悪役令嬢はヒロインと関わりたくない【完結】

あくの

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ベルトラン兄様

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 ベルトラン兄様かぁ。この人が私があえて王太子妃候補におさまってる元凶でもあるのです。初めて会ったのは私の記憶にない、生まれて半年たったころらしいです。
 サラ姉様とベルトラン兄様が私に会いに来たそうで、ベルトラン兄様が差し出した指を私がぎゅっと握ったので兄様は

『ブランシュはボクとけっこんするんだ!』

と宣言したそうです。それからは毎週毎週通てきては私の耳に

「ボクのお嫁さんになるんだよ」

と言ってたそうなんですが……。1つ上の兄がそれで妙に危機感を募らせてシスコン拗らせたのが兄が5つの頃だそうです。王太子妃教育に通い始め家に居ない日もあり、家に居る日はベルトラン兄様がべったり。

 そんな日々で兄のストレスがマックスになった時に叫んだのが

「ベルトランの妹はサラ姉様。ブランシュは僕の妹。ベルトランはサラ姉様を可愛がればいいの!ブランシュは僕が可愛がるの」

って。その後兄様が大泣きして

「ベルトランなんか来るなっ」

って叫んだのはうっすら記憶に残ってます。これ以来兄様とベルトラン兄様の仲は最悪に……。未だに最悪です。
 この2年は王宮での新年の挨拶と夏の離宮での王妃様の付き添いで会うくらいなので平和だったのですが……。

サラ姉様と兄様が結婚すると公爵家同士なのでその兄妹で結婚はほぼありえないのです。政治的バランスを考えて。
 そしてそうなると私が王太子妃、ひいては王妃になることに議会は反対するでしょう。
 サラ姉様のお家の権力が強くなりすぎるから。私にはまたとない好条件。ベルトラン兄様をどうやって止めるか、だよなぁ。どう考えてもベルトラン兄様が素直に受け入れてくれるとは思えない……。ただ、サラ姉様や私自身の性格ややり方を考えると、ベルトラン兄様は幼いころの初恋を貫くという方便を使って面倒事から逃げてる可能性だってある、そんな話を姉様としていた。

「……フェルナンの手も借りよう」

サラ姉様はそう言って、メイドに頼んで兄様を呼びにやった。ややあって兄様は渋々と言った体で席に現れた。

「サラ姉様、御用だとか?」

ぶっきらぼうな兄様を見るのは新鮮だ。私の目が丸くなってるのを自分でも感じる。大抵の女性には卒なく当たり障りなくいなすのに。サラ姉様にはそうできないんだな、思春期だねぇ……。

「フェルナン、私と婚約してね」

「は?え?」

一拍置いて兄様は

「えええぇーーー?!」

と叫んだ。……横の席でうるさい。

「ブランシュを兄様と王家に渡さない為の作戦会議なの」

一気に兄様のオーラが本気を帯びた。そこで『ピンクの会』潰しも兼ねてのベルトラン兄様の手足封じ、と称してアニエス嬢をベルトラン兄様にぶつけようという事になったのだ。

「どうやってひきあわすんですの?」

「そのための学内ネットワークなのよ」

とサラ姉様は笑う。お茶会メンバーを『派閥』とも呼んでいる。我が家の母親はそういう世界から一線を引いているが、サラ姉様のお茶会にいらっしゃる方々のお母上は我が母の学友でもあったりするので一応は私は母親の派閥の地盤を利用している事になるらしい。

「ブランシュは次期派閥長としてルヴィエ伯爵令嬢の補佐についてね。あともう一つの派閥の長と副を呼んで。あのアニエス嬢を呼び出しするの、派閥の長として。彼女、そういうアピールできる場には絶対出るから。それを街のカフェでお茶のみながらやってね。私は兄様を『ブランシュと私のお友達がカフェにいるっていうから連れて行って』って連れて行く」

「俺はシリルと一緒にひっそり店にいるから危険だと思ったら呼んでくれ」

……全員一か所に集めて、か。アニエスさん乗ってくれるかしら。




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