンヌで作ってルシアをねぎらおうという趣旨であった。
沢山焼かれた小麦の丸い皮や薄焼きの卵で千切りの野菜や肉を巻き、何種類かのソース
(これはルシアの好きなものを公爵家からとどけてもらった)を用意し、自分で好きに具
材を巻いて食べるものを用意してあった。
お昼にルシアの話を聞きながらヴィヴィアンヌは寮生活に話を向ける。
「アナはちゃんとやってるかい?」
「アナが失敗する事なんかないもん」
ルシアは楽し気に笑う。
「同じ階のお姉さん、ナオミ皇女様とも少し話したの」
レイラに向かってルシアは言う。
「皇女様、どんな人?」
「あのね、この国のお茶が好きでお茶を知るために来たんだって」
ヴィヴィアンヌは黙ってルシアが話すのを聞いている。
「でもね、なんだか皇女様が思ってるほど詳しい人いなくて困ってて。伯母様だれか知らない?」
最初はアナが何が良いか聞いて野菜や肉を巻いていたがレイラが自分でやるのを見て自分もやりたいとルシアが言いはじめる。レイラは横に並んで仲良く中身を決めてクレープ巻きを作っていく。
「他フロアの子が来たりするって?」
「皇女様が呼んでる子たちの事かな?談話室でお茶会してるんだって」
リリスはそれに混ざって入り込んでるのかな、とヴィヴィアンヌは推察した。
レイラが教室に帰り席に座り午後の授業の用意を始める。
「ドゥエスタン嬢はライン公爵家と親しいの?」
聖女候補リリスが目の前に立ちはだかった。
「……親しくさせてもらってます」
「伯爵家なのに?」
「魔術の師匠がライン公爵家の方なので必然的に」
「あら、貴方の家、お金がない田舎の貧乏伯爵家なんでしょう?どうしてそんな人が学外でお勉強できるの?貴方のおうちの方ってパーティで色々問題起こしてるし」
誰が聞いてもわかる程度に冷え切った声でレイラは返す。
「あの人たちの行状は知ってますがどうこうする気はありません」
小さな声で付け加えられる。
「時が至るまでは」
鞄の中から筆記具を出すとレイラはリリスに言う。
「今の所未成年なので私がどうこうは出来ませんが、他家から要求された損害に対しては支払いはさせていただいてます。それ以上の要求には応じられません。教会の偉い方の宝杖用の費用とか」
レイラはじっとリリスを見る。リリスはこの一つ下の子供は少し揶揄えばわめくだろうと思い揶揄うつもりだったようだ。が、その子供は意思の強い目で見返す、気の強い子供であった。
「一応、自分の家に請求があったものには目を通しておりますの」
レイラはそう言い、何か言いかけたリリスはペールに引っ張られて別の席へと移った。授業中に隣席のリチャード・オーエンから手紙が回ってきた。
「ペールから」
ごく小声でリチャードが言う。緊急に返事が必要かと思い、レイラはさっと目を通す。そこにはリリスの行動に対する謝罪が書いてあった。レイラはほんのり顔を綻ばせた。
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