144 / 235
設定(≠核心)
―ーLIVE:【外装起因機関・電葬経土:七人姉妹】&【 】feat. ――⑤
しおりを挟む
いつか【外装起因機関・電葬経土:七人姉妹】に会えたなら聞こうと思っていたことがあった。ずっと心の片隅でわたしを苛み続けていたことを。
わたしはこの機会をずっと待っていて、それはなんだか意外なほどに早く来た。こんな風に会えるなんて思わなかったけど。
「ところで、【天変界位】はどこにいるの? 【深層義肢】はアナタ達が神様達から逃がしてくれた、って言ってたわ。わたし、あの子にどうしても謝りたいことがあるの」
そう、わたしは【天変界位】を守ることができなかった。もし、あの子を守ることができていたら、わたし達はあの異世界大戦で勝てたのかもしれない。星と共にあるはずの少女を星から引き離してしまった原因はわたしで、そのせいで、あの無邪気な笑顔が翳っていやしないだろうかとずっと思い悩んでいた。
だから、わたしは【天変界位】に謝らなきゃいけない。
「ええ、確かに【天変界位】というデータはここに保管されているわ。ただ、“始源拾弐機関”という物語構造体はあまりにも寓話容量が膨大過ぎてね。だから、仕方なく仮想月、第参映月、として説話的加重投射するしかなかったのよ」
ん? なんだなんだ? 急に何言ってるかわからなくなったぞ? え、同じ言語だよね?
「【天変界位】は世界を変えるもの。物語の中心であるあの星そのものを体現する存在なんだけどさー、変えるべき世界基底がないここでは、彼女は顕現できないんだよね。だから、私達が必要最低限の想像構造の最小単位のみを保管しているってわけ」
八重歯を見せながらニシシと笑う活発そうな、緑を差し色にした少女の気楽な口調に相反する難解すぎる言葉に、逆に理解が追い付かなくてすっかり思考を放棄してしまった。エルルカに教わった魔法の呪文すらまともに詠唱できなかったんだから、こんな魔法めいた言葉の羅列が理解できないのも仕方ないね。
「つまり、今、月は4つに見えるってことよ、……大丈夫、お姉ちゃんさん?」
完全に思考が停止していしまったわたしの顔を心配そうに覗き込むのは、わたしよりも幼い女の子。大きなトパーズイエローの瞳が屈託なく輝いている。は? どういうこと? 4つ目の月を、作った? 確かにあの時月が4つに見えたけどそれは見間違いじゃなかったの? え、何を言っているのかしら、そんなことができるはずが……
「この星の2つの月は私達が作ったの、私達の機能だけじゃキャパシティオーバーだからサーバーを増設したんだよ」
いいや、全然ダメだ。壮大すぎるお話に全くもってついていけない。想像の遥か上を行くスケールの大きさにまた頭が混乱して、そう、さっきから混乱しっぱなしでとても混乱している、まさに混乱だらけだ。
物の形を決め、月を作り、そして、あの巨大な幼女、【天変界位】すら救い出した。やってることだけで言えば、わたしより遥かに創造主っぽいし、そして、英雄的だ。
「地上で第零真月、と言われているのが私達のオリジナルで、第壱硝月、第弐虚月が増設したサーバーね」
なるほど、あまりにも壮大すぎるし意味不明な魔法の言葉すぎて、何言ってるのかさっぱりわからねえんだぜ。月を作る? そんなの完全に神話じゃない。どうして、彼女達の物語が地上にないんだ、こんな壮大すぎる物語を誰も知らないなんてもったいなさすぎる。
決めた、絶対にわたしがこの物語を伝えよう。そうすれば、月に関するわくわく胸躍るようなおとぎ話がまた一つこの世界に増えるんだもの。
わたしはこの機会をずっと待っていて、それはなんだか意外なほどに早く来た。こんな風に会えるなんて思わなかったけど。
「ところで、【天変界位】はどこにいるの? 【深層義肢】はアナタ達が神様達から逃がしてくれた、って言ってたわ。わたし、あの子にどうしても謝りたいことがあるの」
そう、わたしは【天変界位】を守ることができなかった。もし、あの子を守ることができていたら、わたし達はあの異世界大戦で勝てたのかもしれない。星と共にあるはずの少女を星から引き離してしまった原因はわたしで、そのせいで、あの無邪気な笑顔が翳っていやしないだろうかとずっと思い悩んでいた。
だから、わたしは【天変界位】に謝らなきゃいけない。
「ええ、確かに【天変界位】というデータはここに保管されているわ。ただ、“始源拾弐機関”という物語構造体はあまりにも寓話容量が膨大過ぎてね。だから、仕方なく仮想月、第参映月、として説話的加重投射するしかなかったのよ」
ん? なんだなんだ? 急に何言ってるかわからなくなったぞ? え、同じ言語だよね?
「【天変界位】は世界を変えるもの。物語の中心であるあの星そのものを体現する存在なんだけどさー、変えるべき世界基底がないここでは、彼女は顕現できないんだよね。だから、私達が必要最低限の想像構造の最小単位のみを保管しているってわけ」
八重歯を見せながらニシシと笑う活発そうな、緑を差し色にした少女の気楽な口調に相反する難解すぎる言葉に、逆に理解が追い付かなくてすっかり思考を放棄してしまった。エルルカに教わった魔法の呪文すらまともに詠唱できなかったんだから、こんな魔法めいた言葉の羅列が理解できないのも仕方ないね。
「つまり、今、月は4つに見えるってことよ、……大丈夫、お姉ちゃんさん?」
完全に思考が停止していしまったわたしの顔を心配そうに覗き込むのは、わたしよりも幼い女の子。大きなトパーズイエローの瞳が屈託なく輝いている。は? どういうこと? 4つ目の月を、作った? 確かにあの時月が4つに見えたけどそれは見間違いじゃなかったの? え、何を言っているのかしら、そんなことができるはずが……
「この星の2つの月は私達が作ったの、私達の機能だけじゃキャパシティオーバーだからサーバーを増設したんだよ」
いいや、全然ダメだ。壮大すぎるお話に全くもってついていけない。想像の遥か上を行くスケールの大きさにまた頭が混乱して、そう、さっきから混乱しっぱなしでとても混乱している、まさに混乱だらけだ。
物の形を決め、月を作り、そして、あの巨大な幼女、【天変界位】すら救い出した。やってることだけで言えば、わたしより遥かに創造主っぽいし、そして、英雄的だ。
「地上で第零真月、と言われているのが私達のオリジナルで、第壱硝月、第弐虚月が増設したサーバーね」
なるほど、あまりにも壮大すぎるし意味不明な魔法の言葉すぎて、何言ってるのかさっぱりわからねえんだぜ。月を作る? そんなの完全に神話じゃない。どうして、彼女達の物語が地上にないんだ、こんな壮大すぎる物語を誰も知らないなんてもったいなさすぎる。
決めた、絶対にわたしがこの物語を伝えよう。そうすれば、月に関するわくわく胸躍るようなおとぎ話がまた一つこの世界に増えるんだもの。
0
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる