悪役令嬢はヒロインと関わりたくない【完結】

あくの

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帰宅の馬車で

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 「ではご一緒させてもらいます」

帰りの馬車は私と兄様とキャロライン様、アルベルト殿下、エリク様という組み合わせになった。帰宅時に親の無用な心配を避けるため、我が家の馬車に男性メンバーから二人、女性メンバーから一人一緒に乗る、ということを父様に勧められた。父様は父様でこの派閥の主要メンバーの家と接触をして話を進めているようです。

 ベルトラン兄様に仕掛ける罠は却下されました、母様に。

『遺恨が残るような事しないように。それとピンクの会関係者とは接触はできるだけ避けて。貴女の伯父様、私の兄にも接触が数度あってね。そういう話とも絡むから貴方たちは出来る限りの自衛を』

と言われてしまいました。

 まず、サラ姉様が見かけたサラ姉様の母親が付き合っているエマーヌ男爵ですが正確に言うとエマーヌ男爵長男ですが爵位を継ぐ気はなく、サラ姉様のお母様と結婚を前提に付き合っている年下の恋人、だそうです。サラ姉様は露骨に安心してました。ただ、父親と間違う程度に老けている男爵長男が少しだけ気の毒に感じてしまいます。劇場で伯父様も気が付いていたけども恋人といるのを前の夫が邪魔するのも、と声をかけなかっただけだそうです。この話で一応伯父様とサラ姉様は和解しました。その上で大公が通ってきてご乱行のバルバストル公爵の屋敷に年頃の女の子を置けないということで母様がサラ姉様を家に帰しませんでした。
 エマーヌ男爵自体は妾妃様とは全く関係がない、と。あとあの人……アニエスさんは男爵の庶子で屋敷の離れに住んでいる、と。
 伯父様には再婚の話が王家から来たんですがそれが妾妃様の従妹だとか。それが二年前なんですが、その従妹という人は学生時代の伯父様のストーカーで、この方の行動で伯父様の臆弱さが加速したというのが母様の見立てです。で、ノイローゼを患った挙句、『娘を守らなきゃ』ってサラ姉様の軟禁、ということだったそうです。
 姉様は『理由を話せ』って怒ってましたが。

 馬車の中は微妙な空気です。エリク様とキャロライン先輩はお互い婚約者候補、ということで何度か顔合わせはした事があるらしいのです。で、その顔合わせで先輩はあんまり気が合わないなと思っている、とかなんとか。エリク様は……、あの性格ですから全く気にしてないだろうとは兄様の判断。『あいつはThe脳筋だから』(違約)との事。

 「フェルナンの婚約者がサラ嬢に決まればブランシュはフリーになるな」

アルベルト殿下がいきなり言い出す。そう、殿下は私を呼び捨てにしている。幼馴染ということもあり子供頃のままの呼び方だ。こうい線引きの甘さが私が殿下を苦手だと思う理由で。ベルトラン兄様も嫌、殿下も嫌、なんだとサラ姉様に打ち明けた事がある。サラ姉様は『どっちか、取れって言われてもいらないよね』と鼻に皺を寄せて答えられた。サラ姉様も悪ガキ時代の被害者なので殿下の印象は最悪だったりする。

「そうですね。私は跡を取るわけでもないから自由ですしね。卒業後は爵位を父から譲ってもらって伯爵領を治めるつもりなので別にそれでいいかと」

殿下の目を見て言い返す。

「俺が王位継承権を返上してブランシュの所に婿に行こうかな」

私は殿下の戯言を無視した。兄様は

「ブランシュの妾妃様とのかかわりを断ちたいと思っているので兄として反対しますよ」

アルベルト殿下の答えは意外だった。

「わかってる。……俺があの人から生まれたのは事実だしな。母親がアレ、という不幸は俺で止めるのが一番だろうな。次は祖母がアレって事だからな」

殿下ははっきりときっぱりと言った。

「俺が王位継承権を放棄するのは双子が卒業するときだ。それまではフランソワとジャックの為に母の野望を支えるふりだな。フランソワかジャックが立太子してくれるのを期待してる」
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