悪役令嬢はヒロインと関わりたくない【完結】

あくの

文字の大きさ
39 / 65

四阿にて

しおりを挟む
 フランソワ殿下が四阿に遮音結界を張った。

「王族の魔力量はこういうことを手軽にできるのがいい」

兄様が先にそこにいた。フランシス様は肩をすくめる。

「フェルナンだってできる癖に」

「できるけど、王族以外が使うと五月蠅いじゃん、宮廷魔術師が」

フランソワ殿下がふふふと笑っている。




 「まず。私は王家の裏を統括することになった」

え?その話私にするの?!

「ちなみに我が家は王家の裏とがっつり絡んでるからね。もう伯爵領はブランシュの物だし、結婚はうちと王家の裏の話を話さなくていい相手を選んでくれ」

兄様がこういうって事は父様も同意見なんだろうな。

「で、呼び出したのはその話じゃないんだ」

これじゃなかったらなんなんだろう。おとなしく待ちましょう。兄様が持ってきていたバスケットから保温の魔法が掛かった水筒とカップを出す。適温のお茶を三人分注ぎ、小さなクッキーを紙皿に置いてくれる。

「ま、お茶飲みながら、な」


 話はアルベルト殿下の事だった。

「北の大国に王配として行くことになった。……妾妃派、便宜上そう呼ぶけど、彼らが担ぎあげられないようにってね」

「……生かしておくだけ温情なんだけどね」

兄様がため息をつく。好意がある相手ではないですが何か感じるものがあるのも確かです。

「結局母親のことで心労がかなりあってね」

フランソワ殿下が沈んだ顔になっている。

「北に行って長生きできるかどうか。あちらは気候がきついから」

フランソワ殿下は兄様の言葉に沈痛な面持ちのまま頷いている。

「卒業したら直ぐにあちらへ向かう。あと、アルベルトはこの国にいる間は蟄居、軟禁生活で学園には籍だけ置いてることになる。一応王子宮でカリキュラムは全て終わらせるらしい」

そういえば兄様は殿下達に敬称をつけないな、と気が着いた。今度理由を聞いてみよう。

「ブランシュ嬢、アルベルトが向こうへ行くまで月1でいいから会ってやって欲しいんだ」

フランソワ殿下の本題はこれか。

「アルベルトは……ずっと君が好きで、君の為に王太子になる努力をしていた。それに報いてやって欲しいんだ」

兄様は無表情だ。止めないけど勧めもしない。

「それは……お互いの為にやめておいた方がいいでしょう」

「何故?!」

断られることは想定外でしたか。

「まず、あの日、不慮の事故とはいえ同じ女性と連続で踊りましたよね。つまり恋人と認める存在がいるって事を公衆の面前で堂々と宣言したのと同じです。そんなところに女性の私が通う事でお互い身持ちが良くないと言われかねません」

「友人として、では?」

「私と殿下の間に友情はありません。なんなら10歳までの殿下にどれだけ虐められたことか……。渡り廊下で蛙トラップとかお茶の作法を庭で習っていたら上から……その、トイレをですね、テーブルに向かって……、とか何年もやられてたんです。子供だけど王子だからって怒られないのを良いことにやりたい放題、でした」

フランソワ殿下、口開いてますよ。

「な、んで?王子宮ではそんなこと許されない」

「妾妃様の所で育ってましたから、彼。あまりに躾けられてないのでみかねて正妃様が引き取ったんです」

「そこまで酷かったのか……」

フランソワ殿下、愕然としてます。そりゃそうだろうと思います。つまりフランソワ殿下は野猿状態のアルベルト殿下を知らないって事。なら王子宮に戻ったのは12歳くらいね。10歳から11歳で大分人になって、11歳から12歳で貴族の前に出せるだけのマナーを身に着けた感じでしたから。

 それ以降の一応王子と名乗って恥ずかしくないアルベルト殿下しか知らなかったんだろうな、この人。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】『恋心を凍らせる薬を飲みました』 - 残りの学園生活、どうぞご自由にお遊びください、婚約者様

恋せよ恋
恋愛
愛されることを諦めた。だから、私は心を凍らせた。 不誠実な婚約者・ユリアンの冷遇に耐えかねたヤスミンは、 伝説の魔女の元を訪れ、恋心を消し去る「氷の薬」を飲む。 感情を捨て、完璧な「人形」となった彼女を前に、 ユリアンは初めて己の罪と執着に狂い始める。 「お願いだ、前のように僕を愛して泣いてくれ!」 足元に跪き、涙を流して乞う男に、ヤスミンは冷酷に微笑む。 「愛?……あいにく、そのような無駄な感情は捨てましたわ」 一度凍りついた心は、二度と溶けない。 後悔にのたうち回る男と、心を凍らせた冷徹な公爵夫人の、 終わりのない贖罪の記録。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので

モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。 貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。 ──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。 ……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!? 公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。 (『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)

契約結婚の相手が優しすぎて困ります

みみぢあん
恋愛
ペルサル伯爵の婚外子リアンナは、学園に通い淑女の教育を受けているが、帰宅すれば使用人のような生活をおくっていた。 学園の卒業が近くなったある日、リアンナは父親と変わらない年齢の男爵との婚約が決まる。 そんなリアンナにフラッドリー公爵家の後継者アルベールと契約結婚をしないかと持ちかけられた。

元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ
恋愛
 侯爵令嬢のアンネマリーは流行り病で生死を彷徨った際に、前世の記憶を思い出す。前世では地球の日本という国で、婚活に勤しむアラサー女子の杏奈であった自分を。  病から回復し、今まで家や家族の為に我慢し、貴族令嬢らしく過ごしてきたことがバカらしくなる。  また、自分を蔑ろにする婚約者の存在を疑問に感じる。 「あんな奴と結婚なんて無理だわー。」  無事に婚約を解消し、自分らしく生きていこうとしたところであったが、不慮の事故で亡くなってしまう。  そして、死んだはずのアンネマリーは、また違う人物にまた生まれ変わる。アンネマリーの記憶は殆ど無く、杏奈の記憶が強く残った状態で。  生まれ変わったのは、アンネマリーが亡くなってすぐ、アンネマリーの従姉妹のマリーベルとしてだった。  マリーベルはアンネマリーの記憶がほぼ無いので気付かないが、見た目だけでなく言動や所作がアンネマリーにとても似ていることで、かつての家族や親族、友人が興味を持つようになる。 「従姉妹だし、多少は似ていたっておかしくないじゃない。」  三度目の人生はどうなる⁈  まずはアンネマリー編から。 誤字脱字、お許しください。 素人のご都合主義の小説です。申し訳ありません。

自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~

浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。 本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。 ※2024.8.5 番外編を2話追加しました!

忘れ去られた婚約者

かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』 甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。 レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。 恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。 サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!? ※他のサイトにも掲載しています。 毎日更新です。

処理中です...