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第1話 深夜残業

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「ちょっと……、御手洗さん、待って下さい……」

「はい、なんですか?」

御手洗さんは笑顔で振り返った。

「あの……、今日はもう帰れるんですか?私は今仕事が終わったところですけど……」

私は緊張しながら聞いた。

「ええ、ちょうど終わったとこですよ。じゃあ一緒に帰りますか」

御手洗さんは微笑む。

「いや……、そういう意味で聞いたんじゃないですけど……」

私はため息をつく。

「冗談ですよ。そんな怖い目しないで下さいよ。篠宮さんの怒った顔も可愛くて魅力的だなぁ~」

「は?!……何ふざけたこと言ってんの。セクハラですよ」

私は彼を睨みつけた。

「ふふっ、すみません。つい本音が出てしまいまして……」

全く悪びれた様子のない彼を見てイラッとする。

「じゃあさっきの話ですけど、篠宮さんの部屋に行ってもいいですか?」

「…………」

「……本当に駄目ですか?篠宮さんが嫌なら我慢しますけど」

「……いいですよ」

私は渋々承諾した。御手洗さんは嬉しそうな表情になる。

「やったぁ~、嬉しいです。じゃあ早速帰りましょうか?」

「……はい」

私たちは並んで歩き出した。
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