王国公認ホストクラブ 【完結】

あくの

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18. お茶会 2

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 開店から半年がたった。なんだかんだと夜のお酒の場としての営業はしていなかった。夕方から夜は予約が入れば夜会やオペラ、劇のお相手という営業はしているが店としての営業はしていなかった。また夕方までのお茶会の時間での客が多すぎたのだ。
 朝と昼を兼ねたブランチタイムは高位貴族の客が男女問わず多かった。秘密の会合に個室の予約をする男性も多かった。
 なのでブランチからランチは男性が好む物もメニューに上がっていた。昼からは市場の休憩時間で市場で働く女性たちが客の主体だった。ここから学生が主体になる時間までは少し大人のムードで指導に来てくれたユーグ達の言う『ホストクラブ』の空気に近くなる。学生が増えてくる時間にはメンバーに憧れる学園時代の元女生徒やメンバーの友達などが来る。またノエルやフェルナンに会いに非番の騎士団員や近衛が来るのでそのファンの女性や少女も多い。
 夕方からは貴族女性や裕福な家の夫人の付き添いの観劇やオペラの付き添いの仕事が入る。これは意外とその夫人の夫からも評判が良かった。自分が時間が取れないので女性だけで劇場に向かわさずに済むことが受けたのだ。少々危ない事もあったようだが店からの馬車で行き来するので怪しい店に潜り込んだりも出来なかった。
 レイが選んだ二人の男性、商会の諜報員の二人でこの二人は隣国のユーグ達の居る店で訓練を受けた上で入店した。またレイの昔からの片腕とも呼んでいい男性と女性も侍従とメイドとして店で働いている。レイは早々に裏方に回った。



 「オディロン様がお店にいるとご婦人方がそわそわしてますね」

ステファニーがジョフロアに何気なく言う。

「あー、今日は特にかも。兄上の学園時代の同級生の奥様方がどうしても、というのでね」

ジョフロアはくすくす笑う。

「学生時代、兄上に憧れてたメンバーなんだよ」

「王妃様も?」

そのご婦人方にお忍びで王妃もいたのだ。

「そう。だから陛下は気が気じゃないようだよ。ま、そう言う女性に夢を見せた上であしらうのは兄上の得意技。……今回はちょっとした撒き餌でもあるけども」

ご婦人の中にモンテロー公爵夫人がいるのだ。

「情報を得るには兄上の一人くらい売る」

ジョフロアの言葉にステファニーはほほ笑む。

「心配されてますね、伯父様」

「……効果がありすぎると、な」

「レイ様の商会の暗部の方と騎士団の方が入ってくださるんでしょ?」

ステファニーが書類をチェックしながらジョフロアに訊ねる。

「まぁ、な。……すまんな、リリーまで館に押し付けて」

「リリー様と母とラブノーのおば様は楽しそうですよ。三人で広場の串焼きを食べに行ったりしてます」

「……楽しそうだな」

ステファニーの言葉にジョフロアも同意した。



 その夜はディオンがモンテロー公爵夫人とオペラと夕食に行っている。他のメンバーはリリーの招待という事でノアイユの本館に連れて行かれた。

「さて、子供たちはいない。誰が動くかな」

「うちの暗部に商会を探らせましたが、どうも最初はうちも巻き込まれかけてたみたいです」

レイの片腕のオリバーという青年が言う。今回は暗部の統括という事でここにいる。ジョフロアとディオンが詳しい報告を訊く。

「それを隠ぺいしてたのが暗部のサブリーダーと会計の夫婦だった、と」

「あの夫婦、抱きこまれてましたね。……魅了されて。ステファニー嬢の荷物に紛れてた青い石ですが、あれはうちで扱った書類がありました。モンテロー公爵の親戚のの男爵が売りに来て、店に出したら当日に冒険者風の男が買っていきました。アレ自体は魔石です」

「それをノアイユの下働きの少女が持っていた、と」

ジョフロアが両手の指先を合わせている。オディロンもそうしかけて両手を拳にし指を合わせるのを止めた。

「たっぷり魅了の魔術をしみこませたままね」

オリバーが言うにはピンクの石の様に拡散する力がない、と言う事らしい。ただただ貯めこむ、そういう性質の石だ。
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