異世界マイスターの知恵は一番強いチートだった

俺は異世界マイスター

異世界でもファンクラブはあった

「それでこんな森の中に。」
「はい。」

　俺は雑談をしながら森の整備されていた道で歩いている。
　色んな情報を得た。そして、自分の話もした。
　森の中にいた理由は、他の国から来て迷ってしまったと言って、何故濡れていたかと言うと、湖で体を拭いていたら転んで中に入ってしまったと、誤魔化しといた。

「姫様。もうちょっと警戒してください。姫様の命を狙う敵国のスパイかもしれませんし。」
「だーかーら！　レイ、もうちょっと信用したらどうですか？」
「ですが・・・・・・」

　さっきからこんな会話が続いている。
　打ち解けるのに時間がかかりそうだ。正義感持った人は敵ではないが味方になるのがきつい。
　さっきレイちゃんって呼んだら滅茶苦茶怒られた。

「姫様たちは何でこんなところにいたんですか？」
「今日は曽おじいさまのお誕生日だったのです。お墓がこの森の奥地に作られているのです。」
「そうなんだ。」
「姫様の曽おじいさまはとても偉大なお方であられた。そのひ孫である姫様はすごい方なのだ。」
「そうなんだ。」

　俺にも曽おじいちゃんがいた。
　曽おじいちゃんがいたころだけだったな、俺がちゃんと学校行ってたの。
　
　
　どんどん歩いていくと、やがて広い道に出る。

「着きました。」
「おお、すげー。」

　そこはすごく賑わっており、とても幸せな雰囲気に包まれていた。
　人も多く、元ニートの俺にはつらかったが、とても楽しそうだった。
　進んでいくと、姫様に挨拶したりする者から、俺を滅茶苦茶睨んでくる者までいた。姫様と一緒に歩いていることが羨ましいのだろう。
　絶対に男の中には劣情を向けている奴もいるのだろう。

「凄い目立ってますね。」
「そりゃそうだ。姫様は一国の姫。結構求婚も求められるほどのお方なのだ。」
「変なこと言わないでください。」
「姫様可愛いですもんねー」

　スムーズに会話を交わしていたのが途切れる。
　姫様は顔を赤らめていることに、俺は気づいていない。

《今のも作戦？》
(何がだ？)
《そういうのにはセカイさん疎いんですね》
(は？)

　そんな会話を心の中で続けていたら、ある男集団に話しかけられる。
　鎧を着ていたので、兵士だと思ったが違かった。

「姫様！　この男は誰ですか！？　ファース様ファンクラブとして見過ごせません。」

　ファンクラブとか異世界にもあるのか！？
　知識の中に入れた。
　知らないことはいっぱいある。空想と事実では得られる知識の量が違いすぎる。

「この方は私たちを巨大なモンスターから助けていただいたのです・・・・・あ、お名前を聞いてませんでしたね。」

　俺に向かって問いかけているようだ。
　この状況で俺の名前を聞いてくるとかすごいな。

「俺の名前はセカイです。セカイと呼んでください。」
「セカイですね。覚えました！」

　本当に楽しそうで良かったのだが、前に立っているファンクラブの皆さんは違うようだ。
　男の嫉妬は意外に怖い。

「覚えてろ！　絶対そこには俺たちが立つ！」

　そう言ってファンクラブの皆さんは去っていった。
　よくあることだ。
　姫様と一緒にいることで嫉妬する者から、頑張ってくださいと言ってくれる者までいるのが異世界だと俺は思っている。
　
「着きました。」

　俺は顔を上に向けると、そこにはとても見たこともない、一生見れないと思っていた巨大な建物があった。
　とても入りずらい雰囲気を醸し出していた。

「すごいね」

　俺はそれを見てどれほどクソみたいな生活をしていたか思い知らされた。

《実際にお城を見てどう思いました？》
(実際に見てみると、がちでやばいな)