鬼のセンチネル

弓葉

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精神動物(スピリットアニマル)

禍の音

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「なんだ……!」

 藤は両耳を手で塞いだ。とても酷い耳鳴りがする。頭が割れそうな音だ。だけど、嫌な音は一瞬だけだった。……なんだったんだ?

――パリン。

「っ……!」

 突然、窓が割れた。砕けたガラスが室内に入ってくる。何が起きたのか分からない。驚いていれば、光流が苦しそうにうずくまっていた。

「玖賀め……小賢しいことを」

 額に汗を浮かべながら光流は床を殴った。どうやら、光流は動けないみたいだ。逃げるなら今しかない。

 藤は扉に走る。ドアノブを回すが開かなかった。

「なんで開かないんだよ……!」

 すぐさま藤は引き返し、割れた窓から飛び降りた。近くに木が生えていたので、そこにめがけて藤は飛ぶ。小枝が藤の身体にビシバシと当たりながら落下した。枝を数本折りながら、藤は部屋からの脱出に成功した。

「光流様!!」

 部屋から声が聞こえる。ザワザワと館全体が騒ぎ始めた。一秒でも早く姿を消さなければ見つかってしまう。藤は周囲を見渡した。

 すると、ポツポツと雨が降ってくる。先程まで晴天だったのが、館にいる間に曇天へと変わっていた。天気の変わり様に玖賀を思い出す。

「玖賀は土地のセンチネルって言ってたよな……この雨も」

「おい、いたぞ!」

 見回りをしていた光流の手下に見つかった。

「クソッ……」

 藤は走った。すると、背後が明るくなる。

――ドゴン!!

「うわああああ」

 追いかけてきた見回りが叫ぶ声が聞こえる。雷が落ちた。

 このタイミングで雷が落ちるのか? いや、考えている暇はない。早く、姿を消さないと……。だが、館に囲まれた塀は高く梯子でもなければ上れそうもない。

 ほかに、身を潜めれそうな場所は……。天候が味方しているならば、館に戻るのは得策じゃない。光流がいる。すぐに思考を読まれて見つかってしまうだろう。

 庭には銅像と木と噴水……。体温が心配だけど、背に腹を変えられない。

 藤は庭の噴水に飛び込んだ。すると、藤の精神動物である海豹が姿を現す。噴水に潜って気づく。思ったよりもこの噴水は深い。

 海豹も噴水の深さに気づいたようで、藤にアイコンタクトを送った。藤は海豹に捕まり噴水の底へ潜っていく。三メートルは潜っただろうか。

――あれは。

 藤は壁に穴が開いているのが見えた。海豹にそこへ向かうよう指示をする。頭の中で命令を出せば、精神が繋がっているからか海豹は言うことを聞いた。

――どこに繋がっているんだろう。

 人一人分通れるぐらいの狭い水路。藤は息が苦しくなってくる。

――くそ……息が……。

 目の前の視界が歪み、頭がぼーっとしてくる。海豹も藤の影響を受けて、少し動きが鈍くなってきた。

――光が見える。

 暗闇だった水の中で、白い光が見えた。それは天国に行ったからかもしれないと思い始める。それほど、眩しい光だった。      

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