王国公認ホストクラブ 【完結】

あくの

文字の大きさ
19 / 30

19. 裏の人達

しおりを挟む
 「今日は襲撃なしかな」

オディロンがのんびり言う。

「あれだけ煽っといて、モンテロー夫人が我慢できるわけないでしょう」

ジョフロアが呆れたように言う。
 最高級の肉厚のシルクのシャツに目の色と合わせた裏地の黒いベスト。細身の体のボディラインがわかる下半身にピッタリしたものをはく。お茶の香りを邪魔しない程度のほのかな柑橘系ベースの香り。年を重ねても損なわれていない美貌を撫でつけた前髪が引き立てる。男ですら一瞬ぼーっとなる程度には色気が溢れていた。オディロンはモンテロー夫人の隣に位置しユーリと共にご婦人方をもてなしていた。
 王妃様は熱心にユーリを揶揄っていた。他の夫人も毛並みが良くマナーも丁寧なユーリは気に入られたようだった。二人程の夫人にこの店を辞めたら連絡をくれたら悪い様にはしないと言われていた。

「師匠、女性って……」

「ま、そう言うところも含めて女性ですよ。貴女が入れ挙げた女性はもっと怖いでしょ
う?」

オディロンの言葉にユーリはしゅん、となった。ユーリはアリシアには何度も『お父さんに紹介してよ』と言われていたが宰相のスケジュールが忙しすぎて実現できていなかった。
 ジョフロアとオディロンはその危機一髪の状況に顔を見合わせた。ユーリは自覚がないのか自分が踏み台にされかけていた事に気が付いていなかった。
 その情報と共に、とある高位貴族男性が新しく娼館から年若い少女を手に入れて郊外に囲っていると噂が立った。その後、ノアイユの下働きの少女が辞めたとノアイユ侯爵夫人から連絡があった。既に少女はレイの家の暗部からチェックされ、どの屋敷に雇われたかもわかっている。少女は囲われた少女、アリシアの家に入っていったがどこかを通して雇われているという情報は無かった。
 そろそろ仕掛けるか、となった時に少年達はアリシアに魅了の魔法をかけられているのでこれ以上アリシアの案件に晒したくないという事でジョフロアの妻、リリーを引っ張り出したのであった。

 「私の出番はありそうかしら」

ユージェニー側妃、ディオンの母親であった。王家の暗部、「影」の女性部統括で魔草のルートを追う闇の魔法を使う魔術師の一人でもあった。

「直接はないかな。あの青い石から成分抽出で魅了薬を作ってくれただけでも大大大大活躍なのに」

「んふふ、うちのバカ息子の後始末よ。魔草の出先も隣国だったし、オディロン様の時の子も隣国繋がりだったし」

いつもなら嫋やかなユージェニー側妃は今は長い髪は一つに編んで頭に巻き付けている。

「貴女が最初のお茶会の後から動いてるからなにかあったとは思ったけど」

オディロンの言葉にユージェニーは笑う。

「あら、側妃のわがまま旅行よ?」

「表向きはね」

ジョフロアもにやり、としている。ディオンはまだ知らないが王家の影の統括はオディロンでジョフロアはそのサポートである。順当にいけばディオンが次代の影の統括であったが今回の事とそれ以前のマナーが身についていない、王子教育の行き届いてなさで影は任せられないと判断されている、王太子は王妃が外国の姫であることもあって現国王の母、前の王妃も自重したのだが3人いる側妃の最初の男児は全員前王妃の宮で育てられている。その中でも特に甘やかされたのが容姿の良かったディオンであった。また、ユーリもアンドレも「祖母」にどろどろに甘やかされているのでその世代も調査中である。

 外ではがたがたと音がしてる。

「捕り物は二組ってところだな」

ジョフロアが言い、オディロンはふふんと笑う。

「モンテロー夫婦が別々に動いたか」

ユージェニーが唇に指を当てて考える。青い石のありかを流したのはレイの付き人、オリバーであった。うまく、お茶会を開くタイミングを計ったのもこの男であった。

うちで雇いたいくらいだわ。あのオリバーって子」

「というかレイの所の暗部が良く訓練されてる。暗部ごと全部欲しいくらいだ」

ユージェニーの言葉にオディロンも完全に同意した。

「ま、幹部が魅了にかかった事が大きなマイナスだけどね」

ジョフロアは溜息をついた。

「まずは一組捕まったかな」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

お妃さま誕生物語

すみれ
ファンタジー
シーリアは公爵令嬢で王太子の婚約者だったが、婚約破棄をされる。それは、シーリアを見染めた商人リヒトール・マクレンジーが裏で糸をひくものだった。リヒトールはシーリアを手に入れるために貴族を没落させ、爵位を得るだけでなく、国さえも手に入れようとする。そしてシーリアもお妃教育で、世界はきれいごとだけではないと知っていた。 小説家になろうサイトで連載していたものを漢字等微修正して公開しております。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

「無能」と切り捨てられた令嬢、覚醒したら皆が土下座してきました

ゆっこ
恋愛
 「リリアーヌ。君には……もう、婚約者としての役目はない」  静まり返った大広間に、元婚約者である王太子アランの冷たい声だけが響く。  私はただ、淡々とその言葉を受け止めていた。  驚き? 悲しみ?  ……そんなもの、とっくの昔に捨てた。  なぜなら、この人は——私をずっと“無能”と笑ってきた男だからだ。

【完結】逃がすわけがないよね?

春風由実
恋愛
寝室の窓から逃げようとして捕まったシャーロット。 それは二人の結婚式の夜のことだった。 何故新妻であるシャーロットは窓から逃げようとしたのか。 理由を聞いたルーカスは決断する。 「もうあの家、いらないよね?」 ※完結まで作成済み。短いです。 ※ちょこっとホラー?いいえ恋愛話です。 ※カクヨムにも掲載。

愛することはない?教育が必要なようですわね!?

ゆるぽ
恋愛
ヴィオーラ公爵家には独自の風習がある。それはヴィオーラに連なるものが家を継ぐときに当代の公爵が直接指導とテストを行うというもの。3年前に公爵を継いだシンシア・ヴィオーラ公爵は数代前に分かれたヴィオーラ侯爵家次期侯爵のレイモンド・ヴィオーラが次期当主としてふさわしいかどうかを見定め指導するためにヴィオーラ侯爵家に向かう。だがそんな彼女を待っていたのはレイモンドの「勘違いしないでほしいが、僕は君を愛するつもりはない!」という訳の分からない宣言だった!どうやらレイモンドは婚約者のレンシアとシンシアを間違えているようで…?※恋愛要素はかなり薄いです※

愛のバランス

凛子
恋愛
愛情は注ぎっぱなしだと無くなっちゃうんだよ。

婚約者と妹が酷過ぎるわけでして……

マルローネ
恋愛
侯爵のデナンはローザ伯爵令嬢を婚約者としていたが、より器量の良い 妹のリシェルに乗り換えたのだった。 ローザの妹のリシェルは彼女の私物まで欲しはじめて……。

処理中です...