傑作集

こうめ

文字の大きさ
上 下
2 / 3

金魚

しおりを挟む
今日も同じ景色をただただ見つめて同じ場所を回り続ける


ここから見る世界はかなり歪んで見えた。

空の下ぼーっと過ごす毎日は僕にとっての唯一の宝だった。

いつも練習で走ってる学生を見つけては心の中で応援し、道にゴミを捨てる人がいれば心に火をつけられる感覚だった。

ただ声を出すことが出来ない。

遠く暗い部屋でひとりただただ帰りを待つ人を探す。

3日ほど帰ってこない。
餌はそのへんにあるものを探してあさった。

なくなった時は水を飲んだ。飢えをしのぐ最後の方法だった。


外にも出れない。鍵がかかっているから。
なるべく動かぬようじっと耐えてた...。

大家さんは1週間に1度おにぎりを届けてくれた


3日後水が止められた。家では電気もガスも何もかもを止められていた...。


1週間後僕は死んだ
大家さんに見つかったが探しは見つからず...。

僕は人間という名の金魚
しおりを挟む

処理中です...