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ダンジョン攻略の章
32
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「ちょいと腹ごしらえ」
「アキラはちょこちょこ食うよな」
「本体と俺の二人分だからな」
「本体?」
マリナがそういうとアキラをじっと見つめた。
「…デアードの山の中の高エネルギーとつながってるわね」
「あたり。あれは青の竜。俺は青の竜の端末。あ、エヴァには黙っててくれ。あいつちょっと抜けてるし口軽いからどこでしゃべっちゃうかわからんからね。悪い奴じゃないのは知ってるんだけど」
アキラは一気に言った。オールもデヴィッドもマリナも軽く食べてから水分を取っている。マリナから
「吸血鬼探索は私に任せて。吸血鬼の気配だけは広範囲で把握できるから。大体1都市分はサーチできるの」
と言われる。
「なんで吸血鬼だけ?」
アキラがマリナに尋ねるとマリナは
「我が家は代々吸血鬼狩りを生業にしてる家なの。吸血鬼察知能力は我が家の血筋のもつ力でそこに私は聖属性の魔力持ちってだけ。ちょっと魔力量が人として非常識らしいけど」
マリナはにっこり笑う。
「この中にいると楽だけどね。みんな非常識な魔力量過ぎて私が目立たない」
「上下左右。5階層まで吸血鬼の気配なし」
マリナの探査を信用し、アキラ達は進む。ボス部屋の前の位置をアキラとデヴィッドで交互に打ち抜いていく。
「…本気でダンジョン壊してやがる」
オールのつぶやきにマリナはコロコロとつややかに笑う。オールは打ち抜かれた穴の中をマリナを抱いてゆっくりと降りていく。
「いやぁ、ダンジョン攻略もこの手を使いたいもんだ」
「兄さん」
オールの咎めるような声にデヴィッドは笑ってごまかす。
「最下層に行く、ってのが目的ならそれでいいし、デヴィッドなら大抵のモンスターには勝てるからねぇ。アキラもちょっとおかしいし」
マリナはからかうようにいう。5階層に着く。たしかにモンスターが寄ってこない。
「この体質だからね。ダンジョンとかで稼げないんだよ」
マリナが意識を研ぎ澄まして周りを探索する。
「8層目に吸血鬼の従者、直接ボスの手先になってるのが1体。10階層は下級ヴァンパイアが2体いる」
こんな調子で25階層まで来た。
「ん?この3階下に大きな見覚えのある吸血鬼の気配がある。多分、No.3のボス、エメラルドだね。まずこいつをやって。ルビーかサファイアの居場所を吐かせるか」
「どうやってさ」
アキラが尋ねる。
「ああ、我が一族の血は吸血鬼には毒、でね。自白剤みたいなものかな」
と聖女は恐ろしいことをさらりという。
「暫くの間なら操れるから」
「…とんだおばちゃんだな」
「あはは。そういう血筋なら利点を利用しないとね」
今のマリナは厳かな聖女のイメージはない。ただの冒険者の中年女性にしか見えない。
「エメラルド、会いに来てやったわ」
「嫌な女が来た」
その吸血鬼は静かな男だった。その秀麗な顔立ちと風雅な空気は女性を誑し込むのに苦労はなさそうだった。
「そんな顔したらいい男がだいなしよ」
吸血鬼は片方の眉をあげて冷笑する。
「心にもないことを」
「あら、いい男なのは認めてるわよ?どうにも好みじゃないだけで」
デヴィッドがエメラルドに殴りかかる。
「そこの魔術師の為の陽動かな」
余裕でデヴィッドの拳をエメラルドは受け止めた。
「アキラはちょこちょこ食うよな」
「本体と俺の二人分だからな」
「本体?」
マリナがそういうとアキラをじっと見つめた。
「…デアードの山の中の高エネルギーとつながってるわね」
「あたり。あれは青の竜。俺は青の竜の端末。あ、エヴァには黙っててくれ。あいつちょっと抜けてるし口軽いからどこでしゃべっちゃうかわからんからね。悪い奴じゃないのは知ってるんだけど」
アキラは一気に言った。オールもデヴィッドもマリナも軽く食べてから水分を取っている。マリナから
「吸血鬼探索は私に任せて。吸血鬼の気配だけは広範囲で把握できるから。大体1都市分はサーチできるの」
と言われる。
「なんで吸血鬼だけ?」
アキラがマリナに尋ねるとマリナは
「我が家は代々吸血鬼狩りを生業にしてる家なの。吸血鬼察知能力は我が家の血筋のもつ力でそこに私は聖属性の魔力持ちってだけ。ちょっと魔力量が人として非常識らしいけど」
マリナはにっこり笑う。
「この中にいると楽だけどね。みんな非常識な魔力量過ぎて私が目立たない」
「上下左右。5階層まで吸血鬼の気配なし」
マリナの探査を信用し、アキラ達は進む。ボス部屋の前の位置をアキラとデヴィッドで交互に打ち抜いていく。
「…本気でダンジョン壊してやがる」
オールのつぶやきにマリナはコロコロとつややかに笑う。オールは打ち抜かれた穴の中をマリナを抱いてゆっくりと降りていく。
「いやぁ、ダンジョン攻略もこの手を使いたいもんだ」
「兄さん」
オールの咎めるような声にデヴィッドは笑ってごまかす。
「最下層に行く、ってのが目的ならそれでいいし、デヴィッドなら大抵のモンスターには勝てるからねぇ。アキラもちょっとおかしいし」
マリナはからかうようにいう。5階層に着く。たしかにモンスターが寄ってこない。
「この体質だからね。ダンジョンとかで稼げないんだよ」
マリナが意識を研ぎ澄まして周りを探索する。
「8層目に吸血鬼の従者、直接ボスの手先になってるのが1体。10階層は下級ヴァンパイアが2体いる」
こんな調子で25階層まで来た。
「ん?この3階下に大きな見覚えのある吸血鬼の気配がある。多分、No.3のボス、エメラルドだね。まずこいつをやって。ルビーかサファイアの居場所を吐かせるか」
「どうやってさ」
アキラが尋ねる。
「ああ、我が一族の血は吸血鬼には毒、でね。自白剤みたいなものかな」
と聖女は恐ろしいことをさらりという。
「暫くの間なら操れるから」
「…とんだおばちゃんだな」
「あはは。そういう血筋なら利点を利用しないとね」
今のマリナは厳かな聖女のイメージはない。ただの冒険者の中年女性にしか見えない。
「エメラルド、会いに来てやったわ」
「嫌な女が来た」
その吸血鬼は静かな男だった。その秀麗な顔立ちと風雅な空気は女性を誑し込むのに苦労はなさそうだった。
「そんな顔したらいい男がだいなしよ」
吸血鬼は片方の眉をあげて冷笑する。
「心にもないことを」
「あら、いい男なのは認めてるわよ?どうにも好みじゃないだけで」
デヴィッドがエメラルドに殴りかかる。
「そこの魔術師の為の陽動かな」
余裕でデヴィッドの拳をエメラルドは受け止めた。
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