13 / 26
本編
子息も令嬢も動き始める。
しおりを挟む
「ここが新しい職場か」
ラファイエット家の3男、4男、5男は宰相の執務室に連れてこられていた。各家の当主、嫡男、次男と夫人は国に帰ったら仕事があるだろうし、客として遇することはできるがそれ以外で働ける人員で希望があれば王宮かフーシェ侯爵の家で仕事がある、と伝えられる。また奥方で王宮で辛い人は暫くフーシェ女侯爵から療養に来ないかとお誘いがあった。
夫人たちは物見遊山がてらフーシェ家の領地に行ってしまった。令嬢の一部はセシルのいる王妃宮の女官見習いに入った。また、フーシェ女侯爵の家の手伝いに行った令嬢もいる。他の家の嫡男と次男以外の子供は己が手で稼ぐ事は本国でも普通にやっている事なので通常運転、であった。
冒険者登録をして冒険者になった子息令嬢もいた。こちらの国の冒険者ギルドは初期研修もしっかりやってくれるので冒険者を進路にしていた子息令嬢には至れり尽くせり、であった。
そして、ソフィーは。
「兄様、稽古をつけてください」
すぐ上の三男ジェラールの朝の鍛錬に顔をだした。これも子供の頃からの習慣だった。
「体は大丈夫なのか?」
「徐々に動けるように戻さないと……。あのアホのせいで休んでしまってたから」
足にぴったりしたスパッツと軽めのチュニックで練習用の木剣をもってソフィーはほほ笑んだ。ソフィーは本来ローランが想定しているような淑女ではなく、活発な女性であった。ローランたちのいた普通科と違い上級科にソフィーはいて、騎士科のコースに一部参加していたことなど全く知らなかったのだ。
「あのアホには私があれから与えられた痛みは全部体で味わってもらうので。鍛えなおさなきゃ」
「我が妹ながら……アレも厄介な事したなぁ」
「女を暴力で思い通りするならこちらも暴力で返すのみです。やるならやられるんですよ。……アレも聖女を騙った女もその父親も。皆痛い目に会うべきだと思いませんか」
すぐ上の兄、三男のジェラールは頷く。
「物理的にも痛い目に合わせたいね、俺も」
ジェラールは暫く考えていたが口を開いた。
「なぁ。ソフィー。体術も鍛えないか?どうせならソフィーの拳でアレのあばらを……」
ソフィーはにんまり笑う。黒猫みたいだなとジェラールは思った。
「そうですわね。己が手でやり遂げてこその復讐、いえ、ざまぁですわね」
愛らしくソフィーが笑う、ジェラールは首を傾げる。
「『ざまぁ』ってなんだ?」
「ジェラールお兄様、知らないの?学園で女生徒に流行りまくってたのに」
ジェラールは大型犬の子犬みたいにつぶらな汚れない瞳で妹を見返す。
「わかりました、薄いものをお届けしますので参考として一冊お読みください」
「えぇー」
抗議の声をあげたものの妹に甘いジェラールは参考図書を読んだのであった。
「これはなんだ」
ソフィーに渡された本をすぐに読めたらしいジェラールが本を握りしめ、怒りも新たにソフィーの部屋に入って来た。赤くなったり青くなったりジェラールの顔色は安定しない。
「学園の女生徒の間で流れてた自主流通本ですわ。私たちにはわからないように流れていて、私が見つけた時は女生徒の八割は読んでいたのではないかしら」
ソフィーは可愛らしく首を傾げる。
「主題は王太子と聖なる力の乙女の恋愛で、その悪役の令嬢はセシル様ですよね、どう見ても」
ジェラールは頷いた。
「こ、この……男三人のあの、その」
「多分、その三人はフレデリク兄様、ジェラール兄様、そしてラファイエット様だと思います」
ジェラールは本を握りしめしゃがみこみ、長い溜息をついた。
ラファイエット家の3男、4男、5男は宰相の執務室に連れてこられていた。各家の当主、嫡男、次男と夫人は国に帰ったら仕事があるだろうし、客として遇することはできるがそれ以外で働ける人員で希望があれば王宮かフーシェ侯爵の家で仕事がある、と伝えられる。また奥方で王宮で辛い人は暫くフーシェ女侯爵から療養に来ないかとお誘いがあった。
夫人たちは物見遊山がてらフーシェ家の領地に行ってしまった。令嬢の一部はセシルのいる王妃宮の女官見習いに入った。また、フーシェ女侯爵の家の手伝いに行った令嬢もいる。他の家の嫡男と次男以外の子供は己が手で稼ぐ事は本国でも普通にやっている事なので通常運転、であった。
冒険者登録をして冒険者になった子息令嬢もいた。こちらの国の冒険者ギルドは初期研修もしっかりやってくれるので冒険者を進路にしていた子息令嬢には至れり尽くせり、であった。
そして、ソフィーは。
「兄様、稽古をつけてください」
すぐ上の三男ジェラールの朝の鍛錬に顔をだした。これも子供の頃からの習慣だった。
「体は大丈夫なのか?」
「徐々に動けるように戻さないと……。あのアホのせいで休んでしまってたから」
足にぴったりしたスパッツと軽めのチュニックで練習用の木剣をもってソフィーはほほ笑んだ。ソフィーは本来ローランが想定しているような淑女ではなく、活発な女性であった。ローランたちのいた普通科と違い上級科にソフィーはいて、騎士科のコースに一部参加していたことなど全く知らなかったのだ。
「あのアホには私があれから与えられた痛みは全部体で味わってもらうので。鍛えなおさなきゃ」
「我が妹ながら……アレも厄介な事したなぁ」
「女を暴力で思い通りするならこちらも暴力で返すのみです。やるならやられるんですよ。……アレも聖女を騙った女もその父親も。皆痛い目に会うべきだと思いませんか」
すぐ上の兄、三男のジェラールは頷く。
「物理的にも痛い目に合わせたいね、俺も」
ジェラールは暫く考えていたが口を開いた。
「なぁ。ソフィー。体術も鍛えないか?どうせならソフィーの拳でアレのあばらを……」
ソフィーはにんまり笑う。黒猫みたいだなとジェラールは思った。
「そうですわね。己が手でやり遂げてこその復讐、いえ、ざまぁですわね」
愛らしくソフィーが笑う、ジェラールは首を傾げる。
「『ざまぁ』ってなんだ?」
「ジェラールお兄様、知らないの?学園で女生徒に流行りまくってたのに」
ジェラールは大型犬の子犬みたいにつぶらな汚れない瞳で妹を見返す。
「わかりました、薄いものをお届けしますので参考として一冊お読みください」
「えぇー」
抗議の声をあげたものの妹に甘いジェラールは参考図書を読んだのであった。
「これはなんだ」
ソフィーに渡された本をすぐに読めたらしいジェラールが本を握りしめ、怒りも新たにソフィーの部屋に入って来た。赤くなったり青くなったりジェラールの顔色は安定しない。
「学園の女生徒の間で流れてた自主流通本ですわ。私たちにはわからないように流れていて、私が見つけた時は女生徒の八割は読んでいたのではないかしら」
ソフィーは可愛らしく首を傾げる。
「主題は王太子と聖なる力の乙女の恋愛で、その悪役の令嬢はセシル様ですよね、どう見ても」
ジェラールは頷いた。
「こ、この……男三人のあの、その」
「多分、その三人はフレデリク兄様、ジェラール兄様、そしてラファイエット様だと思います」
ジェラールは本を握りしめしゃがみこみ、長い溜息をついた。
18
あなたにおすすめの小説
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
冷遇された没落姫は、風に乗せて真実を詠う ─残り香の檻─
あとりえむ
恋愛
「お前の練る香など、埃と同じだ」
没落した名家の姫・瑠璃は、冷酷な夫・道隆に蔑まれ、極寒の離れに追いやられていた。夫の隣には、贅を尽くした香料を纏う愛人の明子。
しかし道隆は知らなかった。瑠璃が魂を削って練り上げた香は、焚く者の心根を映し出す「真実の鏡」であることを。
瑠璃が最後に残した香の種を、明子が盗み出し、手柄を偽って帝の前で焚き上げた瞬間。美しき夢は、獣の死臭が漂う地獄へと変貌する。
「この香りの主を探せ。これほど澄み切った魂が、この都に在るはずだ」
絶望の淵で放たれた一筋の香りに導かれ、孤独な東宮が泥の中に咲く白蓮を見つけ出す。
嘘と虚飾にまみれた貴族社会を、ひとりの調香師が浄化する、雅やかな逆転劇。
遺産は一円も渡さない 〜強欲な夫と義実家に捨てられた私、真の相続人と手を組み全てを奪い返す~ (全10話)
スカッと文庫
恋愛
「お前の価値なんて、その遺産くらいしかないんだよ」
唯一の肉親だった祖父を亡くした夜、夫の健一と義母から放たれたのは、あまりにも無慈悲な言葉だった。
四十九日も待たず、祖父が遺した1億2000万円の遺産をアテに贅沢三昧を目論む夫。だが、彼には隠し通している「裏切り」があった――。
絶望の淵に立たされた由美の前に現れたのは、亡き祖父が差し向けた若き凄腕弁護士・蓮。
「おじい様は、すべてお見通しでしたよ」
明かされる衝撃の遺言内容。そして、強欲な夫たちを地獄へ叩き落とすための「相続条件」とは?
虐げられてきた妻による、一発逆転の遺産争奪&復讐劇がいま幕を開ける!
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
真実の愛は水晶の中に
立木
恋愛
学園の卒業を祝うパーティーの最中、レイシア・マレーニ侯爵令嬢は第三王子とピンク髪の女、その取り巻きたちによって断罪されようとしていた。
しかし断罪劇は思わぬ方向へ進んでいく。
※「なろう」にも重複投稿しています。
捨てられた令嬢と、選ばれなかった未来
鍛高譚
恋愛
「君とは釣り合わない。だから、僕は王女殿下を選ぶ」
婚約者アルバート・ロンズデールに冷たく告げられた瞬間、エミリア・ウィンスレットの人生は暗転した。
王都一の名門公爵令嬢として慎ましくも誠実に彼を支えてきたというのに、待っていたのは無慈悲な婚約破棄――しかも相手は王女クラリッサ。
アルバートと王女の華やかな婚約発表の裏で、エミリアは社交界から冷遇され、"捨てられた哀れな令嬢"と嘲笑される日々が始まる。
だが、彼女は決して屈しない。
「ならば、貴方たちが後悔するような未来を作るわ」
そう決意したエミリアは、ある人物から手を差し伸べられる。
――それは、冷静沈着にして王国の正統な後継者、皇太子アレクシス・フォルベルト。
彼は告げる。「私と共に来い。……君の聡明さと誇りが、この国には必要だ」
〈完結〉だってあなたは彼女が好きでしょう?
ごろごろみかん。
恋愛
「だってあなたは彼女が好きでしょう?」
その言葉に、私の婚約者は頷いて答えた。
「うん。僕は彼女を愛している。もちろん、きみのことも」
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる