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8. お茶会 1
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着替えの段階でディオン、ユーリ、アンドレは人の手が無いと着替えられないと判明しノエルとレイは『着替え方から教えないとか』と嘆息した。ノエルは騎士団で自分の事は自分でするという訓練を既に受けていたのである程度のことは一人でできたし、レイは商家の子供として育てられたので貴族令息たちの様に日常の事を他人に任せる習慣は持っていなかった。
「なんとか時間に間に合いましたね」
レイが息を吐く。
「いいですか、奥様達が入ってきたら『いらっしゃいませ』って大きな声でお願いします」
ディオンは不服そうだ。
「研修でも多少は良いところみせましょうね」
レイはにっこり笑っているが目は笑っていない。
「正直、ポカされるとこっちまで巻き込まれるんだよ、お互いがポカしないように見張りあう。そしてフォローしあう。わかってるよな」
その可愛らしい見かけに似合わない太い声でレイは告げる。
「返事して」
「あ、はい……」
「はい」
「おう」
「わかった」
ディオンのみ何も言わない。
「ディオン?」
「……わかってる」
レイは目だけが笑っていない満面の笑みでディオンに言う。
「王宮仕込みの完璧マナーに期待してます」
ディオンは鼻白んだが黙ってうなずいた。
レイのテーブルにはマノン・ラブノー侯爵夫人とレーヌ・ララベル公爵令嬢。ノエルのテーブルにはナタリー・ノアイユ公爵夫人、ユージェニー第二側妃、ディオンのテーブルにはレイの姉のアリス・ミラー、士ビル・メイソン侯爵夫人、ユーリのテーブルは予告なしに来たララベル公爵とノアイユ侯爵、宰相デマレ公爵とジョフロアが着いた。
「……ディオンのテーブルも怖いけどユーリのテーフルが一番怖い」
ノエルが呟くとナタリー夫人が笑う。ユージェニーも楽しそうだ。
「貴方は飾らないのね」
側妃様にそう言われノエルは頭を掻いた。
「あ、……思わず言ってしまうので」
「正直は美徳だけど……貴族にはむかないわねぇ」
側妃様の判定にノエルは否やはなかった。
「ええ、だから家を出て騎士になろうと思ったんです」
「家をでるつもりがあったなら、家のお金に手を着けちゃだめよ?」
マノン夫人がちくり、と刺す。
「あ、いや……面目ない」
ディオンの席は散々だった。
「ほら、お茶はいつでるのかしら」
「そんなものはメイドが」
アリスがじろりと見る。
「まだ王子様のつもり?」
「な」
激高したディオンが立ち上がりアリスに手を出そうとした瞬間、甲高いピリピリぴりという笛の音がした。皆が驚いて一瞬止まる。ジョフロアが大声でディオンに注意をする。
「なにがあっても女性に手をかけちゃだめだ。むかつく事を言われてすぐに顔にだすというのは貴族王族の最初のタブーだぞ。感情を相手に読み取らせるな。相手がかさにかかってきたらそれを利用するくらいの頭を働かせろ」
シビル夫人は扇子の向こうでにんまりと笑っている。
「なんとか時間に間に合いましたね」
レイが息を吐く。
「いいですか、奥様達が入ってきたら『いらっしゃいませ』って大きな声でお願いします」
ディオンは不服そうだ。
「研修でも多少は良いところみせましょうね」
レイはにっこり笑っているが目は笑っていない。
「正直、ポカされるとこっちまで巻き込まれるんだよ、お互いがポカしないように見張りあう。そしてフォローしあう。わかってるよな」
その可愛らしい見かけに似合わない太い声でレイは告げる。
「返事して」
「あ、はい……」
「はい」
「おう」
「わかった」
ディオンのみ何も言わない。
「ディオン?」
「……わかってる」
レイは目だけが笑っていない満面の笑みでディオンに言う。
「王宮仕込みの完璧マナーに期待してます」
ディオンは鼻白んだが黙ってうなずいた。
レイのテーブルにはマノン・ラブノー侯爵夫人とレーヌ・ララベル公爵令嬢。ノエルのテーブルにはナタリー・ノアイユ公爵夫人、ユージェニー第二側妃、ディオンのテーブルにはレイの姉のアリス・ミラー、士ビル・メイソン侯爵夫人、ユーリのテーブルは予告なしに来たララベル公爵とノアイユ侯爵、宰相デマレ公爵とジョフロアが着いた。
「……ディオンのテーブルも怖いけどユーリのテーフルが一番怖い」
ノエルが呟くとナタリー夫人が笑う。ユージェニーも楽しそうだ。
「貴方は飾らないのね」
側妃様にそう言われノエルは頭を掻いた。
「あ、……思わず言ってしまうので」
「正直は美徳だけど……貴族にはむかないわねぇ」
側妃様の判定にノエルは否やはなかった。
「ええ、だから家を出て騎士になろうと思ったんです」
「家をでるつもりがあったなら、家のお金に手を着けちゃだめよ?」
マノン夫人がちくり、と刺す。
「あ、いや……面目ない」
ディオンの席は散々だった。
「ほら、お茶はいつでるのかしら」
「そんなものはメイドが」
アリスがじろりと見る。
「まだ王子様のつもり?」
「な」
激高したディオンが立ち上がりアリスに手を出そうとした瞬間、甲高いピリピリぴりという笛の音がした。皆が驚いて一瞬止まる。ジョフロアが大声でディオンに注意をする。
「なにがあっても女性に手をかけちゃだめだ。むかつく事を言われてすぐに顔にだすというのは貴族王族の最初のタブーだぞ。感情を相手に読み取らせるな。相手がかさにかかってきたらそれを利用するくらいの頭を働かせろ」
シビル夫人は扇子の向こうでにんまりと笑っている。
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