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香りの設計図
モチベ
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「モチベが上がった」
香水斗は一言だけそう告げると、デスクに戻り調香を始める。香水斗のことだから、もっと食いついてからかってくるかと思っていたのに……ちょっと拍子抜けだ。
集中している香水斗の邪魔をしないように僕は調香室を出た。
「サボりか?」
盗み聞きでもしていたのか、ドアのすぐ側に藤さんがいた。藤さんは相変わらず僕を睨みつけてくる。ギリギリ、と歯ぎしりまでしているぐらいだ。
「違いますよ、藤さんこそどうしたんですか? 香水斗に用事ですか」
香水斗一筋の藤さんが僕に用事などないはずだろう。香水斗を呼びに行こうとすれば藤さんは僕を引き止める。
「お前に客が来ているぞ」
藤さんはアゴで玄関を指し示す。
「僕に来客ですか……?」
今日は特にアポイントはとっていない。香水斗と一緒に入浴剤作りに専念していたため、ろくに外と連絡を取っていなかった。
「なに、ぼーっと突っ立ってお客さんを待たせてんだよ。さっさと行け」
ドカっと、藤さんに背中を蹴られた。研究所内はスリッパだから、服は汚れないと思うけどいい気分じゃない。
「粗暴な態度を取る人って香水斗は嫌いだと思いますよ」
やられっぱなしじゃ終われない。僕は藤さんに言い返してから逃げるようにお客さんが待つ玄関に向かった。
香水斗は一言だけそう告げると、デスクに戻り調香を始める。香水斗のことだから、もっと食いついてからかってくるかと思っていたのに……ちょっと拍子抜けだ。
集中している香水斗の邪魔をしないように僕は調香室を出た。
「サボりか?」
盗み聞きでもしていたのか、ドアのすぐ側に藤さんがいた。藤さんは相変わらず僕を睨みつけてくる。ギリギリ、と歯ぎしりまでしているぐらいだ。
「違いますよ、藤さんこそどうしたんですか? 香水斗に用事ですか」
香水斗一筋の藤さんが僕に用事などないはずだろう。香水斗を呼びに行こうとすれば藤さんは僕を引き止める。
「お前に客が来ているぞ」
藤さんはアゴで玄関を指し示す。
「僕に来客ですか……?」
今日は特にアポイントはとっていない。香水斗と一緒に入浴剤作りに専念していたため、ろくに外と連絡を取っていなかった。
「なに、ぼーっと突っ立ってお客さんを待たせてんだよ。さっさと行け」
ドカっと、藤さんに背中を蹴られた。研究所内はスリッパだから、服は汚れないと思うけどいい気分じゃない。
「粗暴な態度を取る人って香水斗は嫌いだと思いますよ」
やられっぱなしじゃ終われない。僕は藤さんに言い返してから逃げるようにお客さんが待つ玄関に向かった。
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