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第二章

ベルティエ公爵家 応接室 1

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 マリアンヌとの結婚をアレン・アルノーは深く望んでいて、今日もベルティエ公爵家に弟アランの様子を見に行った。

「アレン、話がある」

ベルティエ公爵が難しい顔でアレンを呼ぶ。呼ばれた部屋には元王族のグランサニュー公爵と前の神官長、減神官長とアレンが普段目にする事のないメンバーとウージェーヌがいる。ウージェーヌの顔をみて少しアレンはほっとする。

「座ってくれるかな」

ベルティエ公爵が言う。アレンは鯱張って勧められた椅子にかける。

「非公式の場だ、楽にしてくれ」

グランサニュー公爵が宣言する。ウージェーヌはリラックスしきって茶を楽しんでいる。

「急に呼びたててすまんな」

「いえ」

アレンは何故自分が呼ばれたのか、と緊張する。

「君の父上の事を聞きたい」

ベルティエ公爵にそう言われアレンは驚いた顔になる。

「え?父の事ですか?」

グランサニュー公爵が重々しく頷く。

「彼の交友関係が今一つわからなくてね。その、誰と親しいとかあるかな?」

アランは正直に答える。

「ベルティエ公爵と飲みに行くと言って週に2~3度出て行ってます。あと週に1度は外泊してますけど……。公爵以外は我が家に顔を出す友人は……」

「俺と?」

ベルティエ公爵が素になって声をだしている。

「ぶっちゃけるとここん家の影とかがまかれるわけだ、君の父上をつけていると。で、息子の君がなにか知らないかと思ってね」

「はぁ……。正直に言いますけど俺、父とはそんなに仲が良くはないんです、いえ、父が悪いとかではなく……。なんだろう、子供の時はもっと近い、というのはちがうかな……」

アレンは真剣に考えている。大人達もせかさずゆっくりと待つ。

「……弟が帰ってくる数年前から、父と周りの間になにか薄い壁というか薄いカーテンがかかってるような感じになって。俺にも家庭教師を着ける事になった時期あたりで母と父の大げんかがあったくらいの時期で。俺が教育を受けて知識を入れて行くにつれ父が俺から離れて行って間にある壁が増えてる感じで。なんか勝手に一人皆から好んで孤立していってて。でもその壁は透明なんで父の姿は見えているみたいな感じ」

アレンは頭をかきかき答える。

「よくわからないけど、父の手に触れてるのにお互い河の分厚い手袋をして悪手してるよ
うな……そんな感じです。それと」

アレンは言いかけて口をつぐんだ。ウージェーヌが訊ねた。

「それと?思いついた事は全部聞かせてくれ」

アレンは一瞬躊躇したがちゃんと口に上らせる。

「子供っぽい事なんですけど、表面父は俺を立てる感じですけど……アランの方に愛情が深いように感じてます。気のせいなんでしょうけど」

「そうか……、アレンはアルノー家の実務をどのくらい担当してるんだ?」

グランサニュー公爵が優しく訊ねた。

「正直わかりません。1/3位は手伝えてると思いたいんですが……」

「ふうむ。わざわざ時間をとらせてすまんの。お母上によろしくな」

グランサニュー公爵がそう締めて、アレンは解放された。



 「あの子は嘘はないですね」

神官長が言う。エリク神官長はこの部屋に禁忌の自白の香を炊いていた。正確に言うとア
レンが座った一帯だけ結界がはられて香はその中だけで漂っているのだ。

「次はアルノーの次男坊だな。あいつを殴るけるしたい欲求はまだあるんだけどね」

ウージェーヌは酷く酷薄な目つきでにやりと笑う。エリクがさらりと答える。

「けがでもされて尋問が上手くいかないと困るから辞めてね」
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