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第三章

冒険者の村

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 「ここは定住冒険者の村みたいなものかな」

マドレーヌは領館の一角の定住冒険者区域を案内しながらロゼとエディに話す。

「昨日案内した家はどうだった」

「……いや、ほんと、アルの父親と会わないかって言われてビビったら逃がしてくれてお前の父ちゃん、話の判るイイ人だな」

エディは本気で喜んでいる。

「俺ぁ偉い人と合うのは向かない」

エディの言葉にロゼとマドレーヌが笑う。

「アルだって偉い人だよ」

「マドレーヌも貴族だし」

マドレーヌとロゼに畳みかけられてエディはたじたじとなっている。そんな所にアルが陛下をつれてやってきた。

「父がどうしても礼を言いたいって」

エディは逃げ場がなくなり、情けない顔になる。ロゼの方が腹は座っている。

「あー、この国の王、ではなく一人の父親としての私なので、色々気にしないでくれ」

陛下が色々と礼を言い、父としての言葉ではあったが、エディは蚊の鳴くような声で

「はい」

しか言ってない。どうも陛下も緊張してるなとマドレーヌが考えているとアルと目があった。アルもそう思ったようで頷いている。

「父上、守護者様が笑ってますよ」

アルが陛下の気を逸らしなんとかエディ達と離した。



「陛下も緊張してたみたい」

エディは情けない顔でマドレーヌとロゼに背中を見せる。背中は汗でびっしょりで服が張り付いていた。

「……着替えようか」

ロゼに言われてエディは居住区の中の一軒の家に入っていった。

「しばらくここのクランにお世話になって辺境を回る生活してみるさ」

「この場所に定住したら子供が出来たら学校にも通わせられるし、親が他の領地に行ってる間の保育もあるし、保育は母と姉が責任をもって運営してるから冒険者活動もやりやすいと思う。子供が育つまで、他の領地は行かず農地を運営しながら魔の森で狩りだけしてる」

マドレーヌは続ける。

「うちは子供の頃このクランに預けられて一年、兄と共にクランとギルドの事を教え込まれたんだ。多分、各領地常駐のクランを抱えてて同じシステムを取ってると思う。他の辺境にいる間、学校とかいけたしね。こういうのはうちの母親の代でしっかりシステム化したらしいよ」

ぶらぶらとクランの定住地、もう村と呼んでいいだろう、を歩きながら説明する。

「だから暫くはここ見てみて欲しい、っていうのは私のわがままだけど」

マドレーヌがにっこりする。

「まだ暫くアルもここにいるしね。明日は一日休日で明後日、兄達と同行して魔の森で狩りしてみない?」

いつのまにかそこにいたエディも興味深げだ。

「ま、アルが落ち着くまでは付き合うよ」

ロゼが言い、エディも同意した。

「わかった、定住地の中には食堂とかもあるし。この食堂はギルドの運営なんでギルドに預けてある分のお金で食べられるよ」

「至れり尽くせりだね」

ロゼが感想を言った。
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