異世界マイスターの知恵は一番強いチートだった

Impulse

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俺は王国の兵士長

ドキドキ何て無かった

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 本当に気まずい。
 今姫様と背中を合わせてお風呂に入っている。
 誰かに見られたら犯罪者として牢屋か国外追放だろうな。

「セカイ? 今日は何でアスタルテ王国の話を聞いてきたんですか?」

 俺は姫様からアスタルテ王国の話を聞いた。
 求婚を断ったのも姫様だ。求婚が悪いとも言えないし断ったのも悪くないしで、どちらが悪いとは言えない。

「いや、いろいろとあるんですよ。」
「そうですか、まあこれ以上は追及しませんよ。」
「ありがとうございます。」

 俺はキーサが犯人だという証拠がない今、間違った情報を教えるわけにはいかない。
 あれからキーサは一回も姿を見せなかったようだ。

「それにしても姫様は専用のお風呂とかないんですか?」
「あるんですけど壊れちゃって、今日だけここを使わせてもらっているんです。」
「そうだったんですか。こういうお風呂って俺初めてだったんですよ。こんなに広くてかわいいお姫様とは入れるお風呂って最高じゃないですか。」
《異世界マイスター語ってるくせしてラノベの主人公みたいなのどうかと思うけど・・・・》
「そうですか? えへへ、ありがとうございます。」

 そんな会話をしていると、脱衣所から人影がやって来る。
 聞こえた声は、レイとその他の親衛隊の人たちだった。

「まずい!」
「あ、あの、私の後ろに!」

 そう言って姫様の背中に隠れる。
 きれいな背中が目の前に在ってとても男としてそそるものがあった。もう少しでお尻も見えそうだったが、見ていたら犯罪者と変わらないと思いやめた。

「あ、姫様こちらで入っていたんですね。」
「は、はい」

 入ってきたようだ。
 緊張しすぎて死にそうだ。
 姫様も緊張してか体が熱くなっていた。

《国外通報かもしれませんね》
(怖いこと言わないでくれ。バレてないこと自体奇跡なんだから)

 俺と姫様が喋っていた場所は、お風呂の中心ではなく端の方だったので、今はバレていない。
 俺が異世界にこれたのも奇跡で、今ここにいるのは奇跡が奇跡を呼んでいるからだ。だから何だってことだが。
 男にとっては夢みたいな状況に立っている。でも、まだ打ち解けていないのに覗きみたいなことをしたら、まあ犯罪だな。

「姫様、あの男のことどう思いますか?」

 レイが風呂に入ってきたようだ。
 本人が目の前にいるとは知らず、俺の話を続ける。

「え? あ、ああ。そうですね、いい人だしカッコいいし素敵な方だと思いますけど・・・」
(ありがとう姫様。でも、こんな時に言われても心に響かない)
「そうですか。私たちのお風呂を見ていたりしそうですけど・・・・・」
((ここにいるんですよ))

 姫様と俺の心が一つになった瞬間だった。
 俺は足が痛くなりちょっとだけ足を動かしてしまい、お湯が揺れた。
 それに気が付いたレイが指摘してくる。

「あれ・・・・・? 後ろに何か・・・・」
「え? いえ。何にもないですよ!」

 異常な焦り方を不審に思ったのか、後ろに向かって歩いてくる。
 それにて俺の異世界終了――――――だと思ったのだが、俺を見たレイは何も無かったように振る舞った。

「どうしましたかレイ隊長。」

 一人の親衛隊の隊員が声を掛けてくる。

「何でもないぞ。そろそろ出るか。」
「はい。」
「私はもうちょっと浸かっていくから。」

 そう言って他の隊員が大浴場を出る音が聞こえた。

「それで、お前は何をやってるんだ?」

 これは俺に向かって言っているのだち気付き、俺はレイの方に向いた。
 裸が見えてしまい、興奮したが滅茶苦茶怒られることを承知しての事だった。

「おまっ・・・・後ろ向け!」
「お、悪い。」

 俺は急いで後ろに向いた。
 とてもいいものが見れたと思う。まだ育っていなく小さい胸とかが見れた。

「それで? お前は何故ここにいたんだ?」


―――――――普通に入ってきてしまったことを話す


「嘘!? 男が入れる時間7時までだったの!?」
「まあ知らなかったのなら気をつけろよ。」
「優しいな。」
「はぁ? 何言ってんだし。」

 ツンデレだった。
 男の入浴時間は4時から7時までだったらしい。

 俺はそのまま自室に戻りベッドに入った。
 サーシャが入っていることは覚えていなく、間違えてサーシャの大きな胸に手が触れてしまった。

「あの・・・・いきなりはどうかと・・・・・」
「あああああ! 悪い!」

 俺は急いで下に敷いてあった敷布団に入った。

「ちょっと一ついいですか?」
「なんだ?」
「キーサが消えたとの情報を得ました。」
「兵士が言っていたのか?」
「いえ。後輩のメイドが・・・・・」

 この状況で兵士長が消えたのは怪しい。
 でも、これでも証拠とは言えない。

「分かった。これは本当に危ないかもしれん。」

 俺の異世界マイスターとしての血が騒いでいた。
 これはよく見る事件だが、あってはいけない事件だ。


《この展開に一言!》
(胸柔らかかった。それより、大変なことになって来た!)


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