【完結】悪役令嬢娼館エンド、その後

あくの

文字の大きさ
14 / 26
本編

ジェラールとソフィー

しおりを挟む
 「この近親相姦かつ恋のライバル、相手は男って……」

ソフィーはリナにお茶の用意を頼んだ。ジェラールはソフィーの前の椅子に座る。

「そういう美しい男性同士の仲良しを好むご令嬢は多いらしいです。何冊か、私たちをモデルにした本をだしてらっしゃる方がいて。私と兄様達との肉欲の日々とか。私とセシルの愛欲の日々とか……」

ソフィーはふっと遠い目をした。

「それはそれとして。……その本、今の状況とちょっと似てませんか?」

ソフィーは話を続ける。

「悪役の令嬢は娼婦になり、高位貴族は兄様モデルの人たちのスキャンダルで一網打尽。王太子は悪役の元婚約者を売る前に凌辱するのも同じですわね」

「……予言の書?」

ジェラールが天然を発揮した。

「兄様、フレデリク兄様やラファイエット様とそういう関係?」

ジェラールは思い切り首を横に振って否定した。

「これはまだ王太子様が生きてる時、……半年前に私が知って、その3か月前位から学園内で流行っていたそうです。……これを見つけたのはリナなんです。リナがメイド仲間から貰って判明したんです」

ジェラールとソフィーの前に珈琲がおかれる。ふうわりと珈琲の香りが部屋の中に漂う。

「お兄様たちにはお知らせしませんでしたが、この本は大元があります。出版されている本で『聖なる少女の王子様』というシリーズもので露骨にエリカ嬢とエドワード殿下を模した少女向け小説ですわ。今5巻まで出ています」

ジェラールは大人しく話を聞いている。

「その中でセシルを模したキャラはさっさと退場してます。王太子と聖なる少女の恋を応援して。その本自体は普通の出版社からでております。そしてその薄い、自主流通本ですが……、今回爵位を上げた現側近の方の持ってる新聞社系の印刷所を使ってるようです」

ソフィーの言葉にジェラールは唸る。

「兄様、珈琲冷めますよ?」

はっとしてジェラールは前におかれた四角く形を作った砂糖を3つ珈琲に入れ、かき混ぜる。そこにたっぷりのミルクを注ぐ。ジェラールはこういう時に余分に甘いものを摂取しないとあっという間に痩せてしまう。子供の頃、呪われているのかと思った両親が魔術師に診せた事もある。結局、神殿の医療神官に診てもらって『喰え』と言われたのでジェラールは何かと甘いものを口にするようになったのだ。

「クッキーかなにか食べます?」

「や、夕食も近いし」

ソフィーは話を続けた。

「元になった本はともかく、この本は我が家をネタに楽しんでたのでしょうね」

「こういう自主流通本は」

ソフィーはにっこり笑う。

「一部の女生徒が始めたようですわ。……我が家の兄様達は延々と餌食になってますわね。手元には7冊程ありますが、全部あつめるとなると……。元王太子側近の方達やアレの側近の方達はそういう女生徒の妄想をそそるらしく……」

 ジェラールはぞっとした。己が、兄弟が、友がそんな風に見られていたとは、と。

「そう言えば何故兄様はアレの側近にならなかったのですか?」

「……ローランとは気が合わん。まぁ、王太子とも合わなかったしな。兄上達が王太子のスタッフになってたから俺まで、というのもあってな」

ソフィーは愛らしく兄を見る。

「お父様の采配?」

「父上ではないな。多分、母上の意向。ソフィーをローランの婚約者にしちゃってから嫁姑もすさまじいバトルしてたよ」

ソフィーは珈琲を一口飲んだ。

「おばあ様、ごり押しだったものね。私がアレとの婚約を受けたのはセシルが王太子の婚約してたから。セシルの補佐をするつもりだったの」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

冷遇された没落姫は、風に乗せて真実を詠う ─残り香の檻─

あとりえむ
恋愛
「お前の練る香など、埃と同じだ」 没落した名家の姫・瑠璃は、冷酷な夫・道隆に蔑まれ、極寒の離れに追いやられていた。夫の隣には、贅を尽くした香料を纏う愛人の明子。 しかし道隆は知らなかった。瑠璃が魂を削って練り上げた香は、焚く者の心根を映し出す「真実の鏡」であることを。 瑠璃が最後に残した香の種を、明子が盗み出し、手柄を偽って帝の前で焚き上げた瞬間。美しき夢は、獣の死臭が漂う地獄へと変貌する。 「この香りの主を探せ。これほど澄み切った魂が、この都に在るはずだ」 絶望の淵で放たれた一筋の香りに導かれ、孤独な東宮が泥の中に咲く白蓮を見つけ出す。 嘘と虚飾にまみれた貴族社会を、ひとりの調香師が浄化する、雅やかな逆転劇。

遺産は一円も渡さない 〜強欲な夫と義実家に捨てられた私、真の相続人と手を組み全てを奪い返す~ (全10話)

スカッと文庫
恋愛
「お前の価値なんて、その遺産くらいしかないんだよ」 唯一の肉親だった祖父を亡くした夜、夫の健一と義母から放たれたのは、あまりにも無慈悲な言葉だった。 四十九日も待たず、祖父が遺した1億2000万円の遺産をアテに贅沢三昧を目論む夫。だが、彼には隠し通している「裏切り」があった――。 絶望の淵に立たされた由美の前に現れたのは、亡き祖父が差し向けた若き凄腕弁護士・蓮。 「おじい様は、すべてお見通しでしたよ」 明かされる衝撃の遺言内容。そして、強欲な夫たちを地獄へ叩き落とすための「相続条件」とは? 虐げられてきた妻による、一発逆転の遺産争奪&復讐劇がいま幕を開ける!

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

真実の愛は水晶の中に

立木
恋愛
学園の卒業を祝うパーティーの最中、レイシア・マレーニ侯爵令嬢は第三王子とピンク髪の女、その取り巻きたちによって断罪されようとしていた。 しかし断罪劇は思わぬ方向へ進んでいく。 ※「なろう」にも重複投稿しています。

捨てられた令嬢と、選ばれなかった未来

鍛高譚
恋愛
「君とは釣り合わない。だから、僕は王女殿下を選ぶ」 婚約者アルバート・ロンズデールに冷たく告げられた瞬間、エミリア・ウィンスレットの人生は暗転した。 王都一の名門公爵令嬢として慎ましくも誠実に彼を支えてきたというのに、待っていたのは無慈悲な婚約破棄――しかも相手は王女クラリッサ。 アルバートと王女の華やかな婚約発表の裏で、エミリアは社交界から冷遇され、"捨てられた哀れな令嬢"と嘲笑される日々が始まる。 だが、彼女は決して屈しない。 「ならば、貴方たちが後悔するような未来を作るわ」 そう決意したエミリアは、ある人物から手を差し伸べられる。 ――それは、冷静沈着にして王国の正統な後継者、皇太子アレクシス・フォルベルト。 彼は告げる。「私と共に来い。……君の聡明さと誇りが、この国には必要だ」

「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。

しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。

夫に君も愛人を作ればいいと言われましたので

麻麻(あさあさ)
恋愛
「君も愛人を作ればいい」と夫に言われたので売り言葉に買い言葉で出会った愛人候補は自分が魔法使い伯爵と言いました。 全15話。プロローグから4話まで一挙公開。 翌日からは20時に2話ずつ公開。11日は最終話まで3話一挙公開。 登場人物 マーリン・ダグラス 結婚2年目にして夫の不倫を問い詰めたら黒だった令嬢。母に聞かされた結婚は夫となる人を大事にという言葉を守ってるが夫のギルバートにブチギレてこの度愛人を探すと決める。 デミトリアス・ドラモンドまたはアロン マーリンが仮面舞踏会で知り合った自称魔法使い伯爵。次の日にマーリン好みの執事アロンに姿を変えて彼女の屋敷に来る。 ギルバート・ダグラス マーリンの夫で伯爵。ギルと呼ばれている。愛人を作れば発言をした。 シェリー・モーヴ ギルバートの愛人 エミリー マーリンの親友で既婚者。 ララとリリー マーリンの屋敷のメイド達。

処理中です...