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第1話 深夜残業

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「……もう」

私は頬を膨らませた。

「ごめんごめん。……あ、そうだ、何か飲み物とか買って来ればよかったな……」

「発泡酒ならありますけど飲みますか?」

「うん、じゃあそれでお願いしようかな」

私は冷蔵庫の中から発泡酒を取り出すとテーブルの上に置いた。

「はい、どうぞ、私は薬飲むので……」

「ありがとうございます」

彼は缶ビールのプルタブを引く。プシュッという音が部屋に響いた。私は錠剤を一粒口に含む。そしてコップに入れた水でそれを流し込んだ。御手洗さんは一口飲んで、美味しいと言って微笑む。それからしばらく二人で他愛もない話をした。

「……そういえば御手洗さんって、彼女とかいるんですか?」

私はふと思いついて聞いてみた。

「え?どうして急に?」

御手洗さんは驚いた表情をする。

「いや……、別に深い意味はないですけど……気になっただけで」

私は目を逸らす。

「う~ん……、彼女はいないですね」

「そうなんだ……。モテそうなのにもったいないなぁ~」

「そんなことないですよ。僕なんて全然……」

「そんなことあると思いますけど……。まぁいいですけどね」

私はフゥと息をつくとベッドの上に寝転がる。

(私には関係ない話だし……)

「……ねぇ、篠宮さん」

「何ですか?」

私は寝返りを打つ。

「今日はここに泊まってもいいですか?」

「はぁ?!何を言って……」

私は驚いて起き上がる。

「いいでしょう?明日休みですし」

「それはそうだけど……」

「大丈夫ですよ。何もしませんから……」

御手洗さんはニコッと笑う。

「何もしないんですか……?それはそれでムカつくんですけど」

私はジト目で彼を見る。

「ふふっ、篠宮さんは面白いなぁ」

「もう……」

「じゃあさ、一緒に寝ようよ」

「……はい?」
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