54 / 65
陛下暴走した?
しおりを挟む
「陛下一人の暴走だとしたら?」
兄様がウワァ、という表情になる。
「ボンクラとはいえ……」
私と兄様の声が揃う。
「国で一番の権力者だから」
「国で一番の権力者ですもの」
二人で顔を見合わせて笑う。
「正妃様どうするんでしょう」
「明朝、この推測も含めて報告する。アルベルト殿下の話をまとめたのは正妃様とご実家だ。他家は口を出せない」
兄様は冷静に戻った。そしてアルベルト『殿下』と敬称を付け出したと言うことは兄の中で『親しい人』と言うカテゴリーからアルベルト殿下が外れたのだな、と察する。
エリーゼも居なくなったのでサラ姉様は実家に戻った。末っ子がお家に居て、と寂しがったからだ。先日ベルトラン兄様から丁寧な令状と私とサラ姉様におそろいのリボンのアクセサリーが贈られた。我が国ではリボンのアクセサリーは女性に対して贈るものの中で重い意味がないもので『妹みたいな存在』に贈るものだった。
『妹みたい』って言葉のうさん臭さはどの世界だって変わらないと思ってるんですけどね。
正妃様が母様と遊びに行くらしい。
「ブランシュも行く?」
「いえ、……マダム同士のお茶会に混じれるほど大人じゃありませんので。それに今日はキャロライン先輩とお菓子を作るので」
「あらぁ、女の子同士いいわねぇ」
正妃様が笑顔になる。
「帰ってきたらおすそ分け待ってるわ」
正妃様にねだられた!
「……普通のクッキーですよ?」
「娘が作ったクッキーは私には無理だったから可愛がってる親戚の子からのクッキーが欲しいな」
こういう時正妃様は大人なのに可愛い。
「ブランシュ、俺のも忘れないでよ?」
兄様が言う。知ってるチェッカークッキー好きだもんね。
「サラ姉様と食べる?」
「食べるよ!」
「わかった。多めに作る」
正妃様は私たち二人をちょっと羨まし気に見つめる。
「私も娘が欲しかった」
正妃様の本音なんだろうな。
「娘作る前にあの陛下と揉めちゃってね」
正妃様の口元が自嘲してるのか歪んでいる。
「エルシー、今日はどこにいきましょう?」
「正妃様、ゆるっと一回り歩いて決めましょう」
母様と正妃様は少女のようにウキウキしながら部屋を出て行った。
「俺も菓子作り、手伝いたいところなんだけど。ジャックの復習に付き合うんで王宮へ行ってくる。護衛にシリルおいてるからなにかあったら俺の部屋に飛び込め」
「あら、シリル様いらっしゃってるの?」
「昨日から泊まり込みで執筆中」
ああ、『ローワン』のお仕事なのね。
キャロライン先輩が我が家に来た。魔法杖を持って。これは氷魔法が出る杖で魔力さえあれば私のような魔法が使えない人間でも使えるという優れもの。使う魔石で使える魔法が変わるのだとか。魔法に関して興味がないから知らなかったけど……私、護身用に持っておこうかな。剣はどへただし、体術はもってのほか、レベルだし。
と、とりあえず。二人できゃっきゃとクッキーを作っていく。二人の周りの数と予備を考えて1Kgの小麦粉で生地を作っていく。二人で材料は分担して持ち込んでいるので本当に半分こする予定。そうそう小麦粉を少し取り分けてチェッカークッキーとは別の柔らかめの生地を作る。生地を絞り出して……
大きな天板一枚分だけ、ジャム付きのクッキーを作った。これは明後日の放課後の派閥のお茶会で出す予定。
「綺麗ですね、これ」
「作り終わった後のお茶で少し頂きましょう」
後始末まで終えてお茶を、と思ったら昼ご飯を大分過ぎていた。余った卵白は監督でついていたメイド長がナッツをつかったガシガシしたマカロンを作ってくれた。
「マカロンは数がありませんからお茶の時に召し上がってください」
メイド長はそう言いながら調理台の上で冷めるのを待っているクッキーは部屋に持っていきますからお二人は食堂で軽食を、と追い立てられてしまった。
兄様がウワァ、という表情になる。
「ボンクラとはいえ……」
私と兄様の声が揃う。
「国で一番の権力者だから」
「国で一番の権力者ですもの」
二人で顔を見合わせて笑う。
「正妃様どうするんでしょう」
「明朝、この推測も含めて報告する。アルベルト殿下の話をまとめたのは正妃様とご実家だ。他家は口を出せない」
兄様は冷静に戻った。そしてアルベルト『殿下』と敬称を付け出したと言うことは兄の中で『親しい人』と言うカテゴリーからアルベルト殿下が外れたのだな、と察する。
エリーゼも居なくなったのでサラ姉様は実家に戻った。末っ子がお家に居て、と寂しがったからだ。先日ベルトラン兄様から丁寧な令状と私とサラ姉様におそろいのリボンのアクセサリーが贈られた。我が国ではリボンのアクセサリーは女性に対して贈るものの中で重い意味がないもので『妹みたいな存在』に贈るものだった。
『妹みたい』って言葉のうさん臭さはどの世界だって変わらないと思ってるんですけどね。
正妃様が母様と遊びに行くらしい。
「ブランシュも行く?」
「いえ、……マダム同士のお茶会に混じれるほど大人じゃありませんので。それに今日はキャロライン先輩とお菓子を作るので」
「あらぁ、女の子同士いいわねぇ」
正妃様が笑顔になる。
「帰ってきたらおすそ分け待ってるわ」
正妃様にねだられた!
「……普通のクッキーですよ?」
「娘が作ったクッキーは私には無理だったから可愛がってる親戚の子からのクッキーが欲しいな」
こういう時正妃様は大人なのに可愛い。
「ブランシュ、俺のも忘れないでよ?」
兄様が言う。知ってるチェッカークッキー好きだもんね。
「サラ姉様と食べる?」
「食べるよ!」
「わかった。多めに作る」
正妃様は私たち二人をちょっと羨まし気に見つめる。
「私も娘が欲しかった」
正妃様の本音なんだろうな。
「娘作る前にあの陛下と揉めちゃってね」
正妃様の口元が自嘲してるのか歪んでいる。
「エルシー、今日はどこにいきましょう?」
「正妃様、ゆるっと一回り歩いて決めましょう」
母様と正妃様は少女のようにウキウキしながら部屋を出て行った。
「俺も菓子作り、手伝いたいところなんだけど。ジャックの復習に付き合うんで王宮へ行ってくる。護衛にシリルおいてるからなにかあったら俺の部屋に飛び込め」
「あら、シリル様いらっしゃってるの?」
「昨日から泊まり込みで執筆中」
ああ、『ローワン』のお仕事なのね。
キャロライン先輩が我が家に来た。魔法杖を持って。これは氷魔法が出る杖で魔力さえあれば私のような魔法が使えない人間でも使えるという優れもの。使う魔石で使える魔法が変わるのだとか。魔法に関して興味がないから知らなかったけど……私、護身用に持っておこうかな。剣はどへただし、体術はもってのほか、レベルだし。
と、とりあえず。二人できゃっきゃとクッキーを作っていく。二人の周りの数と予備を考えて1Kgの小麦粉で生地を作っていく。二人で材料は分担して持ち込んでいるので本当に半分こする予定。そうそう小麦粉を少し取り分けてチェッカークッキーとは別の柔らかめの生地を作る。生地を絞り出して……
大きな天板一枚分だけ、ジャム付きのクッキーを作った。これは明後日の放課後の派閥のお茶会で出す予定。
「綺麗ですね、これ」
「作り終わった後のお茶で少し頂きましょう」
後始末まで終えてお茶を、と思ったら昼ご飯を大分過ぎていた。余った卵白は監督でついていたメイド長がナッツをつかったガシガシしたマカロンを作ってくれた。
「マカロンは数がありませんからお茶の時に召し上がってください」
メイド長はそう言いながら調理台の上で冷めるのを待っているクッキーは部屋に持っていきますからお二人は食堂で軽食を、と追い立てられてしまった。
6
あなたにおすすめの小説
【完結】『恋心を凍らせる薬を飲みました』 - 残りの学園生活、どうぞご自由にお遊びください、婚約者様
恋せよ恋
恋愛
愛されることを諦めた。だから、私は心を凍らせた。
不誠実な婚約者・ユリアンの冷遇に耐えかねたヤスミンは、
伝説の魔女の元を訪れ、恋心を消し去る「氷の薬」を飲む。
感情を捨て、完璧な「人形」となった彼女を前に、
ユリアンは初めて己の罪と執着に狂い始める。
「お願いだ、前のように僕を愛して泣いてくれ!」
足元に跪き、涙を流して乞う男に、ヤスミンは冷酷に微笑む。
「愛?……あいにく、そのような無駄な感情は捨てましたわ」
一度凍りついた心は、二度と溶けない。
後悔にのたうち回る男と、心を凍らせた冷徹な公爵夫人の、
終わりのない贖罪の記録。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので
モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。
貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。
──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。
……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!?
公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)
契約結婚の相手が優しすぎて困ります
みみぢあん
恋愛
ペルサル伯爵の婚外子リアンナは、学園に通い淑女の教育を受けているが、帰宅すれば使用人のような生活をおくっていた。 学園の卒業が近くなったある日、リアンナは父親と変わらない年齢の男爵との婚約が決まる。 そんなリアンナにフラッドリー公爵家の後継者アルベールと契約結婚をしないかと持ちかけられた。
元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち
せいめ
恋愛
侯爵令嬢のアンネマリーは流行り病で生死を彷徨った際に、前世の記憶を思い出す。前世では地球の日本という国で、婚活に勤しむアラサー女子の杏奈であった自分を。
病から回復し、今まで家や家族の為に我慢し、貴族令嬢らしく過ごしてきたことがバカらしくなる。
また、自分を蔑ろにする婚約者の存在を疑問に感じる。
「あんな奴と結婚なんて無理だわー。」
無事に婚約を解消し、自分らしく生きていこうとしたところであったが、不慮の事故で亡くなってしまう。
そして、死んだはずのアンネマリーは、また違う人物にまた生まれ変わる。アンネマリーの記憶は殆ど無く、杏奈の記憶が強く残った状態で。
生まれ変わったのは、アンネマリーが亡くなってすぐ、アンネマリーの従姉妹のマリーベルとしてだった。
マリーベルはアンネマリーの記憶がほぼ無いので気付かないが、見た目だけでなく言動や所作がアンネマリーにとても似ていることで、かつての家族や親族、友人が興味を持つようになる。
「従姉妹だし、多少は似ていたっておかしくないじゃない。」
三度目の人生はどうなる⁈
まずはアンネマリー編から。
誤字脱字、お許しください。
素人のご都合主義の小説です。申し訳ありません。
自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~
浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。
本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。
※2024.8.5 番外編を2話追加しました!
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる