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第1話 深夜残業
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二人で歩いて寮まで帰る途中、私は御手洗さんのことをチラリと見る。彼は楽しそうにニコニコしていた。
(……何がそんなに楽しいんだか)
私は呆れた。
「篠宮さんって、最近ちょっと雰囲気変わりましたよね」
「え?……そうですか?自分じゃわからないですけど」
「なんか前より綺麗になりましたよ」
「……そんなわけないじゃないですか」
私は苦笑いした。
「そんなことありますよ。まぁ元々美人だったんですけどね」
「……もういい加減にして」
「照れなくてもいいですよ。僕は本気で言っているんだから……」
雰囲気が変わったっていうのは、悪役令嬢であった元々の私の影響かも……。でも今はもう私は自分が篠宮由衣だと自覚している。私は鬱で心療内科に通うサラリーマンだ。
「僕には本当のあなたを見せて欲しいんですよ」
御手洗さんが耳元で囁いた。私はゾクリとして思わず身震いする。
「ちょっと……、いきなり顔近づけないでくれる?びっくりするんだけど」
「ごめんなさい。でも……、あなたの反応すごく可愛いかったですよ」
彼はそう言ってクスリと笑った。
「もうやめてってば!」
私は恥ずかしくなって顔を背ける。
「怒らないで下さいよ。褒めてるだけなんだから……」
「……」
真夜中だから、人通りは全くない。街灯が点々と続く道を私たち二人は無言で歩いた。しばらくして寮に到着すると、誰かに見られないように足早に玄関に入り込む。そしてそのまま階段を上がっていく。二階に上がり、廊下の奥にある私の部屋の前で立ち止まる。
「ここが私の部屋です」
そう言いながら鍵を取り出してドアを開ける。
「お邪魔しまーす」
御手洗さんは明るい声で言った。部屋に入ると彼はぐるりと辺りを見回して感心したような声を出す。
「へぇ~、結構キレイに片付いてるじゃないですか」
「そりゃどうも……」
「それに良い匂いがするし……」
「ちょっ、嗅がないで下さいよ。変態みたいですよ」
私は慌てて距離を取る。
「ははっ、ごめんごめん。冗談だって」
彼はヘラヘラ笑っている。
(……何がそんなに楽しいんだか)
私は呆れた。
「篠宮さんって、最近ちょっと雰囲気変わりましたよね」
「え?……そうですか?自分じゃわからないですけど」
「なんか前より綺麗になりましたよ」
「……そんなわけないじゃないですか」
私は苦笑いした。
「そんなことありますよ。まぁ元々美人だったんですけどね」
「……もういい加減にして」
「照れなくてもいいですよ。僕は本気で言っているんだから……」
雰囲気が変わったっていうのは、悪役令嬢であった元々の私の影響かも……。でも今はもう私は自分が篠宮由衣だと自覚している。私は鬱で心療内科に通うサラリーマンだ。
「僕には本当のあなたを見せて欲しいんですよ」
御手洗さんが耳元で囁いた。私はゾクリとして思わず身震いする。
「ちょっと……、いきなり顔近づけないでくれる?びっくりするんだけど」
「ごめんなさい。でも……、あなたの反応すごく可愛いかったですよ」
彼はそう言ってクスリと笑った。
「もうやめてってば!」
私は恥ずかしくなって顔を背ける。
「怒らないで下さいよ。褒めてるだけなんだから……」
「……」
真夜中だから、人通りは全くない。街灯が点々と続く道を私たち二人は無言で歩いた。しばらくして寮に到着すると、誰かに見られないように足早に玄関に入り込む。そしてそのまま階段を上がっていく。二階に上がり、廊下の奥にある私の部屋の前で立ち止まる。
「ここが私の部屋です」
そう言いながら鍵を取り出してドアを開ける。
「お邪魔しまーす」
御手洗さんは明るい声で言った。部屋に入ると彼はぐるりと辺りを見回して感心したような声を出す。
「へぇ~、結構キレイに片付いてるじゃないですか」
「そりゃどうも……」
「それに良い匂いがするし……」
「ちょっ、嗅がないで下さいよ。変態みたいですよ」
私は慌てて距離を取る。
「ははっ、ごめんごめん。冗談だって」
彼はヘラヘラ笑っている。
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