鎌田宗介の異世界転移記 【完結】

あくの

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 街は人が住む場所だった。活気があり、そこには生活があった。

『異世界も人が生きてるんだなぁ』

と、思った。屋台で衣をつけて揚げ焼きされた白身の魚に甘辛くスパイシーなタレがかかったものが人気で、屋台毎にタレに特徴を持たせている。
 宗介のような食べ歩きだけでなくご飯の時のおかずとして買って帰っている人も多い。屋台は大抵同じ場所に立っており、縄張りが決まっているのだとか。
 休み毎に街を散策するようになると馴染みの店もできてくる。この街に根付くのかな、と宗介がぼんやり思っていた時期。こちらに来て一年が経とうとしているくらいか。この街中で一瞬醤油の匂いがした。その途端、宗介はその匂いの出所ご気になってしまった。幻臭なのだろうか?そんな思いを抱きながら街中をうろうろするのが日課となった。朝にうろつき、仕事終わりの夕方がうろつき。
 そんな日々を過ごした中、宗介はその店に気がついた。スパイシーな匂いの奥に醤油の匂いがした。矢も盾もたまらずたまらず宗介はその店に飛び込んだ。そこには先刻すれ違った店主がお昼を食べている。それはまごう事なき竹の皮に包まれたおにぎりであった。醤油のの匂い、味噌の匂い。

「それ、どこで手に入るますか?」

店主は宗介の外見を見てから言った。

「あんた、東の国の人が」

良くわからないが宗介は頷いた。たしかに東の、日出る国の出身だったからだ。

「この筋を奥まで行って左に行くと突き当たる。そこにある」

店主が教えてくれる。宗介は礼を言い、店にあった特製ミックススパイスを購入した。

「それは肉にかけると美味いよ」

どこまでも気の良い店主だった。
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