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香りの設計図
入浴剤作りへ
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温泉地探訪も終わり、会社の製品開発部へ戻ってきた。温泉に入るだけではなく、写真もいくつか許可をもらって撮ってきている。この写真はイメージとして使用する予定だ。ここからが、温泉の香りを再現するという戦いが始まる。
香水斗の周りにはフレグランスと呼ばれる無数の小瓶が並んでいる。フレグランスを入浴剤の香りの素材として、混ぜ合わせて香料を作るためだ。
たとえば、レモンとシトラールの香りはレモングラスから採取するらしい。こうして採取されるフレグランスの数は三百種類とも二千種類とも言われている。
「香水斗はすごいよな。僕はまだ半分ぐらいしか覚えられていないや」
アロマテラピー検定で多少の知識はついたものの、香水斗には及ばない。
「啓明なら香りで覚えたらいいんじゃないか? 英単語みたいに覚えたらいい。組み合わせたらどんな香りになるかとか」
たしかに、高校生の時に覚えた英単語帳には法則性が載っていたことを思い出す。
「それ、早く言ってくれたら試験楽だったのに……」
「香りも忘れることもあるからな」
香水斗は軽く受け流して、撮ってきた写真をパソコンの画面に映した。
「写真から香りを作るのも大変だけど、実際に土地を訪れたイメージで再現化するのも大変だぞ。香りで風景を描かなくちゃいけない」
香水斗は楕円形の個室に移動する。そこには三十から四十種類ある小瓶が置いてあった。様子を見る限り香水斗のなかで、方向性が決まっているようだ。香水斗はズラリ、と並ぶ小瓶の中から二、三個を手に取った。
「香水斗はもうどんな入浴剤にするのか決めてんの?」
「ああ、もう頭の中に設計図はできている」
香水斗は小瓶を開ける。小瓶を開けただけで、ふわりとカボスの柑橘系の匂いが漂ってきた。
香水斗の周りにはフレグランスと呼ばれる無数の小瓶が並んでいる。フレグランスを入浴剤の香りの素材として、混ぜ合わせて香料を作るためだ。
たとえば、レモンとシトラールの香りはレモングラスから採取するらしい。こうして採取されるフレグランスの数は三百種類とも二千種類とも言われている。
「香水斗はすごいよな。僕はまだ半分ぐらいしか覚えられていないや」
アロマテラピー検定で多少の知識はついたものの、香水斗には及ばない。
「啓明なら香りで覚えたらいいんじゃないか? 英単語みたいに覚えたらいい。組み合わせたらどんな香りになるかとか」
たしかに、高校生の時に覚えた英単語帳には法則性が載っていたことを思い出す。
「それ、早く言ってくれたら試験楽だったのに……」
「香りも忘れることもあるからな」
香水斗は軽く受け流して、撮ってきた写真をパソコンの画面に映した。
「写真から香りを作るのも大変だけど、実際に土地を訪れたイメージで再現化するのも大変だぞ。香りで風景を描かなくちゃいけない」
香水斗は楕円形の個室に移動する。そこには三十から四十種類ある小瓶が置いてあった。様子を見る限り香水斗のなかで、方向性が決まっているようだ。香水斗はズラリ、と並ぶ小瓶の中から二、三個を手に取った。
「香水斗はもうどんな入浴剤にするのか決めてんの?」
「ああ、もう頭の中に設計図はできている」
香水斗は小瓶を開ける。小瓶を開けただけで、ふわりとカボスの柑橘系の匂いが漂ってきた。
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