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バァン!!
凄い音がして部屋のドアが開いたので、机に向かい本を読んでいたアリシアは驚いて音のする方へ振り向いた。
「・・・?」
開いたドアから部屋にツカツカと入って来たのはケイト。
ケイトは一目でわかるほど苛立った顔をしていた。
アリシアは何か気に食わないことがあったのだと瞬時に理解した。
「どうしたの、ケイト?突然・・。ドアはもっと優しく開けた方がよいわ。あと部屋に入る時は姉妹でも声くらい掛けなきゃ。」
耳に入ることはないと解ってはいるけれど、ケイトの為を思いアリシアはやんわり注意する。
そんな言葉はやはり聞いてもいないケイトは苛立ちを隠しもせず、口元を歪めた。
「アリシアお姉様、お節介なオバサンみたい~ウケるぅ。けどね、ケイト今日はそんなお話をしに来たんじゃないのぉ。」
そう言うと、ケイトはアリシアの部屋をぐるりと見廻した。
「ねえ、お姉様。最近、ちょっと派手になったんじゃない?」
まさか・・アリシアは嫌な予感がした。ポーチの中の白粉とリップが思い浮かぶ。けど、家では化粧をしてないのに何故。
「今日はケイト体調が良かったから、チャールズ様が是非にと言うからランチをしたの。そしたら、カフェに下品に悪目立ちした方がいてぇ。よく見たら、ソレ、お姉様だったの。」
まずい。ケイトが学園に来てたなんて。極力顔を合わせないようにしてたのに。
アリシアは冷や汗が出た。
ケイトの口元は心底嬉しいという風に大きく歪に弧を描いた。
「ケイトぉ、お姉様には私のように上品な淑女であって欲しいと思ってるの。そうでないとぉ、チャールズ様も恥をかくわ。」
次の言葉は聞きたくない。
「だからぁ」
お願い。
「私がぁ、お姉様を下品にするものを貰ってあげるわぁ。」
そうケイトは言うや否やアリシアの通学用の鞄に手を掛けた。
「お願いだからやめて!大事なものなの。化粧品はケイト用に別に買ってあげるから。」
アリシアは慌てて鞄を守ろうとする。そんなアリシアの様子を見て、ケイトはさらに嬉しそうな顔をした。
「やっぱりそこに入ってたのね。」
そうして身体が弱いとは到底思えない力で鞄を引っ張ると、中身を床へぶち撒けた。アリシアは鞄を引っ張られた勢いで床に倒れて座り込んでしまった。
教科書やノートがドサドサと音を立てて床に落ち折れ曲がる。
ケイトは、床に散らばったものの中からポーチを拾い上げると、乱暴に開いて中を捌き、美しい細工物のケースとリップを取り出した。
「これ、最近王都で話題の化粧品じゃなーい!チャールズ様のツテでも手に入らなかったのに。お姉様が持ち主じゃ宝の
持ち腐れだわ。貰ってア・ゲ・ル♡」
そう上機嫌で言うと、鼻歌を歌いながらケイトは部屋から出て行った。
残されたアリシアは悲しみや怒りや情けなさが混然としてずっとただ目の前の誰もいない空間を見つめていた。
凄い音がして部屋のドアが開いたので、机に向かい本を読んでいたアリシアは驚いて音のする方へ振り向いた。
「・・・?」
開いたドアから部屋にツカツカと入って来たのはケイト。
ケイトは一目でわかるほど苛立った顔をしていた。
アリシアは何か気に食わないことがあったのだと瞬時に理解した。
「どうしたの、ケイト?突然・・。ドアはもっと優しく開けた方がよいわ。あと部屋に入る時は姉妹でも声くらい掛けなきゃ。」
耳に入ることはないと解ってはいるけれど、ケイトの為を思いアリシアはやんわり注意する。
そんな言葉はやはり聞いてもいないケイトは苛立ちを隠しもせず、口元を歪めた。
「アリシアお姉様、お節介なオバサンみたい~ウケるぅ。けどね、ケイト今日はそんなお話をしに来たんじゃないのぉ。」
そう言うと、ケイトはアリシアの部屋をぐるりと見廻した。
「ねえ、お姉様。最近、ちょっと派手になったんじゃない?」
まさか・・アリシアは嫌な予感がした。ポーチの中の白粉とリップが思い浮かぶ。けど、家では化粧をしてないのに何故。
「今日はケイト体調が良かったから、チャールズ様が是非にと言うからランチをしたの。そしたら、カフェに下品に悪目立ちした方がいてぇ。よく見たら、ソレ、お姉様だったの。」
まずい。ケイトが学園に来てたなんて。極力顔を合わせないようにしてたのに。
アリシアは冷や汗が出た。
ケイトの口元は心底嬉しいという風に大きく歪に弧を描いた。
「ケイトぉ、お姉様には私のように上品な淑女であって欲しいと思ってるの。そうでないとぉ、チャールズ様も恥をかくわ。」
次の言葉は聞きたくない。
「だからぁ」
お願い。
「私がぁ、お姉様を下品にするものを貰ってあげるわぁ。」
そうケイトは言うや否やアリシアの通学用の鞄に手を掛けた。
「お願いだからやめて!大事なものなの。化粧品はケイト用に別に買ってあげるから。」
アリシアは慌てて鞄を守ろうとする。そんなアリシアの様子を見て、ケイトはさらに嬉しそうな顔をした。
「やっぱりそこに入ってたのね。」
そうして身体が弱いとは到底思えない力で鞄を引っ張ると、中身を床へぶち撒けた。アリシアは鞄を引っ張られた勢いで床に倒れて座り込んでしまった。
教科書やノートがドサドサと音を立てて床に落ち折れ曲がる。
ケイトは、床に散らばったものの中からポーチを拾い上げると、乱暴に開いて中を捌き、美しい細工物のケースとリップを取り出した。
「これ、最近王都で話題の化粧品じゃなーい!チャールズ様のツテでも手に入らなかったのに。お姉様が持ち主じゃ宝の
持ち腐れだわ。貰ってア・ゲ・ル♡」
そう上機嫌で言うと、鼻歌を歌いながらケイトは部屋から出て行った。
残されたアリシアは悲しみや怒りや情けなさが混然としてずっとただ目の前の誰もいない空間を見つめていた。
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