17 / 30
17. ハーブティー
しおりを挟む
「先生は何を?」
オディロンはメンバーに「先生」と呼ばれている。ユーリには相変わらず師匠と呼ばれているが。
「薬を作るための下準備をね」
「……ここの全部毒薬じゃないですか」
ノエルの言葉にオディロンは驚いて見せる。
「よくわかったね。君は学校でも勉強が出来ただろうね」
「そうじゃなくて」
「ああ、私の仕事の一つだよ。便秘気味の人に緩くなる程度の下剤を作ったり胃がむかむかしやすい人に緊急用の嘔吐剤を作ったりね。顧客はそう言うものを使ってるのを秘密にしたい人だ。納得がいかねばジョフロアに訊ねればいい。……私とて仕事をすることもあるのだよ。ま、薬師の免許を取ったのは茶道楽のなれのはてだがね」
オディロンは笑っている。
「茶道楽が何故薬師に?」
ノエルは面食らっているが気になる事はちゃんと訊く。
「あー、中で茶でも飲みながら話そうか」
オディロンはノエルとステファニーを誘う。二人は好奇心のままオディロンに続いた。
「さてと、薬師を目指すきっかけがこれだ」
柔らかく華やかな香りのカモミールティーをいれながらオディロンは言う。
「ハーブティー?」
「そう。ハーブティーの薬効を調べてるうちに面白くなってね。趣味が嵩じるのはいつもの事だ」
ジョフロアの執務室であった。ジョフロアも同じお茶を飲んでいる。ジョフロアが二人に対して言う。
「腕は確か。茶道楽とは言ったもので、兄上を嫌ってるリリーでさえ兄上のブレンドの茶とかハーブティーしか飲まない」
オディロンにっと笑う。
「ま、この茶を飲んでもらえればわかると思う」
「……ええ、納得しました。俺、ハーブティー大っ嫌いで旨いって思ったことないけど先生がいれたこれは本当に美味しい」
ノエルが驚いている。
「そういえば君に聞きたい事があってね。君、例の女の子に近衛の事さぐり入れられてたんだって?」
オディロンの質問にノエルは咽た。
「大丈夫ですか?」
ステファニーはさっと出した自分のハンカチでノエルの膝辺りをふく。
「ステファニー嬢、すまない。ハンカチは洗って返す」
ノエルはそういうとステファニーのハンカチを借りた。ステファニーのハンカチは小さなマーガレットの刺繍が刺されていた。
「ええ、まぁ。質問がそう言うものばかりだったんで。最初は近衛で誰が強いのか、とかだったけど王城での配置とか訊き始めたから。この子は情報収集役だなって。ピンクの石のペンダントの時はそういうの訊かないんだけど緑色の石の時はそう言う事訊くから多分緑の石は魔道具かなって。フェルナンとそう言う話をして二人で協力してあの子の裏を、て思ってたらちょっと金使いすぎましてね。易々と落せる男のふりしてたから」
ノエルが苦笑している。
「これを見たことは?」
「……アリシアの友達とかいう子が着けてたな。どっかのメイドだとか言ってた。特徴のない感じの茶色い瞳に赤っぽい茶色の髪、あと……胸が偉くでかかった。というかそれを強調する服着てた」
===== 母娘の語らい =====
「どう?ステファニー、あの店で気になる人はできた?」
ノアイユ夫人とラブノー夫人がいる。ここはノアイユ家の隠れ屋敷で王都の本邸とは違うこじんまりした女性向けの館だ。現在ステファニーはここから店に通っている。
「ええ。少し気になる方が出来ました」
「あらあら、まあまあ」
驚くノアイユ夫人。ラブノー夫人が心配そうに訊ねる。
「……アンドレとか言わないわよね?」
ステファニーが首を横に振る。ノアイユ夫人とラブノー夫人がほっとした顔になる。
「どなたなの?」
ノアイユ夫人は場合によっては婚約を考えようと思っている。しかしステファニーの口から出た名は二人の予想外の人物であった。
「あの……ジョフロア伯父様のお兄様のオディロン様」
二人は予想外の名前に頭を抱えた。
オディロンはメンバーに「先生」と呼ばれている。ユーリには相変わらず師匠と呼ばれているが。
「薬を作るための下準備をね」
「……ここの全部毒薬じゃないですか」
ノエルの言葉にオディロンは驚いて見せる。
「よくわかったね。君は学校でも勉強が出来ただろうね」
「そうじゃなくて」
「ああ、私の仕事の一つだよ。便秘気味の人に緩くなる程度の下剤を作ったり胃がむかむかしやすい人に緊急用の嘔吐剤を作ったりね。顧客はそう言うものを使ってるのを秘密にしたい人だ。納得がいかねばジョフロアに訊ねればいい。……私とて仕事をすることもあるのだよ。ま、薬師の免許を取ったのは茶道楽のなれのはてだがね」
オディロンは笑っている。
「茶道楽が何故薬師に?」
ノエルは面食らっているが気になる事はちゃんと訊く。
「あー、中で茶でも飲みながら話そうか」
オディロンはノエルとステファニーを誘う。二人は好奇心のままオディロンに続いた。
「さてと、薬師を目指すきっかけがこれだ」
柔らかく華やかな香りのカモミールティーをいれながらオディロンは言う。
「ハーブティー?」
「そう。ハーブティーの薬効を調べてるうちに面白くなってね。趣味が嵩じるのはいつもの事だ」
ジョフロアの執務室であった。ジョフロアも同じお茶を飲んでいる。ジョフロアが二人に対して言う。
「腕は確か。茶道楽とは言ったもので、兄上を嫌ってるリリーでさえ兄上のブレンドの茶とかハーブティーしか飲まない」
オディロンにっと笑う。
「ま、この茶を飲んでもらえればわかると思う」
「……ええ、納得しました。俺、ハーブティー大っ嫌いで旨いって思ったことないけど先生がいれたこれは本当に美味しい」
ノエルが驚いている。
「そういえば君に聞きたい事があってね。君、例の女の子に近衛の事さぐり入れられてたんだって?」
オディロンの質問にノエルは咽た。
「大丈夫ですか?」
ステファニーはさっと出した自分のハンカチでノエルの膝辺りをふく。
「ステファニー嬢、すまない。ハンカチは洗って返す」
ノエルはそういうとステファニーのハンカチを借りた。ステファニーのハンカチは小さなマーガレットの刺繍が刺されていた。
「ええ、まぁ。質問がそう言うものばかりだったんで。最初は近衛で誰が強いのか、とかだったけど王城での配置とか訊き始めたから。この子は情報収集役だなって。ピンクの石のペンダントの時はそういうの訊かないんだけど緑色の石の時はそう言う事訊くから多分緑の石は魔道具かなって。フェルナンとそう言う話をして二人で協力してあの子の裏を、て思ってたらちょっと金使いすぎましてね。易々と落せる男のふりしてたから」
ノエルが苦笑している。
「これを見たことは?」
「……アリシアの友達とかいう子が着けてたな。どっかのメイドだとか言ってた。特徴のない感じの茶色い瞳に赤っぽい茶色の髪、あと……胸が偉くでかかった。というかそれを強調する服着てた」
===== 母娘の語らい =====
「どう?ステファニー、あの店で気になる人はできた?」
ノアイユ夫人とラブノー夫人がいる。ここはノアイユ家の隠れ屋敷で王都の本邸とは違うこじんまりした女性向けの館だ。現在ステファニーはここから店に通っている。
「ええ。少し気になる方が出来ました」
「あらあら、まあまあ」
驚くノアイユ夫人。ラブノー夫人が心配そうに訊ねる。
「……アンドレとか言わないわよね?」
ステファニーが首を横に振る。ノアイユ夫人とラブノー夫人がほっとした顔になる。
「どなたなの?」
ノアイユ夫人は場合によっては婚約を考えようと思っている。しかしステファニーの口から出た名は二人の予想外の人物であった。
「あの……ジョフロア伯父様のお兄様のオディロン様」
二人は予想外の名前に頭を抱えた。
2
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
お妃さま誕生物語
すみれ
ファンタジー
シーリアは公爵令嬢で王太子の婚約者だったが、婚約破棄をされる。それは、シーリアを見染めた商人リヒトール・マクレンジーが裏で糸をひくものだった。リヒトールはシーリアを手に入れるために貴族を没落させ、爵位を得るだけでなく、国さえも手に入れようとする。そしてシーリアもお妃教育で、世界はきれいごとだけではないと知っていた。
小説家になろうサイトで連載していたものを漢字等微修正して公開しております。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
いつか優しく終わらせてあげるために。
イチイ アキラ
恋愛
初夜の最中。王子は死んだ。
犯人は誰なのか。
妃となった妹を虐げていた姉か。それとも……。
12話くらいからが本編です。そこに至るまでもじっくりお楽しみください。
【完結】逃がすわけがないよね?
春風由実
恋愛
寝室の窓から逃げようとして捕まったシャーロット。
それは二人の結婚式の夜のことだった。
何故新妻であるシャーロットは窓から逃げようとしたのか。
理由を聞いたルーカスは決断する。
「もうあの家、いらないよね?」
※完結まで作成済み。短いです。
※ちょこっとホラー?いいえ恋愛話です。
※カクヨムにも掲載。
「無能」と切り捨てられた令嬢、覚醒したら皆が土下座してきました
ゆっこ
恋愛
「リリアーヌ。君には……もう、婚約者としての役目はない」
静まり返った大広間に、元婚約者である王太子アランの冷たい声だけが響く。
私はただ、淡々とその言葉を受け止めていた。
驚き? 悲しみ?
……そんなもの、とっくの昔に捨てた。
なぜなら、この人は——私をずっと“無能”と笑ってきた男だからだ。
貴方だけが私に優しくしてくれた
バンブー竹田
恋愛
人質として隣国の皇帝に嫁がされた王女フィリアは宮殿の端っこの部屋をあてがわれ、お飾りの側妃として空虚な日々をやり過ごすことになった。
そんなフィリアを気遣い、優しくしてくれたのは年下の少年騎士アベルだけだった。
いつの間にかアベルに想いを寄せるようになっていくフィリア。
しかし、ある時、皇帝とアベルの会話を漏れ聞いたフィリアはアベルの優しさの裏の真実を知ってしまってーーー
【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる