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■■ 【■■空■・■一■】■■ーー④
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「ところでアナタ、“始源拾弐機関”ですよね?」
「ふえっ!?」思わず変な声が出ちまった。
「いやいや、今さらしらばっくれてもさ~、“始源拾弐機関”からそんだけ色々与えられてて、わたしは普通の人間ですー、なんて言い訳が通用するわけないでしょ? ……で、ユアネーム?」
「……キティ、ただのキティよ」
「ハッ、真名を名乗ってくれないんですかー。あ、“始源拾弐機関”の各システムの名前に意味があるなんて思ってますー?」
「……だったら何?」
「意味なんてありませんよ。そこに何の価値を見出してるんですか、彼らが名前を名乗ったら何かありました? 名前の意味を教えてくれました?」
「……彼らには物語があった、あまりお喋りはできなかったけど、それだけで十分よ」
「ふーん、ただのシステム如きに物語がねえ、アナタ、よっぽど詩人なんですね、どんな些細なものにも情緒を感じてしまうなんて」
わたしの物語を次から次へと否定されている。全然面白くない。批評や指摘なら喜んで受け付けるけど、全否定されちゃったらどうしようもないじゃない。
だって、これはそういう物語なんだもの。
空白のページのような真っ白な世界から、この錯誤世界に放り出された【透明幻想・錯綜少女基底】という名前しか知らない、何も持たない少女の物語。
記憶すら持たない少女は、自分が何者であるかをあるかを探す中で、“始源拾弐機関”という物語に出会う。
対話と対峙、旅をする中で出会うそれらが、きっと少女を成長させていく。
世界を創ったのは誰で、神話を語るのは誰で、この物語は誰のものなのか。
これはわたしが物語を創る物語だ。
だから、否定なんてさせない。わたしを形作るものを否定なんてさせない。
「でも、アナタみたいな“始源拾弐機関”は見たことも聞いたこともないんですよ、何なのでしょうね?」
「……ちょうどそれを探してるところだったの」
低く、唸るように。
ぬるり、漆黒のワンピースが蠢く。
まだちょっとズキズキ痛む右耳に触れる。まだ星槍はちゃんと定着していないのか。
思わず臨戦態勢。わたし、こんなに好戦的なはずじゃないし、そもそも戦闘描写があるのすらも納得いってない。そういう物語じゃない、ってずっと言ってるのに。
「む、やっぱり話を聞いてくれないじゃないですかー、やだー」
「だから、お前が言うな!」
衝動的な疾駆、感情に任せて。きっとわたしは今、とても酷い表情をしている。大地の脈動が止まない、小烏丸はまだわたしを見下ろしている。だからこそ、そう、この世界のためにも、わたしの精神衛生のためにも。
一刻でも早くこのイカれた茶番劇を終わらせてやる。
「ふう、仕方ありません。よっしゃ、バッチコイ! この世界を司る神として受けて立ちましょう!」
ふわり、ずっと【天変界位】を観察していた小烏丸がその小高い丘、いや、もはや隆起しきって見上げるほどの崖になってしまっている場所から、まるでちょっとした段差を飛び越えるかのような気楽さでぴょいっと飛び降りる。
間髪入れず。
出力増大、ワンピースが蠢いて半裸、魔剣形成、そう、小烏丸の着地前に! 突撃の勢いそのままに。わたしの身の丈を大きく超える巨大な虚無を真っ直ぐに振り下ろす。
「お、そのキモい魔剣、さては【不浄遺棄地域】の力ですね?」
自身の頭上に迫る魔剣なんて、はじめからそこに存在していないかのように無気力に。
「む、不意打ちとは卑怯な」
そんな言葉とは裏腹に。
「ふえっ!?」思わず変な声が出ちまった。
「いやいや、今さらしらばっくれてもさ~、“始源拾弐機関”からそんだけ色々与えられてて、わたしは普通の人間ですー、なんて言い訳が通用するわけないでしょ? ……で、ユアネーム?」
「……キティ、ただのキティよ」
「ハッ、真名を名乗ってくれないんですかー。あ、“始源拾弐機関”の各システムの名前に意味があるなんて思ってますー?」
「……だったら何?」
「意味なんてありませんよ。そこに何の価値を見出してるんですか、彼らが名前を名乗ったら何かありました? 名前の意味を教えてくれました?」
「……彼らには物語があった、あまりお喋りはできなかったけど、それだけで十分よ」
「ふーん、ただのシステム如きに物語がねえ、アナタ、よっぽど詩人なんですね、どんな些細なものにも情緒を感じてしまうなんて」
わたしの物語を次から次へと否定されている。全然面白くない。批評や指摘なら喜んで受け付けるけど、全否定されちゃったらどうしようもないじゃない。
だって、これはそういう物語なんだもの。
空白のページのような真っ白な世界から、この錯誤世界に放り出された【透明幻想・錯綜少女基底】という名前しか知らない、何も持たない少女の物語。
記憶すら持たない少女は、自分が何者であるかをあるかを探す中で、“始源拾弐機関”という物語に出会う。
対話と対峙、旅をする中で出会うそれらが、きっと少女を成長させていく。
世界を創ったのは誰で、神話を語るのは誰で、この物語は誰のものなのか。
これはわたしが物語を創る物語だ。
だから、否定なんてさせない。わたしを形作るものを否定なんてさせない。
「でも、アナタみたいな“始源拾弐機関”は見たことも聞いたこともないんですよ、何なのでしょうね?」
「……ちょうどそれを探してるところだったの」
低く、唸るように。
ぬるり、漆黒のワンピースが蠢く。
まだちょっとズキズキ痛む右耳に触れる。まだ星槍はちゃんと定着していないのか。
思わず臨戦態勢。わたし、こんなに好戦的なはずじゃないし、そもそも戦闘描写があるのすらも納得いってない。そういう物語じゃない、ってずっと言ってるのに。
「む、やっぱり話を聞いてくれないじゃないですかー、やだー」
「だから、お前が言うな!」
衝動的な疾駆、感情に任せて。きっとわたしは今、とても酷い表情をしている。大地の脈動が止まない、小烏丸はまだわたしを見下ろしている。だからこそ、そう、この世界のためにも、わたしの精神衛生のためにも。
一刻でも早くこのイカれた茶番劇を終わらせてやる。
「ふう、仕方ありません。よっしゃ、バッチコイ! この世界を司る神として受けて立ちましょう!」
ふわり、ずっと【天変界位】を観察していた小烏丸がその小高い丘、いや、もはや隆起しきって見上げるほどの崖になってしまっている場所から、まるでちょっとした段差を飛び越えるかのような気楽さでぴょいっと飛び降りる。
間髪入れず。
出力増大、ワンピースが蠢いて半裸、魔剣形成、そう、小烏丸の着地前に! 突撃の勢いそのままに。わたしの身の丈を大きく超える巨大な虚無を真っ直ぐに振り下ろす。
「お、そのキモい魔剣、さては【不浄遺棄地域】の力ですね?」
自身の頭上に迫る魔剣なんて、はじめからそこに存在していないかのように無気力に。
「む、不意打ちとは卑怯な」
そんな言葉とは裏腹に。
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