悪役令嬢、冒険者になる 【完結】

第一章

短編 ロクサーヌ•ベルティエ公爵令嬢

最初は自分はアレンジと婚約するのかなぁ、と思っていた。女らしく座ってお茶を飲むことに苦労する程度に私は「女らしさ」と相容れなかった。

　そんな時、アレンは私に

「ねぇ、遊ぼう？」

と少年の遊びを教えてくれた。草笛やボールで遊ぶこと。庭師の人と一緒に作物の収穫をしたり。この子なら悪くないかもとは思ってた。
　女らしさを強要したり、アレンに従順であることを求めたり。ただ問題は私は家の跡取りで婿を取ることだった。アレンは嫡子だし私もそうだし。
　我が家にはあとは妹しかいない。その妹は跡取りが持つ火魔法を持っていない。なので自動的に私が跡取りだ。
　弟を作ってくれたらいいのに、火魔法を使える子を。と思ってたのだけど……。母親が子供を産むことができなくなったらしい。私と妹を産んだ事で母の体は出産に耐える体力がなくなり……、私が14.妹が8で母は身罷った。
　さて、アレンとの話が膠着状態だった時に王宮からネイサンとの結婚の話が来た。
　ネイサンがバカすぎて女の子に嫌われるのだとか。で、私に白羽の矢がたったらしく。このバカな従兄弟を私は嫌いではない。バカすぎて逆に女らしいとか男らしいとかも意味をなさない。そしてその頃は自分活発なおバカだったのでネイサンの遊び相手として私は男装をして付き合った。
　我が家で遊ぶときはアレンを呼びアレンとネイサンもそこそこ仲良くなった。
　この頃はネイサンは気のいいバカだった。今も本質は変わってない。

　これにアランの横槍が入り、……ネイサンはばを極めるところだった。これからのネイサンとついでにアランの再教育はうまくいくのかしら。はぁ。