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第四章
スノーウルフ
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雪豹は初日はあがりはないだろうとアル達は言われた。
「少し奥に入らないといけないんで。今日はとりあえず森の様子見です」
フロランはそう言いながら森の中をザクザク歩く。今日はマドレーヌと祖父も一緒だ。森を散策し、既に4羽の雪角ウサギを手に入れている。
「え?」
皆が一斉に声を出す。甲高い音で救援を求める笛が響く。フロランの顔が引き締まる。
「もう少し奥にスノーウルフの群れが出たそうだ」
精霊からの知らせでフロランは知った事を伝える。
「じーさん、マドレーヌ。痺れ玉の用意を」
「わかった」
歩きながらフロランは指示する。
「俺達は斧だな」
エディはフロランに声をかける。
「そう、アルはその重い剣だな。帰ったら武器を研ぎにださないとね」
フロランが告げる。ここでアルがアルマン殿下だとバレるといけないのでアルの事は『アル』と呼ぶことになっている。
「その規模の群れなの?!」
マドレーヌも驚いている。マドレーヌもフロランも、もちろん祖父もこの森には何度も来ている。そしてスノーウルフはもっと奥にいるはずの生き物である事も知っていた。
「おかしいな……。ちょっと魔の森のモンスター溢れと似た気配がする」
「奥地にドラゴンが沸いた時とも似てるね」
フロランは祖父に答えてそう言った。そして二人で顔を見合わす。
「奥地になにかいる?」
ロゼの声が風にのって全域に広がる。スノーウルフの群れが出た事、救援に迎える人は向かって欲しい事、一本杉の根本から北に少し行った所だという事を告げている。また初心者、初級者は早々に退避を勧めている。
「スノーウルフかぁ。中級でも一対一ならなんとかやれるし皮はかなり高値で売れるから美味しいんだけど、大抵は群れなんだ」
マドレーヌがアルとエディに教える。
「そろそろ近いぞ」
金属に何かが当たる音がしている。
「来たぞっ」
フロランが大声で叫ぶ。初心者らしきパーティはへたりこんで震えてる。中の一人には意識がない。かなり深手のようだ。フロランは間髪入れず、精霊の力で深手を追った少女を眠らせた。ざっと見てもこの位置では妥当な皮の胸当てと手甲の標準的な装備だった。一
人、メンバーに襲い掛かるスノーウルフをさばいていた少年の装備が彼らより少しはいいものだったのと、中に一人魔術師がいて物理結界を張っていたおかげでこの少女の傷だけで済んだという。
「知らせは誰が?」
「他のパ^ティが気が付いて。そこが知らせてくれたんだと思う」
「君たちを放置で逃げたのか?」
アルが呟くと横でエディが答える。
「正しい判断だろ?……なぁ、最初からこんなに数が居たのか?坊主」
対処していた少年は疲労困憊で掠れた声で答える。
「最初は3匹だった。10匹に増えた時点で指示されたようにあの笛を鳴らした」
「そうか。多分ギルドの職員がくるからそれまでに水分とって休んでおくといい」
エディがにかっと笑って少年を勇気づける。
結局、この場では25匹分のスノーウルフが狩れた。
「何が起こってのか……、気になりますね」
マドレーヌは白い頬に掠れた血の痕を作りながらも楽しそうに笑う。エディが呆れてマドレーヌを見ている。
「顔、返り血浴びてるぞ」
フロランが容赦なく突っ込む。
「帰ったら洗って落します」
マドレーヌは焦る事無く答えた。
「少し奥に入らないといけないんで。今日はとりあえず森の様子見です」
フロランはそう言いながら森の中をザクザク歩く。今日はマドレーヌと祖父も一緒だ。森を散策し、既に4羽の雪角ウサギを手に入れている。
「え?」
皆が一斉に声を出す。甲高い音で救援を求める笛が響く。フロランの顔が引き締まる。
「もう少し奥にスノーウルフの群れが出たそうだ」
精霊からの知らせでフロランは知った事を伝える。
「じーさん、マドレーヌ。痺れ玉の用意を」
「わかった」
歩きながらフロランは指示する。
「俺達は斧だな」
エディはフロランに声をかける。
「そう、アルはその重い剣だな。帰ったら武器を研ぎにださないとね」
フロランが告げる。ここでアルがアルマン殿下だとバレるといけないのでアルの事は『アル』と呼ぶことになっている。
「その規模の群れなの?!」
マドレーヌも驚いている。マドレーヌもフロランも、もちろん祖父もこの森には何度も来ている。そしてスノーウルフはもっと奥にいるはずの生き物である事も知っていた。
「おかしいな……。ちょっと魔の森のモンスター溢れと似た気配がする」
「奥地にドラゴンが沸いた時とも似てるね」
フロランは祖父に答えてそう言った。そして二人で顔を見合わす。
「奥地になにかいる?」
ロゼの声が風にのって全域に広がる。スノーウルフの群れが出た事、救援に迎える人は向かって欲しい事、一本杉の根本から北に少し行った所だという事を告げている。また初心者、初級者は早々に退避を勧めている。
「スノーウルフかぁ。中級でも一対一ならなんとかやれるし皮はかなり高値で売れるから美味しいんだけど、大抵は群れなんだ」
マドレーヌがアルとエディに教える。
「そろそろ近いぞ」
金属に何かが当たる音がしている。
「来たぞっ」
フロランが大声で叫ぶ。初心者らしきパーティはへたりこんで震えてる。中の一人には意識がない。かなり深手のようだ。フロランは間髪入れず、精霊の力で深手を追った少女を眠らせた。ざっと見てもこの位置では妥当な皮の胸当てと手甲の標準的な装備だった。一
人、メンバーに襲い掛かるスノーウルフをさばいていた少年の装備が彼らより少しはいいものだったのと、中に一人魔術師がいて物理結界を張っていたおかげでこの少女の傷だけで済んだという。
「知らせは誰が?」
「他のパ^ティが気が付いて。そこが知らせてくれたんだと思う」
「君たちを放置で逃げたのか?」
アルが呟くと横でエディが答える。
「正しい判断だろ?……なぁ、最初からこんなに数が居たのか?坊主」
対処していた少年は疲労困憊で掠れた声で答える。
「最初は3匹だった。10匹に増えた時点で指示されたようにあの笛を鳴らした」
「そうか。多分ギルドの職員がくるからそれまでに水分とって休んでおくといい」
エディがにかっと笑って少年を勇気づける。
結局、この場では25匹分のスノーウルフが狩れた。
「何が起こってのか……、気になりますね」
マドレーヌは白い頬に掠れた血の痕を作りながらも楽しそうに笑う。エディが呆れてマドレーヌを見ている。
「顔、返り血浴びてるぞ」
フロランが容赦なく突っ込む。
「帰ったら洗って落します」
マドレーヌは焦る事無く答えた。
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